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聖樹聖獣文様

フクロウ

フクロウとオリーブ

 
étradrachme athénien représentant Athéna
アテナイのテトラドラクマ
circa 410 AC.
表面(左)にはアテーナーの頭部が、裏面(右)には
アテナイのポリスを象徴するフクロウと
オリーブの小枝と三日月が刻印されていた。(wikipedia)

meフクロウについての文献を渉猟します・・・・
オリーブと三日月は置いて、 先ずはやはり荒俣宏さん。


図像

荒俣宏「世界大博物図鑑」第4巻p220-224

 

古代には,フクロウはクレタ島にいないと考えていたが、 前3世紀のクレタ島でつくられたこのフクロウの貨幣は,クレ タ島にこの鳥が存在したことを示す有力な証拠といえる。

  ティル・オイレンシュピーゲル、ドイツ中世民話の庶民的英 雄で道化者、ミミズクと鏡がその紋章で,その名オイゲンシュ ピーゲルも〔ミミズク鏡〕の意。どちらも物真似を暗示する。


囮用につくられたフクロウの人形
ヨーロッパでは,この人形でおびき寄せて捕獲する手法が広く用いられた。


me  荒俣宏さんの挙げたフクロウの図像は4つで、4つ目は、日本の「すすきみみずく」で、雑司ヶ谷鬼子母神で売られる名物玩具とのこと。
https://japan-toy-museum.org/


おとり用につくられたフクロウの人形
ヨーロッパでは,この人形でおびき寄せて捕獲する手法が広く用いられた。


前3世紀のクレタのコイン

me  荒俣宏著にあるフクロウ図像の 「前3世紀のクレタのコイン」は、wikipediaでよく引用されるものは少し違うもの。
また下のでもありません‥

Athens, tetradrachm, 86-84 BC, Weber 3526
アテネ、スッラ治世下のテトラドラクマ硬貨、紀元前86~84年。
アテナの頭部右側。アンフォラ右側に立つフクロウ。
両側にトロフィー。 すべて花輪で囲まれている。
画像はヘルマン・ウェーバー著『ウェーバー・コレクション』第2巻
ギリシャの貨幣』(ロンドン、スピンク・アンド・サン社、1924年)より抜粋。 (wikimedia)

Athens - 136-135 BC - silver tetradrachm - head of Athena - owl standing on amphora - Berlin MK BM

me 上のコインのイメージが近い。(ただしこちら紀元前136-135のもの、とあり)
荒俣さんのいうクレタのもので、紀元前3世紀のコインは、また後程www・・・


ティル・オイレンシュピーゲル



ティル・オイレンシュピーゲル(Till Eulenspiegel)

me  荒俣宏著にある図像。
フクロウと鏡を掲げる馬上の人物・・

14世紀の北ドイツに実在したとされる、伝説の奇人(トリックスター)
フクロウと鏡とともに描かれた
いたずら者のティル・オイレンシュピーゲル
(1515年のストラスブール版の表紙)

民衆本「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(wikipedia)


 

 Eulenspiegel Memorial, Kneitlingen, Lower Saxony, Germany
クナイトリンゲンのオイレンシュピーゲル記念碑
Tijl Uilenspiegel was adopted as a symbol by the Flemish Movement.(フランドル運動のしシンボルとされた)


me「フランドル運動」についての確認はまた後程・・また、鏡のイメージについては、別件で見ていましたので、これも後程リンクを追記します・・

Vlenspiegel 1515 259

Frontispiece of Ulenspieghel published by Michiel Hillen van Hoochstraten in Antwerp c. 1519

18世紀 ゴヤの絵

me  荒俣宏著にある3つ目の図像は、「ゴヤの作品《ドン・マヌエル・オソリオ・デ・ スニガ》の部分図」(→!?)

