『キリストの顔』で 「記号学」(パース)を見ましたが、ピエール・ギローの『記号学』(文庫クセジュ 1972)以後の知識がないので、しばし復習です・・
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
芸術記号論
semiotic theory of art
[参照項目] | 記号論 | 芸術 | シンボル | 文化記号学
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)Wikipedia
漏れを補う、 適当な文献(図書)を探してみました・・。
この本がよさそうです。
但し、モーセをモーゼと表記するのはそれなりの古さであった。
以下目次読書
「芸術の記号論」 – 1983
加藤 茂 谷川 渥, 持田 公子, 中川 邦彦 (著)勁草書房
I章では、ソシュール、パース以来の記号論の歴史が解説され、芸術記号論の様々な試み、方法が検討される。II~IV章では各々、絵画・文学・映画を素材に解読の実際が示される。
記号論とそれに基づく芸術論の基本問題
「記号」の名でよばれている現象;
記号論小史、とりわけソシュール、パース、カッシーラーを嚆矢とする、それぞれ特色ある三つの現代記号論の論点整理。反心理主義的、反形而上学的、経験主義的という一連の特徴を明示する芸術記号論の三人の代表者、ムカジョフスキー、モリス、ランガーの諸学説吟味 (「はじめに 」にある要約)
絵画をめぐる言述を記号論的に検討
絵画と言語との関係について、プラトン的模倣論、姉妹芸術論、芸術言語説の順に歴史的概観の試み
ソシュール言語学に端を発する記号学的(セミオロジー)方法の生成を辿り、
マランによって明示化された「絵画の記号学」を検討
次に、従来の美術史学的方法としてのイコノロジーを置き直す
最後に、パース流の記号論(セミオティック)に基づいて、絵画を「イコン」として捉え直すことによって、そこの様々なな位相差を持つコートが対自化され、開かれた経験」としての記号論論的言述が確認される。(p3) (「はじめに 」にある要約)
Ⅰ章とⅡ章の抜き書き読書
記号論小史(p29)
知の分類原理としての記号―ソシュールとバルト
フランス思想の伝統ともいえる二進法的な分類形式を持つ行動の道具としての記号―パースとモリスの記号論
パースによく知られた、「類像」icons と「指標」indicesと「シンボル」symbolsという記号の三分類は、動的対象に対する記号のいろいろな関係から出てくる区別である(p39)人間精神を開示する記号―カッ シーラーとランガーのシンボリズム
社会的総体を指示する美的記号―ムカジョスフスキーの芸術記号論(チェコのプラーク構造主義美学)(p64)
価値を指示する類像的記号―モリスの美学的記号論(p69)
感情を表現するシンボル形式―ランガーの芸術シンボル論(p77)
II 絵画の解釈と記号論[谷川渥]
伝統的模倣論と姉妹芸術論(p105)
二様の言述の対立芸術と言語との類比(p109)
芸術を表現の問題として意識的に捉え、それゆえ芸術を言語と類比的に論じようとする基本的姿勢は、カント以降、フィードラーやリーグルなど近代芸術学の創始者たちのうちにも顕著に見て取れる絵画の記号学の原理(p122)
ルイ・マラン『絵画の記号学の原理』(1968)
Nicolas Poussin - Landscape with a Man Killed by a Snake
古いタイトル=「恐怖の効果」(p136)
(1)蛇・死体:怯えさせるもの
(2)男=怯えさせられたもの(→怯えさせるもの)
(3)女=驚かされたもの(→驚かすもの)
(4)猟師=注意を向けるもの
(5)・・・無関心なもの
形象の多義性なるものの内実、読解の体系の開放性を明らかにしている
我々の読解を通じて、その都度新たな意味の移送を獲得してゆく開かれた経験を保証してくれる(p138)
イコノロジーの生成(p138)
マランの選んだテキストとしてのプッサンはイコノロジーの提唱者パノフスキーがことのほか好んだ画家であった。(p138)現代的意味・・ヴァールブルク 1912年「イコノロジー的分析」=図像と宗教、詩、神話、科学、社会並びに政治生活との関係の研究で従来の美術史研究に新しい地平を開いた。
イコノロジーの方法(p142)
