青銅の蛇


Angelo Bronzino 016

by アンジェロ・ブロンツィーノ(Agnolo Bronzino, アーニョロ・ブロンズィーノ1503 - 1572)
メディチ家のフィレンツェ公コジモ1世の宮廷画家

西洋シンボル事典―キリスト教美術の記号とイメージ

この辞典は名の如くキリスト教見地で、 「蛇は聖書では最初から最後まで反キリストとして登場し、否定的なものの凝り固まりを意味する」とある。(ここら辺は、ヴァールブルクの論をあとで※見ます)


「神話と美術では二重の層を持ち、文字通り幸福をもたらすものとしての蛇は、医神アスクレピオス崇拝に現れる。」として、 このモーセの青銅の蛇は「原罪の無限の撲滅者というキリストの予型」とする。
キリストのシンボルとなる青銅の杖と、 エジプトの魔術師をくじくために蛇に変わったアロンの杖とこの二つは、 「エジプトの蛇の肯定的象徴表現の反映である」としている。

※ヴァールブルク「蛇儀礼」よりまとめ
聖書の中の偶像崇拝  青銅の蛇(Eherne Schlange)
旧約聖書 民数記 モーセ
蛇にかまれた傷をいやすには、青銅の蛇を作ってそれを見上げよ
旧約列王記下 ユダの王ヒゼキヤ(King Hiskia)がモーセの作った青銅の蛇を打ち砕いた。 (イスラエルの人はこのころまでこれをネフシュタンと呼んで香を焚いていた)

Agnolo Bronzino - The adoration of the bronze snake - Google Art Project (27465014).jpg
"Agnolo Bronzino - The adoration of the bronze snake - Google Art Project (27465014)" by アーニョロ・ブロンズィーノ - LgGU_jscXvVr0Q at Google Cultural Institute, zoom level maximum. Licensed under パブリック・ドメイン via Wikimedia Commons.

16世紀初めの、蛇に体をかまれる図(壁画)というわけだが、ここには、蛇に吸乳される中世の隠喩はみられないようだ

権杖

権杖(けんじょう)(東方正教会)は?・・・
*(『ウィキペディア(Wikipedia)』より正教会の主教が奉神礼の際に用いる杖。十字架を頂いたT字型のものや、『民数記』(21:8-9)でモーセが旗竿の先に掲げた青銅の蛇にちなんだ、蛇が十字架を中心にからみあった意匠のものが使われる。)

一大テーマの…杖の蛇ですね…そして、 青銅でなく、いうなれば聖堂の蛇…⇒


蛇崇拝のイメージは、予型論(*1)的なイメージのつながりのなかで、磔刑図そのものにまでもちこまれる
モーセは民が黄金の雄牛を崇拝したという理由で掟の板を打ち砕いた。
クロイツリンゲンの教会の天井画(*2)の中で、「この掟の板との関連のもとで、紋章学上の盾持ちの役割を果たす形になっている」
(*1 新約聖書における事柄や出来事が、旧約聖書の中にすでに予示または象徴されているとする教説 )
(*2 「蛇儀礼」の表紙
聖書では、蛇はあらゆる邪悪の原因とされ、楽園からの追放という罰を受けた。
にもかかわらず、蛇は、不死身の異教的シンボルとして、つまり、治癒の神として、聖書の章の一つに再び忍びこんでいる

古代世界でも最も深い苦痛の本質を形象化。
その一方で、蛇の神性が持つ豊饒性をイメージに変えることにも成功

…蛇=苦痛というのは、今まで私が見た蛇に関する論にはなかったように思う。どうなのだろう。


中世の神学においても、運命の神として再び登場することに成功
高く掲げられた蛇の姿は、進化の途上にある克服された段階であることは明言されてはいるものの、磔刑の場面と同等の扱いを受けていた
…「進化の途上にある」と明言されている?のであるか。
この世に最初から存在する破壊と死と苦しみはいったいどこから来たのか
蛇はこの疑問に対する答えとして国際的に通用する象徴
蛇についての一章が(ファィヒンガーの)「かのように」の哲学*の中に与えられてもしかるべき

*(数学、自然科学から道徳的宗教的知見に至る人間のすべての営みを生活のために有用な虚構であり、実在との一致としての真理とは無関係とする )

…これは結び…ヴァールブルクの鬱の原因であるか結果であるかがこのあたりにあるのかと思う。
…って
「ユダヤ教の伝統的な偶像否定の教義に逆行するイメージ研究家」だったのね

訳者の解題は…
「イメージ(イコン)の偶像性とその破壊(イコノクラスム)を扱う「青銅の蛇」をめぐる記述に複雑な思いが込められている 」
しかし蛇儀礼の結びに太陽をもちだすのもなんか納得いかない〜
それも古代からの崇拝の対象でしょ?あれ??? 何かまだ読み足りてない思いです、σ(^^ゞ


上記「西洋シンボル事典」で取り上げられているイメージのWEB検索
11世紀のブロンズ扉 サン・ゼノ ヴェローナ
13世紀のレリーフ ヴェクセルブルクの説教壇
13世紀のキリスト教論のフリーズ ストラスブールの大聖堂
16世紀システィーナ礼拝堂 ヴァチカーノ宮殿
ティントレット  16世紀  スクオーラ・ディ・サン・ロッコ ヴェネチア
ヤン・ヨースト 16世紀 ザンクト・ニコラウス、カルカル/下ライン
アンソニー・ヴァン・ダイク 17世紀 プラド美術館 マドリード
青銅の蛇 ヘームスケルク

青銅の蛇 WEB検索

■『ウィキペディア(Wikipedia)
=== 引用 開始=== ・新約聖書の『ヨハネによる福音書』3:14イエスはかかげられた青銅の蛇のように「人の子もあげられなければならない」と語る
・正教会の主教が用いる権杖はこの青銅の蛇をモチーフにした杖を使用している。
・英語「ネフシュタン」 (Nehushtan)


TIME LINE(旧 アートat ドリアンArts at Dorian)


◆青銅の蛇、民21・4-9http://elemiya.asablo.jp/blog/ 荒れ野を旅するイスラエルが、炎の蛇に噛まれて死に苦しんだ時、青銅で作った蛇を、旗竿の上に掲げ、それを仰ぐと命を得たという故事


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『アービ・M・ヴァールブルク―ある学者の肖像―』
(ガーリッツ/ライマース編)
Robert Galitz und Brita Reimers. Aby M.Warburg.
'Ekstatische Nymphe... trauernder Flussgott':
Portrait eines Gelehrten Hamburg:
Dolling und Galitz, 1995. 3-926174-87-0