WLA metmuseum Manuel Osorio Manrique de Zuniga by Francisco Goya

me”Don Manuel Osorio de Zúñiga”で、検索しましたが、これではないようです。残酷な絵をたくさん見ましたが・・
下のはまぁヨシとして・・ 

Francisco de Goya, En måde at flyve på Hvor der er vilje, er der vej , , KKSgb8867-14, Statens Museum for Kunst
Francisco de Goya, En måde at flyve på Hvor der er vilje, er der vej ,
飛ぶ道(意志あるところに道は開ける),
Statens Museum for Kunst
※啓蒙主義の言葉であるとか‥

Francisco Goya, The Sleep of Reason Produces Monsters, circa 1799. Etching from Los Caprichos (no. 43).
「理性の眠りは怪物を生み出す」
「ゴヤを取り囲むフクロウは愚かさの象徴であり、群がるコウモリは無知の象徴かもしれません。」
ゴヤが1799年に出版した80点のアクアチント画集『ロス・カプリチョス』第 43 番の完全なエピグラフは、「理性によって放棄されたファンタジーは、ありえない怪物を生み出します。ファンタジーは、理性と結びついて、芸術の母となり、芸術の驚異の源となります。」 The Sleep of Reason Produces Monsters―em.wikipedia


Hunting with a decoy.

me荒俣宏著のキャプションの「ゴヤの作品《ドン・マヌエル・オソリオ・デ・ スニガ》の部分図』で検索したが該当がなく、正しくは《Hunting with a decoy (in Spanish)》の部分図であったようです。
1775 Museo del Prado, Madrid

フクロウというと、アテナの聖鳥であるはずだが、18世紀のゴヤにワープしてしまいました。


【名の由来】

アテネ(コキンメフクロウ,英名little owl)はギリ シアの知恵の女神アテネにちなむ。この神の賢さ がフクロウにたとえられたことによる。仏名シュ ウェットは,フランク語のkawa(ミミズク)が語源。 ちなみに俗語では,この語をchouette femme(すて きな女),Chouette!(しめた!)のように「すばら しい,申し分のない」という意味に用いる。この 鳥のしゃれた姿にあやかった表現である。


和名は,ふっくらした羽毛のようすから、「ふく るる」が転じたとする説がある。別説では,この 鳥が母親を食うとの俗信から,「ははくらふ」が転 じたともされる(《日本釈名》。


【博物誌】

この鳥は,夜行性という特質から 闇のなかでも目が見える冥界の使者と考えられ, 古代エジプトをはじめ,ほぼ世界的に凶鳥とされ た。ヨーロッパには,フクロウの声がしているあ いだに生まれた子は,一生不運につきまとわれる。 の俗信がある。


バビロニアの淫夢魔リリトも コノハズク類が正体とされ,ユダヤ伝説のリリス につながる。リリスはアダムの最初の妻で,魔女 であり,夫を置き去りにして夜の世界へはいって いったという。

Lilith Periodo de Isin Larsa y Babilonia
Lilith Periodo de Isin Larsa y Babilonia



ギリシアの女神アテネには「フクロウの眼の」を 意味するグラウコピスなる尊称があった。さらに, ギリシア神話にはグラウコスglaukos(フクロウを あらわすギリシア語の一般名詞グラウクスgaux の語源)の物語がみえる。それによると,ミノス の子グラウコスは,ネズミを追いかけているうち に蜜の大がめに落ちて死んでしまった。しかし陰 陽師のポリュエイデスは,ミツバチを追っていた 1羽のフクロウに導かれてその子の死体を発見し たという。


また,冥府のニンフの子アスカラポスは,冥府 で何も食べなければ地上に帰してやるといわれた ペルセポネが内緒でザクロの実を食べたことを告 げ口したため,彼女の母デメテルの怒りをかって フクロウに変身させられたという。

Askalaphos
Askalaphos


オウィディウスの《変身物語》によると, ペルセポネ自身が「火の河」の水をかけられ,ミミ ズクに変身させられたという。


聖書では「わ たしは荒野のはげたかのごとく,荒れた跡のふく ろうのようです」(《詩篇》102章6節)のように、荒涼とした廃墟と死の連想につながる鳥とされた。


ローマの神官が行なった鳥占いにおいても,フ クロウは最悪の凶鳥であった。


プリニウスは《博 物誌》にこう記している.ワシミミズクの類は葬 送の鳥であり,とくに公事の予兆としては最悪の ものである。かれらは人が近づかぬばかりか,不 気味で危険な場所に暮らす。夜の気味悪い申し子 であるかれらは,その鳴き声からして妙変なる調 べにほど遠い金切り声を発する。したがって町な かや白昼に,いかなる情況のもとでもこれを目撃 すれば,呪うべき凶兆となる


(荒俣宏さんの話)現実の生態は,これら旧博物誌の所見とは あまりにも違いすぎるので一言しておく。第一に, フクロウといえどもまったくの暗闇では目が利か ない。しかもこの鳥はネズミを食する益鳥である。


