唐草図鑑
聖樹聖獣文様

ギリシアの聖獣:蛇

ゴルゴンとコレ


Gorgon at the Archaelogical Museum in Corfu
アルカイックゴルゴン(コルフ島のアルテミス神殿の西ペディメントから)

 美しいゴルゴンの髪

meWikipediaを見ていて、このコルフ島のゴルゴンの解説に、コレの髪型との比較を示唆するキャプションがあって、新鮮な驚きを感じた。
でも それを言えば、 『タイタンの戦い』(原題: Clash of the Titans)のゴルゴン(メデュ―サ)を思い出す。美しい顔で動きがすばやくて怖かった。 Wikipedia
若くて美しい女性(娘)・・コレ(-)

呉茂一「ギリシア神話」(1956)新潮文庫(1979)p371
ポセイドーンはゴルゴーンの一人メドゥーサとも懇ろを重ねた。一説(たぶんは後代のもの、例えばオウィディウス「転身の物語」 4-794以下など)によると、 メドゥーサはもとは非常に美しい少女でもって、ことに見事な髪の毛を誇っていた。 ポセイドーンの妻アンピトリーテーの憎しみを受け、あるいはアネーナー女神の嫉みを買って、ふた目と見られぬような醜さに、 髪も蛇に変えられたという。その上にもアテーナー女神はペルセウスをさし向け、 彼を教唆してメドェーサの首をとらせたのだと。


((C) 2009 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC AND LEGENDARY PICTURES)



ついでですので、こちらは(ユマ·サーマン)のゴルゴン。きれいですが、ちょっとおばさま貫禄
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃」でした
(C)2010 Twentieth Century Fox


さてコルフ島(別名ケルキラ@ギリシア)のアルテミス神殿の「最古pedimental彫刻」に戻ります。
この 「アルカイック ゴルゴン」のレリーフあるが、2匹のネコ科動物を従えているのは、古代からの女神の約束(*1)である・・。
2匹の蛇の帯はエルメスの杖であるカドケウスの形(*2)であり、足(ブーツ)の羽 もエルメス(*3)・・どういうわけであろう?逆であろうか・・
ペルセウスに首を切られた時その血から ペガサスが生まれたという・・(*4)
ゴルゴンの両肩に蛇が載っているが、頭から生えているのかどうかはわからない。髪の毛ではないようにみえる。 前に垂れている髪は蛇ではなく、確かにコレ(乙女像)と同じ髪型である。

Her motion is further indicated by the formulaic positioning of her legs in the so–called Knielauf position which stylistically resembles a swastika .
足の位置が定型的ないわゆるKnielauf position.卍に似ている


(*1)マリア・ギンブタスによれば

アナトリヤやメソポタミアの女神につき従う「ヒョウやライオンは古ヨーロッパ芸術では表現されなかった」(「古ヨーロッパの神々」 p194)・・とある。


https://en.wikipedia.org/Ancient_Greek_architectureでは、この2匹のネコ科動物は(ヒョウ)とされている。

(*2)マリア・ギンブタスによれば

前7~6千年紀に属する妊婦の肖像は裸像だが、前5~4千年紀になると端正な着衣像となる。ただし腹部だけは露わで、そこには聖なる蛇がまきついている

腹部に「蛇」が巻き付いた祭礼服をまとっている<多産女神>像がある。
ベオグラード近郊、メドヴェドニヤク出土 前5000-4500年 「古ヨーロッパの神々」 p200 写真196
https://en.wikipedia.org/wiki/Temple_of_Artemis_(Corfu)によれば、「絡み合う蛇のベルト」は、「肥沃のシンボル」とある。

(*3)同じく https://en.wikipedia.org/wiki/Temple_of_Artemis_(Corfu)によれば、「メドゥーサの翼」であって、エルメスの翼ではない。
Talariahttps://en.wikipedia.org/wiki/Talaria翼のあるサンダル、ギリシャ語のMessengerの神のヘルメスのシンボル
ヘーパイストスが「不滅の黄金」で作った。
(古典的神話)・・ アイスキュロスによると、このサンダルはメデューサを殺すためにペルセウスに貸与されたという。
https://www.karakusamon.com/egypt/hermes.html
meどうして殺された方がはいているのでしょう?

ゴルゴンの翼

https://en.wikipedia.org/wiki/Gorgon
Detail of the Gorgoneion in the Archæological Museum, Corfu, Greece.

