唐草図鑑
唐草の文化史

「オリエントの文様」図版

オリエントの文様 (世界の文様)
(編集)石田 恵子, 松本 健 , 道明 三保子, 宮下 佐江子

me最も古い時代を見てみます。
植物文様は2つだけ。それも幾何学文様付きという感じ。動物文様12、印章6、 幾何文様16・・(333のうち36とすると11%)
以下、 巻末の宮下佐江子さんの「隊商都市パルミラ」から 抜き書き 

p211 文様の発展・・一概に法則をあてはめるわけにはいかないが、それでも、幾何学的文様から具象的文様へ、その中でも動物文様から植物文様へという変遷を遂げるといわれる。

p211 オリエントの地域で紀元前5000年頃に製作された土器の文様に見事な幾何学文様を見ることができる。単なる空間恐怖の念から生み出されたという説明だけでは済まされないような、洗練された美意識の発露がある。 鋸歯文、青海波、亀甲文、七宝文、卍文・・・。そして流麗な動物文様。

p212 古代オリエントの人々の得意技ともいうべきものは幾何学文、動物文あたり。
パルメット文というナツメヤシの葉の広がりからヒントを得たと考えられている植物文様は紀元前1400年ごろの北メソポタミアの遺跡から出土しているし、その後もエジプトのロータス文様の影響を受けながら発展していったが、その他にこれというオリエント産ともいうべき植物文様が浮かばない
西アジアが原産で紀元前4000年の昔からその果実で酒を作り、豊穣のシンボルとして尊ばれてきた葡萄樹は、文様にはなっていない
これを葡萄唐草文に仕立て上げたのはギリシア人。

p212 紀元前16世紀ごろのミノア文明に炭素発する唐草文がブドウと結びついたのは紀元前4世紀ごろのギリシア陶器が最初
ヘレニズム文明の大波と共に西アジアに流れ込み、もともと聖なる果物であった葡萄の意匠がオリエントの人々に受け入れられた。 パルミラの興隆はまさにこの葡萄唐草のオリエントへの進出の時期

p214 植物文様の展開は砂漠を越えてきた人々にとってどれほどの安らぎを与え、心豊かにさせたことだったろう

著書:人面鳥と有翼人のイメージにみる東西文化の交流
翻訳:大英博物館のAからZまで  

関連ページ:オリエントとはオリエントの文様概観 用語22植物文様図版、・・(このページ)紀元前3000年以前の図版のピックアップ 

紀元前3000年以前のオリエントの文物

図版チェック 抜き書き

植物文様

紀元前3000年以前の植物文様2つ

p56 図69 

 ロゼット文様 前4400年ごろ 土器 イラク  アルパチヤ出土

ロゼット文様だが周囲は同心円の格子文様
イラクから失われた宝物、側面に沿って赤い四角と白い十字架から成る凝った装飾、中央にロゼット
幾何学的に均整の同心円内市松正方形パターン
画像ソースミュンヘンHirmer VERLAG
http://humanpast.net/art/art6k.htm
p57 図71 

彩文土器皿 ロゼット、輪繋文様 前5000年ごろ 土器 イラク アルパチヤ(※)出土 

https://www.flickr.com/photos/11413503@N03/ 
meアルパチア?
アルパチヤで検索してみたが→地名がカタカナ表記だけなので不明で、 無関係のアメリカの山脈の名前、アパラチアが出てくる始末。
Wikipediaにあったらしい文も見当たらなかったが(キャッシュでは以下) 「アッシリア(Assyria)は、メソポタミア(現在のイラク)北部 アッシリア地方の最も早い時期の集落、アルパチア、ハッスナー等は紀元前6000年紀頃には形成され始めた。」とあったようだ
 ※「古代オリエント事典」に項目がありようやく検索もできた https://en.wikipedia.org/wiki/Tell_Arpachiyah
テル・アルパチア Arpachiyah,Tell

イラク、モースルMosul地区に位置する小型の遺跡。
ハラフ期からウバイド期にかけての文化層が確認されている。
1930年代のイギリスのM.マロワンMallownらが発掘調査を行い、 円形建物(トロス)や ハラフ式彩文土器、ペンダント型印章など、ハラフ Haraf文化の基本的アセンブリッジ(遺物の組み合わせ)を明らかにした。

「古代オリエント事典」常木晃

 ハラフ文化 Halaf Culture/Period

紀元前6000年紀にシリア北東部からイラク北部にかかるジャジーラ地方を中心に広がった先史文化
天水農耕と牧畜を基本的生業とし、彩文土器の生産や交易も重要な経済活動であった
近年テル・サビ・アビヤドの発掘調査で、ハラフ文化の形成には、ジャジーラ地方のローカルな土器新石器文化を母体としながらも、メソポタミア中部のサマッラ文化がSamarran Culture/Period が深くかかわっていた証拠が得られている

古代オリエント事典」常木晃

https://en.wikipedia.org/wiki/Samara_culture
p176 図288 幾何学文様だが、 

彩文土器碗 格子文様 前5000年紀 土器 イラク アルパチヤ出土
(⇒大英博物館蔵)