西洋動物学の始祖アリストテレスは,フクロウ の天敵はカラスで,昼は目の見えないフクロウを カラスがいじめたり卵を盗んだりし,夜は逆にフ クロウがカラスの卵を食い荒らす,と述べている。 この2種の仲が悪いことは,東洋でも知られており, 岩手県でも,昼にはカラス,夜にはフクロウが交 互に相手を傷つけあうといわれている。


古代ギリシアでは諸芸の女神アテネ(ローマではミネルウァ)の持ちものとされたため, フクロウは知恵の象徴となった。眼鏡をかけて本 を読む戯画は,学者への諷刺としてしばしば描か れる。


インドネシアでも,オランダ人がもちこんフクロウのシンボルが学校を示す標章に用いられている。 (p224)



meこの部分、インドネシア語で学校は”sekolah”ということで、 検索しましたが該当のものは不明です、、、


「ミネルウァのフクロウは,たそがれが来ると 飛びはじめる」諸学のうちち哲学はもっとも遅く にやってくる。それは、精神の最高の開花だから で,成熟に時間がかかる。ヘーゲルは知性=哲学の シンボルであるフクロウにこの真実を託した。
ドイツ観念論時代の名文句(ヘーゲル《法哲学》序文)


Minerva onyx Louvre Ma2225
フクロウを左手に持つミネルウァ像
大理石、2世紀、ルーヴル美術館蔵。

 

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルが『法の哲学』(1821年)の序文で「ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏と共に漸く飛び始める」(ドイツ語: die Eule der Minerva beginnt erst mit der einbrechenden Dämmerung ihren Flug)と述べたことはよく知られている。
以後、特に哲学の比喩とされるようになった。(ミネルヴァの梟―wikipedia


 

me閑話休題、フクロウというと、デジョンの「フクロウの道」を歩いてみたことを思い出します。パリから2時間。2019
こちらの方の記録にあるような、ディジョンのノートルダム教会への道 https://keikoparis.exblog.jp



フクロウのシンボル

AI による概要
フクロウ(梟) | 考察事典 - イメージ、象徴、メタファーなど
フクロウのシンボルは、国や文化によって「知恵」と「幸運」の象徴とされています。日本では「不苦労(苦労しない)」「福来郎(福が来る)」などの当て字で縁起物とされ、夜目が利くことから「見通しが明るい」とも考えられています。一方、西洋では古代ギリシャのミネルヴァ神やローマの女神ミネルヴァの使いとして知恵の象徴とされています。
日本での象徴
「不苦労」「福来郎」:「苦労しない」「福が来る」という意味の当て字から、縁起物として親しまれています。
「商売繁盛」:首が回ることから、周囲がよく見える=見通しが良いとして、学問向上や商売繁盛の象徴とされています


西洋・その他での象徴 「知恵」:古代ギリシャの知恵の女神アテナや、ローマ神話の女神ミネルヴァのシンボルです。
「知識」「洞察力」:夜行性で暗闇でもよく見えることから、逆境を乗り越え、先を見通す力を持つと考えられています。
「守護」:ネイティブアメリカンなど、一部の文化では住居の守り神とされています。
「神秘」:古代エジプト神話では、異界とのコミュニケーションがとれる「神秘の聖霊」とされていました。


meなぜかAIさん、フクロウのイメージの良い側面しか出してしていませんね‥
(20251109に聞きました)
参照先であるか、冒頭に、 「考察事典」の名が出ていますが、そちらには、 ”フクロウには、「知恵」「賢者」「長老」「幸運」「ハンター」「悪魔」「魔術」「暗闇」「孤独」「凶兆」「死」などのイメージや象徴的な意味があります。”とちゃんとあります…


【民話・伝承】

(ラ・フォンテーヌ《寓話》巻 の11-9). ハツカネズミとフクロウ ラ・フォンテーヌ が事実を詩の形でとりあげた,《寓話》のなかでは 異色の話。


(ラ・フォンテーヌ《寓話》巻 の5-18). ワシとフクロウ


                  

Fable―en.wikipedia


 

meヨーロッパではミミズクとフクロウを一般に区別しないので、ミミズクの項では東洋のミミズク観のみ示す、と荒俣宏さん@「世界大博物図鑑」第4巻p225-228‥
~~~ 途中です(20251109)


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First update: 2013/04/12;LastModefied 2025/11/09
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