足の位置がいわゆるKnielauf position.(ひざまずく*5)
Knielauf position・・ペルシアコインでみられる

https://www.theoi.com/Gallery/P23.14.html ループル美術館所蔵(黒絵) Ware: Attic Black Figure 600 - 550 BC ( Archaic時代)
Painter: Name vase of the Gorgon Painter

A striding Gorgon, from a scene depicting her and her sisters, is depictedc as a winged maiden with serpent-haired head, broad face, staring eyes, and wide toothed mouth with protruding tongue.


mepotnia theron (mistress of the animals) 「ポツニア・テーローン」タイプ(動物の愛人型?)というキャプションがある、大英博物館の翼がありゴルゴンヘッドの女神。
共に描かれる文様も興味深い。下は卍文である

Gorgon Kameiros BM GR1860.4-4.2 n2
Winged goddess with a Gorgon's head wearing a split skirt and holding a bird in each hand, type of the Potnia Theron.
大英博物館=British Museum plate

翼?

So-called “Rondanini Medusa”. Marble, Roman copy after a 5th-century BC Greek original by Phidias, which was set on the shield of Athena Parthenos. (Inventory)Glyptothek, Munich

私が最も違和感を感じるのは額の翼


Medusa with tiles, Athens Archelogical Museum

ゴルゴンの舌

アカンベーしているゴルゴンの意味?
https://en.wikipedia.org/wiki/Gorgoneion

メデューサまたはゴルゴンの頭、Gorgoneionは、古代世界で使用されていた厄よけのシンボル。古代ギリシア人の間で、最も広く使われているイメージ。アテナの盾に取り付けられたように描かれたメデューサのぎょろ目、牙と舌。


https://eekman.com/virtual_gallery/sculptures/gorgon.shtml


https://www.matrifocus.com/BEL07/spotlight.htm

Winged Gorgon/Medusa with curly locks and protruding tongue. She has large protruding eyes and fangs and is in a warrior pose. Her son, the winged horse Pegasus, is under her left arm. Painted marble. Sixth century B.C.E. From the pediment of the temple at Syracuse in Sicily.


コレの髪型

ペルセポネの別名、コレー (Kore)、 ローマ神話のケレス (Ceres)


Pinax of Persephone and Hades from Locri Epizephiri(wikimedia)
イタリアのロクリスのピナックス:王座に座るペルセポネとハデス

ペルセポネは、「冥界の神ハデスの妻。ゼウスと豊饒神デメテルの娘。コレー(少女)とも称される」(『神の文化史事典』(松村一男著白水社2013)
デーメーテルは、 ギリシア神話に登場する女神:豊穣神であり、穀物の栽培を人間に教えた神

me ゴルゴンの髪型とコレの髪型がおなじであったということは 単にコレ=乙女でなくて、ゴルゴン=ぺルセポネ[コレ]=デメーテルということだったと・
いまさらながらに拒否反応ですが・・ カール・ケレーニーの本にも何度か 「この首はいわば美しいぺルセポネのもう一つの面である」・・とかありましたが・・

そしてまさしくこれこそメドゥサの最も注目するべき点で、すなわち、メドゥサも母親の海の怪物ケトと同じく美しい顔を持っていたものの、彼女もその姉妹もやはりエリュニエスにそっくりだったのである。

me ・・??・・
エリュニエス・・語の意味は、怒りとか復讐心。
ゼウスより古い年老いた神で、冥界に住み、たいまつを持ち蛇を持っている、髪の毛ではなく蛇が生えている、という。(人数があげられるときは3人。)
エリュニエスについては、ページを改めます・・ゴルゴンの周辺 その2(エリニュス)


Lady of Auxerre Louvre-An Archaic (640 BC) image from Crete. A version of a Minoan Goddess who may be identified with Kore
https://en.wikipedia.org/wiki/Persephone

ペプロスコレ、およそ紀元前530年、アテネ、アクロポリス博物館

Note the hairstyle of primal earth goddess, the Gorgon, between two lionesses at the apex of a Greek temple facade



Flag of Sicily・・メデュ―サ

me 麦の穂がついているゴルゴン(メデュ―サ)しかも足が3脚・・・非常に驚きました。
これが シチリアのフラッグであるということは!!
ゴルゴンとコレ(デメーテルの娘)に次いで、 このあたりを次ページでもう詳しくみたい。 メデューサとアテナ

おまけです。 レイ・ハリーハウゼン最後のSFX作品。1981年/英
柱が稲妻文用(ジグザグ) ということはともかく、
こちらは足はない。下半身が蛇(尻尾の先端は蠍的)
en.wikipedia/Cultural_depictions_of_Medusa_and_gorgons

meゴルゴンの関係の追記
ゴルゴンの周辺の蛇の髪の魔女/女神(エリニュス)
生物のゴルゴンの頭(学名:ゴルゴネイオン)、ゴルゴンの男性化、 マリア・ギンブタスのゴルゴネイオンの話
メデューサとアテナ・・麦の穂がついている三脚ゴルゴンの Flag of Sicily

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