生命の木 聖樹

アカシア


アカシア[シンボリズム]  古代イスラエル人にとってこの木はシッタと呼ばれる聖木であり, 〈契約の箱(*1)や幕屋を作る際には必ず使用された。バビロニアではイシュタルの神木とされ,生命力の象徴でもあった。生長がきわめて早いため,アメリカ開拓時にも家造りにこの木がしばしば利用されたという。語源的にはギリシア語の akis (突起,矢じりや釣針のかかりの意) に由来するといわれ,アカシアのとげを意味したものと思われる。この枝は古代エジプトでは母神ネイト(*2)にささげられ,神自身もアカシアを住みかとしたという。
荒俣 宏(平凡社世界大百科事典)


センネジェムの墓の「ネヘト」女神
ネヘト=木であるから、ネヘト女神=「樹の女神」と訳す。
(→*イチジク

WEB検索

MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市)のページ
http://www.miho.jp/booth/html/artcon/00000933.htm
この像はアカシアで作られたナクトの像の紹介
アカシアは古来船を作る重要な材料として使われ、
また黄泉の国へ死者を渡す神聖な樹木として敬われました

(*1)契約の箱 Ark of the Covenant 古代イスラエル人のシナイ時代,土地取得時代,およびダビデ時代の初期に関する旧約聖書中の記事の中で言及されている,運搬可能な木製の長方形の箱祭儀的伝承によれば,その中に十誡を刻んだ 2 枚の石板が納められていた。エルサレム神殿では,その上に 1 対のケルビムが置かれて神の臨在を象徴していた。元来これがイスラエル人の移動聖所であったか,カナン人の祭儀に由来するかは不詳である。
並木 浩一(平凡社世界大百科事典)

(*2)ネイト Neith 古代エジプトの女神。神々の中でも最も古い女神の一人で,その信仰は先王朝期,すでに西デルタ地方において一般的であった。その本拠はサイスで,赤い王冠を頂き,手には弓,2 本の矢や盾を持ち,ときには 2 匹のワニを従えた姿で表される。
創造神,太陽の母,戦争や狩猟の神,眠りの守護神,織物の創始神,塗油の女神,柩 (ひつぎ) やカノポス壺 (内臓を納めた壺) の守護神など多くの属性をもつ。ヘリオポリスのアトゥムの神殿とともに,サイスのネイト神殿は医療の中心地であり, 〈生命の家〉といわれる医学校があった。
中山 伸一(平凡社世界大百科事典)
Wikipediaネイト(Neith、Nit、Net、Neit)
「ネイトという名前は「水」を意味すると見られている。このためネイトをエジプト創世神話の原初の水を擬人化したものとみなすことがある。その場合、ネイトは創世の大いなる母神とされる。」

『エジプトの神々事典』には、64の神の名があり、そこに、ネイトはあるがネヘトはない。
ネイトは「古代エジプト語ではネト、おそらく、ネレト、つまり〈禿鷹〉または〈女神〉と呼ばれていたと思われる』とある。(p125) 形容語「母の中の母。父の中の父」(両性具有)原初の女神、造物主。 「オシリスをよみがえらせ、乳を与え、アトゥムと結合させる雌牛のネイト」
サイスのネイト神殿も医学校であった。
古代エジプトうんちく図鑑 』は2000年刊だが、何度読んでも非常に笑える。(柴崎みゆきさんの本はいろいろ買ってしまった。)プルタルコスのまとめたものから神々の説明をしているが、 「急に何の説明も前触れもなく、大人の中の大人『トト』神が登場。」というのも爆笑。エジプト特有のアバウトさいっぱいの・・という。
ネイト女神はホルスVSセトで出てきます。
「美女や財産をやってセトの心を鎮めた上でホルスを王にするのがいいんじゃない?」という意見を言ったと。(p11)

Wikipediaによれば女神ネイトが守護神であるサイスにオシリスの墓がある。(by ヘロドトス)
ヴィジュアルクロニクル 古代エジプト探検百科 発見と探検の博物館(原書房) ニコラス・リーヴス著

アカシアの植物化学

http://en.wikipedia.org/wiki/Acacia
Acacias Known to Contain Psychoactive Alkaloids
アルカロイド (alkaloid)
Acacias contain a number of organic compounds that defend them from pests and grazing animals.病害虫と草食動物からそれらを防ぐ多くの有機化合物を含む
The plant leaves, stems and/or roots are sometimes made into a brew together with some MAOI-containing plant and consumed orally for healing, ceremonial or religious uses. 治療、または、儀式的であるか宗教の用途のために口から消費される。
Egyptian mythology has associated the acacia tree with characteristics of the tree of life (see the article on the Myth of Osiris and Isis). エジプトの神話はアカシアの木を生命樹に関連づけた(オシリスとイシス)。

アカシア wattle‖Acacia
マメ科アカシア属に含まれる 500 種以上の種類の総称名である。ほとんどの種類は常緑性の大高木から小高木で,しばしばとげを有している。日本ではアカシア類をミモザと通称するが,これはイギリスで,フランス南部から切花として輸入されるフサアカシアがミモサmimosa と呼ばれることから来たものである。しかし,植物学的にはオジギソウ属Mimosaがミモサと呼ばれるもので,おしべが 4 〜 10 本あり,おしべが多数のアカシア属とは区別されるべきものである。また,ニセアカシアをアカシアと呼ぶ人も多い。


