ボッティチェッリの聖会話図
バルディ祭壇画
聖会話図 :玉座に坐す聖母子の周囲に聖人たちが描かれる構図
多翼祭壇画が複数のパネル狩らない、それぞれのパネルに1人自治聖人が描かれていたのに対し、大型の単一板絵からなる祭壇画形式(パーラ形式)への移行に伴って生み出された
京谷啓徳(p64)
様々な植物は画面に華やぎを与えるとともに、その象徴的意味によって聖母を称えてもいる。これらの植物はマリアを誉める『詩編』の章句を暗示している。
バルディ祭壇画は1484年、ジョバンニ・ダニョーロ・デ・バルディの注文で制作された。ジョバンニはメディチ銀行のロンドン支店の支店長を長らく務めた人物。
二人の聖人は、寄進者と同じ名前の聖人(ヨハネのイタリア語表記がジョバンニ)、すなわち彼の守護聖人として選ばれたのであろう。
サン・バルバナ祭壇画
聖母子の左方には、
オリーブの枝と書物を持つ聖バルバナ
司教帽をかぶり著述を行う聖アウグスティヌス、処刑に用いられた刃物のついた車輪が背後に見えるアレクサンドリアの聖カタリナが、
京谷啓徳『もっと知りたいボッティチェッリ』(p65)
右方には、セイン礼者聖ヨハネ、
アウグスティヌスと同じ司教帽をかぶる聖イグナティウス、
そして渦中に身を包み、右手に剣、左手に世界を表す球体を持つ大天使ミカエルが立つ。
玉座の裏には、アーミンの毛皮を裏地に使った赤い天蓋が架けられ、
それを二人の天使が開いている。
聖母子の左右の天使たちは、手にイエスの受難具(茨の冠、3本の釘)を持つ。
天蓋の左右壁面の円形区画には受胎告知の場面、
玉座の基壇には「母なる処女、汝が子の女」との名分があるが。これはダンテの『神曲』の天国編第33課からとられている。
この作品ではイエスがいささかうつろな表情を見せる。それぞれの聖人も自らの想いの中に閉じこもり、沈鬱な運息が漂う。