動物文様 獅子・ライオン

アニマル・スタイル


アニマル・スタイル animal style 前 7 世紀末ごろから約 1000 年間にわたり,ユーラシア内陸部の草原地帯で活動した遊牧騎馬民族が創造し,愛好した動物意匠,動物文様
西はハンガリーから東はモンゴリア,北は南シベリアから南はイラン高原まで,同類のアニマル・スタイルが広くおこなわれ,剣や深(えびら),馬具,帯金具などの器物を飾った。
材料には金,銀,エレクトラム,青銅のほか,木やフェルトを用い,なかにはラピスラズリなどの貴石を象嵌したものもある。内陸ユーラシアにおける騎馬民族文化の広域性と斉一性を最もよく示す一方,地域差・時期差も認められる。のちには,ゲルマンやバイキングの動物意匠の成立に大きく作用し,古墳時代以降の日本にも影響を与えた。
しかし,彩陶に表現された動物文様や殷・周時代の饕餮 (とうてつ) 文,あるいは日本の縄文土器の蛇形装飾などは,別系統のものと考えるべきであろう。
 この意匠の特徴は動物の形を輪郭に重点を置いて表現する点にある。したがって,透し彫風,浮彫風で,平面的な場合が多いが,立体的な表現をとることもある。猛禽類のくちばし,鹿やヤギの角,馬のひづめや前後の脚を折りたたんでうずくまる鹿や羊など,簡潔に様式化し,動物の特徴的な部分や姿態を強調する傾向が強い。最小の空間内に最大の内容を盛りこもうとする意図が著しく,動物の形を環状に丸めたり,一つの動物形のなかに他の多くの動物を入れこんだり,動物相互を組み合わせたりする。その典型が動物闘争意匠ないし動物咬貨意匠と呼ばれるもので,横倒 B 字形や長方形の枠内に複数の動物がからまり合う。
 このような意匠の原郷については,シベリア,中央アジア,黒海沿岸地方 (南ロシア),北イラン,古代オリエントなどの諸説がある。最も有力なのは北イラン説で,ウルミエ湖南東で発見されたジビエ遺宝を重視して,この地の文化と接触したスキタイ民族が創出したとする。しかし,ミュケナイ文化には象牙に浮彫された動物闘争意匠があり,ジビエ遺宝にはフェニキア美術の影響も認められ,起源ははるかにさかのぼる可能性も残っている。
 主題となる動物や材料には地方差が認められる。普通には鹿やヤギが主要な動物で,黒海沿岸のスキタイや南シベリアではライオン,猪,猛禽が加わるが,モンゴリアでは牛,馬,羊,ラクダなどの家畜が見える。
一方,アルタイ山中のパジリク文化では,空想的で怪奇な鳥獣が頻繁に登場する。南ロシアでは金や銀,エレクトラムが主で貴石の象嵌が多いが,モンゴリアでは大部分が青銅である。南シベリアはその中間の混交地域と考えられる。また,年代に応じて写実的なものから様式化したものへ,単純なものから複雑なものへの変化が認められる。スキタイ初期の意匠は概して単純で,中期に複雑化する。一方,南シベリアやアルタイのものは様式化の度合が強い。このような地方的・時代的な変異は,アニマル・スタイルが西から東へと伝播していったことを物語っている
山本 忠尚(平凡社世界大百科事典)

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