美術の言葉「モザイク」、グリザイユgrisailleについで、フランス語mosaïqueで行くことにします‥
色石やガラス片を一つずつ漆喰ではめ込む技法。
高コストですが褪色しにくい利点があります。
・・池上英洋〈絵画の見かた〉
作者不詳《良き羊飼い》
本作は、紙の姿を直接描いてはならない時代のキリスト表現の一つ。人々を導く羊飼いに自らを喩えたことに由来し、モザイクのきらめきが荘厳さをより高めています。一時期帝国の都であったイタリアのラヴェンナには、モザイクの名品が多く残されています。(p204)
ここで、「岩波西洋美術用語辞典」を参照するとこちらは英語mosaicと・・
モザイク
古代ギリシアの学芸の女神たちムーサ(ギリシア語 Mousa)の洞窟の装飾に用いられたという伝説からその名に由来。
様々な色彩の石やガラス、焼き物など硬質な素材の切片を並べて図柄を描く技法の総称。
⇒オプス・セクレティーレ、オプス・テッセラトゥム、テッセラ
オプス・セクレティーレ(ラテン語 opus
sectile)
「切片による作品」という意味。古代ローマに発するモザイク技法で、石やガラスなどの素材を図柄に合わせて切り抜き、はめ込んで作る。建築の床や壁に用いた。
オプス・テッセラトゥム(ラテン語 opus
tessellatum)
「テッセラによる作品」という意味。古代ローマに発するモザイク技法で、石やガラスの小さな四角い切片(テッセラ)を並べて図柄を作る。床の場合は自然石を使い、壁の場合は色ガラスを用いることが多い。
テッセラ(ギリシア語tessera)
「4」という意味。
モザイクに用いる色ガラスや天然盛期の四角いかけら。テッセラを用いるモザイク技法を、オプス・テッセラトゥム
と呼ぶ。
>
サン・ヴィターレ聖堂
《皇帝ユスティアヌスと随臣たち》547年
縦2.8m、横4m サン・ヴィターレ聖堂の壁を飾るモザイク画の一部
「皇帝ユスティアヌス は神に次ぐ最高の権力者として、光輪を戴いた姿で描かれている。」
(池上英洋「よくわかる名画の見方」のほうでは、モザイク画の例には、こちらの《皇帝ユスティアヌスと随臣たち》がとりあげられていた。
モザイクのメリットとしては、色彩原料である石を粉にせず素材そのものを使うため、粒子が密で発色が良く、かつ太陽光の当たる面積が少ないため、ほとんど褪色しません。
しかし、膨大な労力を要するうえに細かい造形は難しく、石やガラスは半分しか壁に埋まっていないた。ちょっとした地震でもくずれてしまうという脆さがありました。加えて高コストであったため、時代がたつに就ててモザイクは徐々に姿を消していきます。(池上英洋「よくわかる名画の見方」p90)
ガラ・プラキディア
ネオニアーノ洗礼堂
キリストの洗礼と12使徒がモチーフになったモザイク
ローマ~ボローニャ経由でラヴェンナへ・・二日間じっくり見ました。2017年6月5日・6日)
モザイクといったらラヴェンナである。しかしラヴェンナは今は田舎でした。乗るのに苦労する高さの電車。サン・ヴィターレ聖堂はにぎわっており、郊外のサンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ聖堂の方も、デジタルを利用した展示などあり、よかったが、市内のサンタ・ポリナーレ・ヌォヴォ聖堂の方は、だいぶ傷んでいたようだ・・