ノイマンの「ウロボロス」 |
(※元型(原イメージ)=ユングの用語。集合的無意識の構成要素)
「神話の本質的な部分には、人類の意識の発達が無意識のうちに自己表現されている。」(p29)
「竜との戦いの神話は、自立せんとする意識を描いたもの」
しかし、この帯の文言?・・
「病巣」って!?
たしかに「本研究の目的は個人と文化の治療である」(p26)とあり、人類を滅ぼす大衆的現象に打ち勝つ、といったことが書かれているが、こう大書されると違和感があります。・・
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The origins and history of consciousness
こころ(※ゼーレというルビ)
「序文として一言書いて欲しいという著者の希望に、私は喜んで応じることにした。
なぜならこの稀にみる労作は大いに私の意に叶ったからである。
本書の原稿を読んで、私は開拓者の仕事がいかに不利であるかを思い知らされた。
彼は関連の網の目を組み立て、全体を構築することに成功した。それは開拓者では決して成し得なかった。
彼の研究は、私がかって思いもかけず未知の大陸にぶつかってしまった箇所、すなわち母権制のシンボル体系から始まっている。
しかもそのシンボル体系の中に見られるものを抽象的に把握するために彼が用いているシンボルは、私の最近の研究である錬金術の心理学の中で初めて私にもその意味が幾分明らかになってきたシンボル、すなわちウロボロスなのである。」
1949年3月 C.G.ユング
序論
神話は集合的無意識の投影である意識発達の元型的諸段階 発達史の観点 意識の創造的な性格 超個人的要因と個人的要因 意識発達は人類史的かつ個体発生的な出来事である 方法について 本研究の目的は個人と文化の治療である
第1部 神話に見られる意識発達の諸段階
A 創造神話
Ⅰ ウロボロス (※1)ouroboros.html
E・カッシーラーは、あらゆる民族、あらゆる宗教において、創造が光の創造として現れていることを証明し、その内容を記述した。
要するに、無意識の暗黒に対立する光として現れてくる意識の成立こそ、創造神話の本来の「主題」なのである。
意識の発達の始まりを、世界の始まりとして神話的に表現したものが光の生成であり、この光の生成があってはじめて、世界生成がそもそも目に見えるものとなるのである.
(p37)
フロイトが窪んだものをすべて女性的なものとみなした時、それらをシンボルとみなしていたなら、正しい見方になったであろう。それを「女性性器」と解釈する時、彼は大きな間違いを犯す。なぜなら、女性性器は原母元型のわずかな部分にすぎないからである。 (p46)
母ウロボロスと自我-胚芽━良き母。人間の意識はこの母なるウロボロスに対して自らを胎児的だと感じる。というのは自分がこのシンボルの中ににすっぽり包まれていると思われるからである。(p47)
ウロボロス近親相姦とは始原の一体感へ戻ろうとする傾向である。近親相姦とはもちろん象徴的に理解されるべきであって、具体的-性的に理解されてはならない。(p50)
互いに結合した原両親一 太母、すなわちウロボロスの支配下にある自我 二 恐ろしい太母の支配領域としてのエジプト、カナン、クレタ、ギリシア 三 太母に対する少年=愛人の関係を表す諸段階Ⅲ 原両親の分離、すなわち対立原理
B 英雄神話
Ⅰ 英雄の誕生
Ⅱ 母殺し
Ⅲ 父殺し
C 変容神話
コンプレックスとしての自我 解釈の構造的な側面と発生的な側面 時系列としての元型的諸段階
A 始原の一体性 - 中心志向と自我形成
(神話的段階 - ウロボロス、および太母) 一 始原状態たるウロボロスに包まれた自我・胚芽 二 ウロボロスからの自我の発達 三 生物体における、およびウロボロス段階における、中心志向 四 中心志向・自我・意識 五 自我発達のその後の諸段階
B 体系の分離 - 中心志向と分化
(神話的段階 - 世界両親の分離、および「竜との戦い」) 序論 無意識を防御する中での自我体系の強化 無意識の攻撃傾向を自我活動へ転用する 自我が無意識にたいして積極的に対決し、個性が生まれる 一 元型の分解 二 情動的要素の解体、および合理化 三 付随的個人化 四 快-不快-要素の変転 五 人格の判断中枢の形成 六 自我の総合機能
C 意識の平衡と危機
序論 一 体系分離の補償 - 平衡状態にある文化 二 体系分離から体系分裂へ - 危機にある文化
D 中心志向と年齢 - 年齢段階の意味
序論 一 小児期の延長と、人類の意識分化の個体発生的反復 二 思春期における集合的意識の活性化と自我の変化 三 人生後半における中心志向の自己意識化
補 遺 付録Ⅰ 集団、偉大なる個人、および個人の発達 付録Ⅱ 大衆人間の形成と集合化現象
始原に位置するものは完全性と全体性である。
始源にはいつもある一つのシンボル[=ウロボロス]が置かれるが、このシンボルは恐ろしく多様な意味をもち、規定されず、規定し得ないものであることが最大の特徴である。
始源の原初の状態は、神話において宇宙に投影され、世界の始まりとして、すなわち創造神話として描かれる。(p36)
ウロボロスを描いたおそらく最古のものは二ップール出土の皿であり、
テンの蛇としてはすでにバビロニアに見られ
その起源についてはマクロビウスがフェニキア人に伝えている。
ウロボロスは《全は一なり》の元型としていたるところにみられ、
例えばりヴィアタン、アイオーン、オケアノス、それに
「私はアルパでありオメガである」と自らを明かした原存在として現れている。
(p42)
古代[エジプト]のクネフは「原蛇]すなわち[太古の最も古い神の姿]である。
このウロボロスは、ヨハネの黙示録、グノーシス、それに諸派混合期のローマに見られ、その絵は、
ナヴァホ・インディアンの砂絵やジォットーの絵画に、また錬金術の文献やジプシーの魔よけの護符などにも描かれている。。
(p43)
https://en.wikipedia.org/wiki/Mother_goddess
Carl Gustav Jung suggested that the archetypal mother was a part of the collective unconscious of all humans, and various Jungian students, e.g. Erich Neumann and Ernst Whitmont have argued that such mother imagery underpins many mythologies, and precedes the image of the paternal "father", in such religious systems. Such speculations help explain the universality of such mother goddess imagery around the world.
https://charm.at.webry.info/200702/article_9.html
(2011年8月5日)HOME
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