「美術様式論」読書会:「リーグル美術様式論―装飾史の基本問題」 Stilfragen, Wien 1893 (長広敏雄訳 岩崎美術社、1970)

原始装飾文様形式

(この項目は、エジプト様式ー植物文様の創作ーの中にある。 古エジプト美術における渦文も、ロータス花の渦巻形萼を出発点と見るのでなく、幾何学的モチーフ(文様)として見るべきであることを、ニュージーランドのマオリの純幾何学的様式の同じ渦紋をあげて証明している箇所。

ニュージーランドの渦紋

原始美術様式での渦紋


1.純幾何学的性質が内在する
2.地間充填の法則は、きわめて 重要かつ標準的
※マオリ=ニュージーランドの原住民
アンドレアス・ライシェックAndreas Reischek(オーストリアの旅行家)の収集
REISCHEK Andreas (1845 - 1902) Präparator, Neuseelandforscher
collected by the Austrian taxidermist Andreas REISCHEK during his 12-year's stay in New Zealand (1877-1889).
ウィーン王立自然史博物館に収蔵されている

「美術様式論」P100~101

http://ja.wikipedia.org/wiki/ウィーン自然史博物館

28図


外界からの影響がなく、独立的に数千年以来発展を続けてきた一領域
マオリの装飾法において渦文が標準的
古代エジプトの渦紋とよく似ている
28図のカヌーの橫腹に施された円形
金属格子と見まごうような透刻
右の外側の印刻された渦紋は、ただ切線によって相互に結び合う形 = 古代エジプトの25図と同じ
25図
25図はロータス花地間充填  28図は単に線のみ(装飾がもっぱら幾何学的)

「美術様式論」P102~104


マオリの顔面文身


もっとも装飾的でもっとも芸術的な渦紋

文様解釈に
芸術の独特な地盤を守る

渦紋はチピカルな(※typicalな)(針金渦線文のごとき)金属的装飾(純技術的起源)と見なされているが、ニュージーランドには全く金属を欠く。また、マオリには織物の糸がなく、ニュージーランドには革紐もない)
渦線を創造する動機として、自然物あるいは技術的生産物を問題にするのではなく、純芸術的創造のあゆみの上で生まれた単純な幾何学的図象ととらえる。
円は、全ての平面幾何学的形象のうちもっとも完全なものであり、それは全ての方向にシムメトリー法則を満足させる


「美術様式論」P104~107
マオリThe Māori=ニュージーランドの原住民


ラボック著「文明の発生」Lubbock's Entstchung der Civisationからの引用図)


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文身 TATOO

(以下はリーグルでなく私の興味による)

WEB検索(japanese)
http://tattoo.jpn.org/tattoo-column/tattoo-history/
タトゥー(tattoo,tatooと表記する場合もある)の語源はポリネシア(タヒチ、マオリ族)の「ta tau」だと言われています。
http://www.tatsuru.com/php/phpBB2/viewtopic.php?t=52
マオリ族では高い階級の男性のみが顔に文身をした。

モコ

http://jsam.jp/jsam_domain/journal/online/pdf/50-4-4.pdf
吉田集而 国立民族学博物館教授の講演会の記録 Origins of Acupuncture and Tattoo
by吉田集而の図18
ニュージーランドのモコ
The Tattoo (Ta Moko)と 呼ばれる渦巻き入れ墨

「鍼灸と入れ墨は、起源を同じくするものである。」

鯨面(黥面)

『魏志倭人伝』
男子は大小となく、皆鯨面文身す。」
「鯨面」というのは、顔の入れ墨、 「文身」というのは身体の入れ墨。
「夏 后小康の子、会稽に封ぜられ、断髪文身、以て蛟 龍の害を避く。今倭の水人、好んで沈没して魚蛤 を捕らえ、文身しまた以て大魚・水禽を厭う。後 やや以て飾りとなす。」
(倭の水夫の 龍(海の王)の入れ墨は、中国の楚から来た)

大林太良 の入れ墨2類型論


「文身他界観」系列
入れ墨をせずに死んだ人がでると、墨でその人の身体に 絵を描く。例えばアイヌ、沖縄、ボルネオなど、辺境の地で、こちらの 方が古い。後に中国南部(会稽=楚)起源と考えられ る龍文身系列の文化が伝播。

顔面文身だが、 マオリの渦紋に対して、鯨面というのは、鯨の脇腹の平行線のようなイメージがあるのだが、それはどうだろうか・・

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3752648.html

==引用==

本来「鯨(くじら)」という字ではなく、 「黥(げい)」という文字を使います、 この「黥」の意味は「黥面」とあるように 「顔にした刺青」という意味で、 中国では刑罰としての刺青の意味です。 「項羽と劉邦」にでてくる「英布」が「黥面」だったといわれています。 「文身」は体にほどこした刺青のことです。
==引用終了==


黥面土偶

長野県立歴史館 弥生時代初めの土偶
「文化庁海外展 大英博物館帰国記念 国宝 土偶展」
国宝合掌土偶青森県八戸市にある風張遺跡で1989年発掘
土偶漫遊記by縄文まんが家・イラストレーターの さかいひろこさん




Sir John Lubbock (1834 1915)
Pre-historic Times as Illustrated by Ancient Remains, and the Manners and Customs of Modern Savages (Cambridge Library Collection - Archaeology)
人間の文化が時間がたつにつれてより洗練されるようになるという証明
石器時代を細分するために用語のPalaeolithicとNeolithicをつくった

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