フサアカシアA.decurrens Willd.var.dealbata (Link) F.v.Muell.(英名silver wattle, mimosa) は,ミモザの名で花木・切花にされる代表種の一つである。常緑の高木になり,深緑色の葉は 2 回羽状複葉になる。花は葉腋 (ようえき) の総状花序に多数が房状につき,鮮黄色で,樹冠全体が花でおおわれるように開花する。開花期は早春。オーストラリア原産で,本州の関東地方以西の沿海部で,庭園樹,緑化樹として植栽される。

ギンヨウアカシアA.baileyana F.v.Muell.(英名Cootamundra wattle) もフサアカシアに似るが,若枝に毛がなく,葉は全面に白粉を帯びて灰緑色を呈し,葉長 4 〜 6cmと小さい。花色は濃黄色,開花期は早春。原産地はオーストラリアで,日本では最も多く切花として用いられ,関東地方以西の本州沿海部,四国,九州で植栽する。

サンカクバアカシアA.cultriformis Cunn.の葉は葉柄の変化したもので,灰緑色,ほぼ三角形である。葉のついた枝を切花用に使う。

キンゴウカン (金合歓)A.farnesiana Willd.(英名sweet acacia) は,鮮黄色で芳香のある花をつける低木で,耐寒性はないので温室で栽培される。花からは香水が,樹皮からタンニンが採れ,観賞用に植栽される。
モリシマアカシアA.mollissima Willd.(英名black wattle) は,英名のように樹皮が黒く,やはり早春に鮮黄色の花をつける。オーストラリア原産で,日本の暖地で緑化樹,肥料樹として植栽される。

ソウシジュ (相思樹)A.confusa Merrill (英名Taiwan acacia) は常緑大高木になる。葉は単葉,披針形で革質,長さ 8 〜 10cm,葉脈が数本,平行に走る。果実は長さ数cmの豆果。原産地はフィリピンとされるが,マレーシア地域に広く見られ,日本では沖縄,小笠原諸島などの暖地で植栽される。
これら園芸的に利用されている耐寒性の種は,やせた乾燥地でもよく生育する。日当りのよい場所に適し,繁殖は実生により行う。生成は早い。 アカシア属でソウシジュのように高木になる種は,材木として植林され,その早い生長が注目されている.

樹皮からタンニンが採取される種も多く,モリシマアカシア,アラビアゴムモドキA.arabica Willd.(アフリカ原産) や,薬用にする阿仙薬が採取されるアセンヤクノキA.catechu Willd.(インド原産) などが有名である。しかし,アカシア属の最も重要な産出物は,アラビアゴムと称される樹脂であろう。
アラビアゴムを産出する種は多数ある。産出量の多いものはアラビアゴムA.senegal Willd.(西アフリカ原産),アラビアゴムモドキ,アセンヤクノキなどであるが, A.albida Delile (北アフリカ),A.dealbata Link (オーストラリア), A.drepanolobium Harms (アフリカ),A.greggii Gray (メキシコ), A.horrida Willd.(ケープ地方),A.leucophloea Willd.(インド,ミャンマー) など世界各地のアカシア属植物からアラビアゴムやそれに類似した樹脂が採取される。また,アフリカやアボリジニーがアカシア属の若葉,若い豆のさや,あるいは成熟した豆を食用に利用している例も多い。
脇坂 誠 + 堀田 満 (平凡社世界大百科事典)


Triptych of the Burning Bush, by Nicolas Froment, in Aix Cathedral


2011-03-03
今、 聖書と植物の方面を見ているのですが、「燃える柴」というわけのわからない図像について、 一番理屈にあう説明は、「火の炎」というのは、アカシアのさがり花として知られるヤドリギLoranthus acaciae)であったろうという。(「聖書の植物 」モルディケ 著 奥本裕昭 訳 八坂書房1991刊)
Flora of Israel Online ※Wikipediahttp://en.wikipedia.org/wiki/Theophany
The Burning Bush
In Midian, while Moses was keeping the flock of Jethro his father in law, the angel of the Lord appeared to Moses in a flame of fire out of the midst of a bush that burned but was not consumed (Exod 3:1-2). God called to Moses out of the midst of the bush, and told him that He has heard the affliction of his people in Egypt, and gives Moses orders speak to Pharaoh and to lead the Israelites out of Egypt (Exod 3:3-12).

この本で面白いと思ったのは、聖書を書いたのは「教養も低く、語彙も乏しい人たち」だという。 この人たちにとっては、聖書を書く目的は植物学ではないのだ、というあたりまえのこと。 (by訳者の奥本裕昭さん)そういえばそうだった・・ なお、聖書の「リンゴ」は最も厄介な問題だが、著者はアンズだろうという話。

他の説としては、horagai さんから、以下のお話が。
外せないのが、 「新聖書植物図鑑 」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)
Webでもダイジェストが読めます。
http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm

同書には「柴」について、モルディケによるヤドリギ説 の他に、
キイチゴ属のRubus anguineusであるという説や、
http://www.flowersinisrael.com/Rubussanguineus_page.htm
蜃気楼説なども紹介されています。

廣部氏ご本人は、原文の"sneh"を「柴」とすること自体が 適当でないように思う、ということです。


シバの件、もう少し自力でみたとこと
ホウキグサ説があるみたいです。
エリアーデ関係の図に出ていました。
中世の美術としてえがかれているのは、しっかり木のようで、やはり、アカシアのヤドリギかなぁと・・・思いつつ。

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