大英博物館のハイライト画像
Painted pottery bowl and plate
Halaf culture, about 5500-5000 BC From Arpachiyah, northern Iraq Fine pottery from the ancient world
https://en.wikipedia.org/wiki/Mosul
イラクの大二都市  モスリンの語源となった、チグリス川の西岸に位置しており、 ニネベ(荒廃した古代遺跡)の向かい岸、モスル博物館
マロウワン卿(1904-1978)はアガサ・クリスティ(1890-1976)の二番目の夫で、クリスティも住んだことがあった、などとあり。
https://www.shdenham.co.uk/wiki/Category:Arpachiyah

これ以外のものは  (植物文様図版植物文様図版2(モノクロ)唐草文様図版  へ) 

動物文様

紀元前3000年以前の動物文様 12ケ 

p100 図140  

 象牙製ナイフの柄 動物文様 前3500~前3100年 象牙彫刻エジプト製
ニューヨーク メトロポリタン美術館蔵

p102 図142  

 鹿文様 前6000年紀前半 壁画残欠 トルコ チャタル・フユックⅤ層出土
トルコ アナトリア文明博物館蔵

https://kiiken.blog5.fc2.com/blog-entry-109.html 
p124 図187  

彩文土器壺 ヤギ文様 前3200年頃 土器 イラン テぺ・シアルク出土 ニューヨーク メトロポリタン蔵

metmuseum
彩文土器Pinted Pottary は⇒「彩文土器に描かれた動植物について」へ(6ケ)

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これ以外のものは  (動物文様図版 へ) 

幾何学文様

紀元前3000年以前の幾何文様 16ケ

p153 図243  

彩文土器壺 輪繋横縞文様 前5000年紀後半 土器 北メソポタミア出土 シリア考古・博物館総局

p154 図245  

彩文土器台付鉢 横縞文様 前4000年頃 土器 イラン出土 東京 古代オリエント博物館蔵

p154 図246  

彩文土器壺 幾何文様 前6000年紀後半 土器 トルコ 伝ハジュラル出土 東京 古代オリエント博物館蔵

p159 図249  

彩文土器扁壺 格子文様 前6000年紀中頃 土器 トルコ ハジュラル出土 アナトリア文明博物館蔵

https://en.wikipedia.org/wiki/Museum_of_Anatolian_Civilizations 
p157 図251  

彩文土器壺 幾何文様 前4900~4500年頃 土器 イラク テル・ソンゴル出土 バグダッド イラク博物館蔵

p166 図269  

青銅製牡牛蔵 同心円文様 前3000年紀後半 金工 トルコ アラジャホユック出土 トルコ アナトリア文明博物館蔵

p167 図273  

彩文土器鉢 抽象文様 前6000年紀後半 土器 トルコ ハジュラル出土 アナトリア文明博物館蔵 

https://www.city.okayama.jp/orientmuseum/
https://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1997Expedition/03/030700.html 

彩文土器 ニネヴェ5式土器(←トランジショナル期←ウルク後期)
「パネル文の中では具象文のパネルと幾何学文のパネルの組み合わせが最もポピュラーで芸術的にも優れた印象を受ける」
体部の上半にパネル文を下半に重弧文を描いた文様構成が多いことと、凹レンズ文の使用頻度が高いこと

https://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1997Expedition/index.html
p174 図283  

彩文土器壺 山形文様 前4000年紀後半 土器 イラン スーサ出土 

p175 図285  

金製水注 山形文様 前3000年紀前半 金工 トルコ アラジャホユック出土 トルコ アナトリア文明博物館蔵

(※これ年代あっている??)
p175 図286  

彩文土器長頸壺 山形文様 前5000年紀前半 土器 トルコ ジャン・ハサン出土 トルコ アナトリア文明博物館蔵

p181 図295  

刻文土器水差 波文様 前3000年紀 土器 トルコ カラオ―ラン出土 トルコ アナトリア文明博物館蔵

p181 図296  

彩文土器双耳壺 波形文様 前3500~前3100年頃 土器 エジプト出土 個人蔵

p186 図306  

彩文土器双耳壺 渦巻文様 前3500~前3100年頃 土器 エジプト出土 東京 古代オリエント博物館蔵

p188 図310  

彩文土器双耳壺 抽象文様 前6000年紀後半 土器 トルコ ハジュラル出土 アナトリア文明博物館蔵 

これ以外のものは  (幾何文様図版 へ) 

△PageTop


途中であるが、だいたいこんなであった。

me2013年1月13日 図版を一つ一つ見ていくのは大仕事。またしても途中になっているので計画的にいきたい。322までの番号が付いているが植物文様はだいぶ進んでいるので、残り1日3つ(週20)で、3カ月 2013年4月末締めということでどうでしょう(~_~;)

・・(このページ)最も興味のある、紀元前3000年以前の図版のピックアップをしてみました

me
オリエントの文様概観オリエントとはオリエントの文様用語22

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