「《驚異》の文化史」:オトラント大聖堂のモザイクなどから、「怪物」を考察する続き。怪物「文様」であるが、まさに唐草に絡まる怪物・・
復習用語は「Peopled Scrolls
ピープルド・スクロール 」
初見・・ロマネスクの図像 (教会の怪物)(尾形希和子)
再掲
西洋中世の表象の重要な構成物
人間中心主義を脅かす怪物
(p308)
ピープルドスクロール(…中略…)そこでは人間たちも自身を取り巻く自然を畏怖し、(中略)自然界や宇宙に満ち溢れる驚異を讃えていた。
再掲2
(p307) ルネサンスにおける「グロテスク文」は、「周辺」に位置して「中心」を際立たせるものであった。
ゴシックの様式化、美化されたピープルド・スクロールの中では、人間主義的な秩序の中で馴致され、より装飾的・美的な存在である。
一方ロマネスクのそれ(植物や動物や怪物たち)は、
ときには罪にみちた「現世」を、時には「マクロコスモス」を暗示しながら、人間とそれを取り巻く自然との関わりの中で教会を揺るがすという本質的な役割を担わされている。
(p307)「古代風」の動物や怪物を宿すピープルド・スクロールは、すでにロマネスクにおいて、「絡まり合い」「結び目」「蔓草とその中に宿る物の抗争」などの新しい特徴と共に復活している。
思想的にはそのようなもの(「人間中心主義を脅かす怪物」)であるとして、(彼らは単なる「装飾」などではない)という「ロマネスクの図像 (教会の怪物)」(尾形希和子著)の結語も、そうであろう、しかし、逆に見る(形の表われとして、その驚異を見る)のもこの際(唐草の研究)であるから、有用かもしれない・・
以下、画像を見ます‥
ルドルフ・ウィットカウアー(Rudolf Wittkower, 1901 - 1971)