唐草図鑑バナー

グリロス


me バルトルシャイデスの「幻想の中世 ゴシック美術における古代と異国趣味 」(平凡社ライブラリー)の方ですが、1955年刊。訳者(馬杉宗夫)によれば、「最初 ロマネスク美術の中に見出し、次のゴシック美術の中で確信した幻想性の追求」・・という紹介。
「ゴシックの夜に跳梁する異形異類、繁茂する動物文・植物文・・・古代と東方の珍奇なイメージ群のダイナミックな運動を無類の学識と才筆をもって跡づけた綺想の図像学」・・・
ここで、『グリロス』という言葉を発見、このあたりをみてみます。いろいろ文様用語も出てきて、これも詳しく見るべきですが、少し置いてからにします。

(Ⅰ巻)

第一章 ゴシックのグロリス

第一節 頭部をいろいろに組み合わせて作る怪物
    頭脚人。身体各部に増殖する頭や顔。
第二節 古代のグロリス
    ギリシアーローマの玉石彫刻。驅幹に顔を持つ無頭神、他頭霊、     ペルシア・スキタイの頭房、サルディスの甲虫、面付き兜、動物の形をした頂飾━の起源
第三節 中世における古代彫石
    前ロマネスクの金銀細工において。十二世紀後半と十三世紀におけるカロリング朝の覚醒。
    古代印章。金石伝説。グリロスの印刻されたインタリヨ。マシュー・パリスの描いたカメオ。
第四節 中世における無頭神と多頭神
    伝説の中で。地獄絵と寓意図の中で。
    アングロ=ノルマン系黙示録の双頭ゴルゴン。ゴシックの兜。
第五節 中世末期におけるグロリス
    解体現象。新しい生命。グリロスの画家、ヒエロニムス・ボス



図35(Ⅰp108)頭脚族
 ヒエロニムス・ボス「聖アントニウスの誘惑」部分(※ページ下参照)

(同 p108)リールの司法官ルル・オーブリの印章(古物の贋作 1320年)

meグリロスとは?
だいたいこんな感じで・・。まず、「頭脚人」Headfooter ということだが、[無頭人」の他、「獅噛みの兜」などもその流れのようだ・・。三脚ゴルゴンも双頭ゴルゴンも興味深い。以下は目次読書のみ。

第二章 印章と古銭の奇想

第一節 印章の奇想
第二節 古代貨幣


第三章 イスラームのオーナメントと装飾枠

第一節 ゴシック的中世におけるイスラーム世界
第二節 抽象文
第三節 幻想的な植物文
第四節 嵌枠


第四章 幻想的アラベスク

第一節 獣文の回帰
第二節 アラビア的オーナメントの変身
第三節 人頭・驅幹唐草
第四節 「ワクワク樹」
第五節 その他の主題
第六節 ムザッーヒーブとゴシックの写本彩飾師

△ PageTop

(Ⅱ巻)

第五章 蝙蝠の翼手と中国の鬼神

第一節 中世における蝙蝠の翼手と龍の頭冠
第二節 蝙蝠の翼手と東アジアの鬼神
第三節 東アジアと西欧
第四節 西欧における東アジアの絵画と地獄についての伝承


第六章 東アジアの驚異

第一節 東アジアの神々、それらの台座と光背
第二節 生動する自然
第三節 生命ある器物


第七章 大いなる仏教的主題

第一節 仏教と西欧の誘惑図
第二節 <死の舞踏>と朽ち果てた死骸
第三節 マンダラ
第四節 ゴシックの幟


第八章 東洋の蓮華アーチ

第一節 東洋の背向曲線
第二節 西欧における背向曲線

結論

訳者あとがき
解説

△ PageTop


図45(Ⅰp146)三脚巴文
Flag of Sicily
→このゴルゴンの頭に麦がついていることは、こちらへゴルゴン(2p)

図26(Ⅰp101) 二裂のゴルゴン、アングロ=ノルマン系の黙示録
〔パリ国立図書館〕13世紀前


双頭ゴルゴン タロスのスカラベ 4世紀末
こちらのゴルゴンなるものは、口が問題で、ギリシア神話とはあまり関係がないように見えるが・・

2012年4月15日UP

△ PageTop


グリロス検索


周縁のイメージ―中世美術の境界領域マイケル カミール (著), Michael Camilleありな書房 (1999/12)刊
データベースより) 中世文化のマージンに姿を顕わすグリロス、キメラ、ガーゴイル、獣‐人間、自喰‐龍、淫蕩‐猿など、修道院や大聖堂の建築や彫刻、彩色写本といった聖なる領域を、自由奔放に侵犯するこれらのバブイン=異形たちを、中世美術の最高権威が読みほぐす。

本の表紙


http://ja.wikipedia.org/wiki/ヒエロニムス・ボス
(Hieronymus Bosch/本名:Jeroen van Aken、1450年頃- 1516年8月9日)
代表作 「快楽の園」(1480年 - 1500年頃)(プラド美術館)


The temptation of Saint Anthony(ca.1500)
(ポルトガル)リスボン国立古博物館 National Museum of Ancient Art

 


me以下も興味深いのですが、 次回まで置いておきます・・

第4章の「ワクワク樹」


図85(Ⅰp285)
(左)ナルキッソス「健康の園」(Hortus sanitatis、1492年)リューベック
(右)ジョン・マンディビル 1481年 アウクスブルク


図96(Ⅰp290)耳を共有するウサギたち 
左 A.リヨン大聖堂1310-20年 B.敦煌10世紀? C.イスラームの壺12-13世紀 D.バーバーボルン15世紀
右 オランダの版画1576年パリ国立図書館

△ PageTop


唐草図鑑ロゴ

INDEX アカンサス ツタ ロータス ブドウ ボタン ナツメヤシ
唐草図鑑
目次
文様の根源
聖樹聖樹文様
文献
用語
MAIL
サイトマップ