パノフスキー 1939『イコノロジー研究』 : イコノグラフィーは美術史の一部門であり美術作品の形式に対置されるところの主題や意味を取り扱うものである、という。イコノロジーの批判(p146)
「芸術的品質をないがしろにしている」
パノフスキーの見解がある程度答えになっている・芸術作品=美的経験を要求する人工物
美的経験において捉えられるのは、一つに結びついた三要素(物質化された形式、観念(主題)、内容)
「イコノロジー上の解釈は、作品の中に芸術家によって意図されていた以上の(恣意的)象徴的意味を見出す危険性がある」
パノフスキーの「明白な象徴表現(シンボリズム)」に対比する「偽装された象徴表現」(→危険)
パノフスキーの後継者の一人ゴンブリッチ「イコノロジーの目的と限界」:過剰な意味を取り出すことを避け、作品の「志向(意図)された意味」を目指すには、当該作品がジャンル(祭壇画、聖使徒伝画、神話画、寓意画など)のいずれに属するものかを確認することが第一に必要(だが困難)
伝統的「適性論Decorum」の枠からはみ出しているような独創的芸術家の作品に対してはどうか
美術作品を人間の内的形成意思の可視的表現とみなすパノフスキーの考え方は、
作品と人間の意思に、(具体的にはその意思を総括した世界観に)結び付けようとしたリーグル説「芸術意思」Kunstwollenによって理論的枠組みを与えられ、
ヴェルフリンの形式主義に対立するドボルジャークらの精神史の系譜につながり、
さらにカッシーラ流の「象徴形式」の哲学と結びつくことのよって完成した美術史上の方法、
作品を「意味するものの統体」とみなすところに立脚する構造論的意味論
解釈対象としての「イメージ」とは、「モチーフ」と文献的知識内容と一種の意識的・約定的な連合である(記号学とパラレル)
記号論的観点からすれば、パノフフス―のイコノロジーは意味層の区別において不十分
マラン流の記号学的方法と比べて特徴的なのは、主として範列的配列的分析を行うという点。それはイコノロジーが何をおいても作品の歴史的認識を目指すところからくる
(イコノロジーの主眼は、結局のところ作品の史的位置づけ)
連辞的分析を主体とする(その限りでは共時的)な記号学的分析は、それ故、あたかもイコノロジーを補完すべく台頭してきたかのようである(p151)
論点の図式化(谷川渥p145)
<イコン>としての絵画(p151)
コードの位相差(p158)
作品解釈に当たって関与しているはずのさまざまなコードをまずもってあたう限り意識化すること開かれた経験(p163)
ゴンブリッチ
がオズグッドの「意味論的空間」を単純化した図
Gombrich,Expression and Communication
Gombrich, Visual Metaphors of value in Art 「隠喩」の問題
SD 法
〖semantic differential technique〗大辞林 第三版の解説
言葉・図形などの刺激をいくつか与え、それらが含む意味の相違を、対をなす形
容詞を両極とする評定尺度を用いて測定する心理学的測定法。
オズグッドにより考案された。意味差判別法。意味微分法。
アメリカの心理学者オスグッドが考案
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対象となる物の印象が、どのような心理要素から成り立っているのかを客観的に測定し、回答グループ同士で違いを比較する方法。
ゲーテの『色彩論』
「色彩の寓意的、象徴的、神秘的使用」の表(p162)
ウンベルト・エーコ著 『記号論』岩波書店, 1980/同時代ライブラリー, 1996年
『薔薇の名前(上・下)』東京創元社, 1990
『中世美学史-『バラの名前』の歴史的・思想的背景』而立書房, 2001
『カントとカモノハシ(上・下)』岩波書店, 2003
「またあのパイプですか?もういいかげん、飽き飽きしました。でもまあ、いいでしょう。ところであなたは、このパイプに煙草を詰めることができますか。いえいえ、できないはずですよ。これはただの絵ですからね。もしここに「これはパイプである」と書いたとすれば、私は嘘をついたことになってしまいます。」 https://www.artpedia.jp/magritte-the-treachery-of-images/
図像学 「シンボルとアレゴリー」