『美しい荘厳な芸術 ヨーロッパの大聖堂』
河出書房新社– 2017
刊で見た、
アルテンブルク大聖堂の「グリザイユ窓」 が魅力的であった。
ここでこの技法の用語を見てみることにしたい。
English: Grisaille is a term for painting executed entirely in monochrome, in various shades of grey. Portions of a work (such as a stained glass window) may be done in grisaille while other portions are colored.(Wikipodia)
グリザイユ(フランス語)grisaille
「灰色」を意味するフランス語grisに由来する。
灰色の濃淡だけで描かれたモノクロームの絵画。
ステンドグラスにおいて、ガラス上に鉄錆によって濃淡の図柄を描いたものや、単彩のエマイユ(*)のこともこう呼ぶ。
絵画の場合は、彫刻作品の模倣という性格を持つ場合もある。⇒カマイユ
(「岩波西洋美術用語」から)
カマイユ:(仏)cammmaieu 「カメオのような」という意味。単色の濃淡で描かれたかいがや、異なる色彩で陰影をつけられた木版画のこと。⇒グリザイユ、キアロスクーロ(明暗chiaroscuro)
エマイユ:(仏)email
金属や陶磁器の上をガラス質の層で覆う技法の総称。七宝。琺瑯。日本では工芸としての七宝には「エマイユ」とフランス語で表記し、ガラスの彩色や焼き物の釉薬の場合は「エナメル」と英語で表記することが多い。
ここでさらに、絵画の技法として、上記では「絵画の場合は、彫刻作品の模倣という性格を持つ場合もある」と書かれていることを、池上英洋著『西洋美術入門 絵画の見方』から作品など補完します・・
白灰色の顔料を薄く、何度も油で塗り重ねる技法がグリザイユです。
時間がかかりますが、まるで大理石像のような質感を得ることができます。
もともとは大理石の代わりとして登場しましたが、ルネサンス期には高度な技術を披露する場となりました。
『西洋美術のことば案内』高橋裕子著の解説
キアロスクーロ chiaroscuro(イタリア語)
chiaro(明るい)とoscuro(暗い)の合成語
絵画における明暗対比や 「明暗法」を意味する。
特に明暗の対比が強調されている場合に用いることが多い。
ある種の版画を意味することもある。
古典古代及びルネサンス以降の西洋絵画では、明暗表現は基本的な絵画技法であるが、
特にキアロスクーロと呼ばれるのは、暗さが支配的であって作品全体の効果を決定しているような場合である。
レオナルド・ダ・ヴィンチはこうしたキアロスクーロの創始者とされ、暗闇の中にほのかに浮かび上がる人物像を描いて毒問うk伸びと神秘性を醸し出した。
しかし、キアロスクーロというのは、レオナルドの作品のような明暗の段階的な変化よりも、中間段階を飛ばして光を闇の両極を対比させる強烈な明暗法に使われるのが一般的。
カラヴァッジョが得意とし、その直接の影響下にオランダのレンブラントを含めた多くの17世紀の画家がキアロスクーロを駆使することになる。
レンブラントのエッチング「病人たちを癒すキリスト」もキアロスクーロの印象深い例だが、キアロスクーロ版画」と呼ばれるのは、まったく違うタイプの版画である。16世紀に流行した多色刷り版画の一種。
以上用語「グリザイユ」を見た。
関連ページは
→辻佐保子『中世絵画を読む』のモノクロミ―彩色
→大聖堂のグリザイユ窓
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