聖樹聖獣文様
雄羊
羊の象形・象徴
エジプト 雄羊 |
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「エジプトの神々事典」の、「神聖動物誌」には、エジプトには二種類の雄羊が存在した、とある。
古い方の種は、水平に伸びる捻じれた角を持つ。
ovis longipes paleo-aegyptiuw(Ctaillard&Duerst)
=中帝国時代以降次第に姿を消してしまった
そのころ、頭の両側に巻いた角を持つ、
ovis platyra aegyptoadaが広まった。
雄羊は主にフヌムとアモンの神聖動物で、
フヌムの神聖動物(ovis longipes)はエレファンティン※で信仰され、アモンの神聖動物(ovis platyra)は特にテーベであがめられた。
メンデスの街では、特別な名前を持たないお羊が崇拝され、オシリスの魂であるともみなされた。
雄山羊(オヤギ)はときおり、メンデスの雄羊の代わりに崇拝された。
なお、この事典の64の項目の神名の中にクヌム Khnumの名は
項目として挙げられていない。
※Elephantineエレファンティンは現在のアスワンAswan
Wikipediaによれば、
「 大ピラミッド建造で知られるクフ王の名前は、クヌム・クフウイ(クフム神は我を守りたまうという意味)である。」
「古代エジプトシンボル事典」には、「魚と羊は伝統的に不浄なものとみなされ、神官がその肉を食べることも、
死者への供物とすることもなかった。」と、まずある。
これは意外。…聖獣ではなかったのだろうか。
以下「古代エジプトシンボル事典」から要約すると
1)農業上の役割として、穀物の種を踏み固めること。
2)生殖力が旺盛
…ということから
豊穣の象徴とされ、古くから各地で信仰されてきた。
雄羊神
クヌム(信仰地エスナ他比較的初期の雄羊神)
ヘリシェフ(ヘラクレオポリス)
メンデスの雄羊神
…中王国時代オシリスのバー(魂)と呼ばれていた。
新王国時代は最高神アメン神も雄羊の姿をとってていた
(「エジプトの神々事典」での表記は、「アモン(イメン)」)
エジプト美術に登場する雄羊は2種類
(1).
オヴィス・ロンギベス
ヒエログリフの形
(頑丈な体格と
波型で水平に伸びた長い角を持つ)
(2)後に
曲がった角を持つ
オヴィス・プラティラ にとってかわられた
(下向きの角とほっそりした体格)
ルクソールのカルナク神殿の参道に
雄羊頭のうつぶせの
クリオスフィンクス(アメン神)が並ぶ
「世界シンボル事典」(ハンス・ビーダーマン著)から要約すると
ヤギ、牛同様雌雄で対を成すシンボル
牝羊が狼の好餌となるような無害で愚鈍な動物であるのに対して、雄羊の方は、活力、精力、確固たる決意を象徴する。
羊は人類最古の家畜のひとつであるが、常に羊飼いがついて守る必要があったため、外的に対する無力さの象徴になった。
その「無邪気さ」のゆえにあらゆる誘惑の標的となる存在とみなされた。 子羊の方は、
羊の無邪気さをさらに強調した存在であるが、無垢が最終的に悪魔に打ち勝つことを示すシンボルに。
エジプト…雄羊の顔をしたクヌム神の化身
ヘレニズム…ゼウス・アメン神…雄羊の角を持つ
雄羊は
インドのインドラ、ギリシアのヘルメス(メルクリウス)の持物
キリスト教の図像ではアブラハムが息子イサクの代わりに雄羊を犠牲に捧げる
占星術でも重要
黄道十二宮は白羊宮(雄羊によって象徴される「火」の宮)に始まる
ドイツ語表現Leithammel
先導する羊(盲従する群衆を従える先導者)
「世界シンボル事典」(ハンス・ビーダーマン著)から要約すると
羊飼い…宗教上の指導者のシンボル
羊の群れ…指導者の権威を受け入れ支持する人々のシンボル
(湯ぼく民の生活形態に基づく)
イスラエルの民にとって『主は羊飼い』(「詩篇」23;1)
よき羊飼い…肩に子羊を乗せている
古代ギリシアの
ヘルメス・クリオポロス(羊飼いのヘルメス)
→キリスト教
羊飼いのアトリビュートは
牧羊杖
一般に先端がかぎ状に曲がっている…司教杖もそれ
石をすくいあげて投げ捨てるのに便利なように、先端がシャベル状のまっすぐな杖も
エジプトの王の権標の鞭と先の曲がった笏杖…羊飼いがハエを追うのに用いた羽根ばたきと、牧羊杖から発展
「イメージシンボル事典」アト・ド・フリース著から要約すると
ヒツジ
1.春をあらわす
牡羊の角で表される白羊宮(物事の始まりと火をあらわす)と関係
2.無垢、単純、上品、誠実
a)遊牧民のアベルの羊は農耕者カインに殺される
b) 最後の審判の日に、神の右手に置かれたヒツジは、神の祝福を受け
左手におかれたヤギは永遠の罰を受ける、とされる。(マタイ25;33)
c)オオカミの反対物
3.愛情慈悲を表す
ヒツジは強者にその肉を与え、弱者にその乳を与え、こごえる者にその羊毛を与える。
4、生贄として捧げられる
a)白いヒツジは空の神への生贄として祭壇に、黒いヒツジは冥界の神への生贄として側溝に
b)黒いヒツジは嵐の神に、白いヒツジは西風に
c)キリスト
5、群居性、指導者への盲目的な追従
(後略)
思うのだが、あの
円柱渦巻きは牡羊の角のようにも思えてならない…
バーバラ・ウォーカーの事典では、雄ヒツジはRamの項である。英名Sheep (学名:Ovis aries) 天界のアリエス、白羊宮→
天界の雄ヒツジ、
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