呉茂一「ギリシア神話」(1956)新潮文庫(1979)p371
ポセイドーンはゴルゴーンの一人メドゥーサとも懇ろを重ねた。一説(たぶんは後代のもの、例えばオウィディウス「転身の物語」
4-794以下など)によると、 メドゥーサはもとは非常に美しい少女でもって、ことに見事な髪の毛を誇っていた。
ポセイドーンの妻アンピトリーテーの憎しみを受け、あるいはアネーナー女神の嫉みを買って、ふた目と見られぬような醜さに、
髪も蛇に変えられたという。その上にもアテーナー女神はペルセウスをさし向け、
彼を教唆してメドェーサの首をとらせたのだと。
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Her motion is further indicated by the formulaic positioning of her legs in the so–called Knielauf position which stylistically resembles a swastika .
足の位置が定型的ないわゆるKnielauf position.卍に似ている
アナトリヤやメソポタミアの女神につき従うヒョウやライオンは古ヨーロッパ芸術では表現されなかった」(「古ヨーロッパの神々」 p194)・・とある。
前7~6千年紀に属する妊婦の肖像は裸像だが、前5~4千年紀になると端正な着衣像となる。ただし腹部だけは露わで、そこには聖なる蛇がまきついている。
腹部に「蛇」が巻き付いた祭礼服をまとっている<多産女神>像がある。A striding Gorgon, from a scene depicting her and her sisters, is depictedc as a winged maiden with serpent-haired head, broad face, staring eyes, and wide toothed mouth with protruding tongue.
私が最も違和感を感じるのは額の翼
メデューサまたはゴルゴンの頭、Gorgoneionは、古代世界で使用されていた厄よけのシンボル。古代ギリシア人の間で、最も広く使われているイメージ。アテナの盾に取り付けられたように描かれたメデューサのぎょろ目、牙と舌。
Winged Gorgon/Medusa with curly locks and protruding tongue. She has large protruding eyes and fangs and is in a warrior pose. Her son, the winged horse Pegasus, is under her left arm. Painted marble. Sixth century B.C.E. From the pediment of the temple at Syracuse in Sicily.
https://en.wikipedia.org/wiki/Cultural_depictions_of_Medusa_and_gorgons
呉茂一「ギリシア神話」新潮文庫p31
三人のゴルゴーン(ゴルゴー=怪生の女の意)たち、ステンノー、エウリュアレー、メドゥーサがそれで、
極洋のかなたの涯、夜と昼が境を接するところ、ヘスペリデスの園の近くに住まっていた。
呉茂一「ギリシア神話」新潮文庫p31
メドゥーサはポセイドーン神の愛を受けて天馬ペーガソスとクリューサーオール(「金の剣、提剣」という名)を生んだ。
なぜアテーナーがポセイドーンの愛人を嫉むのか、その理由が明らかでない。
ただメドゥーサの首から迸り出た血によって、翼のある天馬ペーガソスが生まれた、という伝説は、
彼女がポセイドーンによって身重になっていた話と、よく照合する。
なぜかというと、ペーバソスは第一に泉(ペーゲー)にちなみ、カスタリアーの泉に水を飲むという物語に知られるよう二、水が実と深い縁があるし、第二に馬はポセイドーンの変身でも、あるいはトーテムでもある動物なので、メドゥーサ(支配する女)という名称を持つ彼女は、あるいは初めから妖怪ではなかったと考えられる。
コリントス市には古くメドゥーサという女神があった、おそらくは彼女もギリシア先住民族の主女神のひとりで、デーメ―テールと結局同一神であろう。 ポセイドーンはその夫神であり、デーメーテールとの間に駿馬アリオーンが生まれた。
メドゥーサとは「統治する女(神)」を意味する。
話はつまり逆で、アテーナー女神の盾の恐ろしい顔模様から空想が発展し、
見ると石になるという考えから、石になった人や動物の物語ができ、邪視のゴルゴーンに到ったのだろう。
by呉茂一(1897- 1977) P 372
メドゥーサ信仰は、実際はリビアからギリシアにもたらされたもの
このメドゥーサMedusa- メティスMetisは、北アフリカでは ネートNeith、 アナテAnath、アト・エンナAth-ennaあるいはアテーネーAthene
前1400年頃のミノア・クレータではアタナAthanaと呼ばれる三相一体の太女神の破壊者の相であった。
古典期の神話におけるメドゥーサ-メティス-アテナ
前7世紀ころ、アテーナイ人たちは アテーナーを自分たちの保護女神に創りなおした。メドゥーサおよび メティスが有していた暗い相から彼女を切り離し、女性の文化に根ざしていたその古い由来から分断した。
メティスとメドゥーサは アテナに覆われ、 メティスは彼女の母親に、メドゥーサは彼女の敵になった。
アテナの愛好するフクロウ=象徴は、死と再生、女性の知恵、闇、夜、月、神秘。ところが、 アテナは自己実現に暗闇を使うことは決してない。
「ペルセウスでさえ、メドゥーサの美しさに驚嘆したと言われている。これが、彼がメドゥーサの首をギリシア人たちに見せようとした理由である。」
・・・・うむ、なるほど!?西洋文化では、アテナは、最も一般的には、 生涯処女神としてだけでなく、彼女の盾に刻まれたメドゥーサのイメージを持つ戦士(*4)
家父長の娘の元型・・・ アテナにもコレのイメージがあるということでもある。 ゴルゴンの周辺 その2(エリニュス)、
ゴルゴンの頭(ゴルゴネイオン)に続く
First updated 2012年 ,2020/05/23LastModified: 2023年
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