唐草図鑑

鱗文様2 (「世界の文様歴史文化図鑑」)

  

幾何学的な文様

me『世界文様事典』(西上ハルオ著 創元社1994)と『日本と中国の文様事典』(早川優子 視覚デザイン研究所 2000)で  青海波(鱗文)三角文(聖なる三角形) を見たが、ここで、、別文献から「鱗」を検索して続けることにしたい.. ・・・ 
『世界の文様歴史文化図鑑』で鱗を検索すると、2件あり、一つはラヴェンナのサン・ヴィターレ教会の文様の細部を2ページにわたってであった・・・

『世界の文様歴史文化図鑑青銅器時代から現代までの3000年』
(ダイアナ・ニューオール/クリスティナ・アンウィン著
蔵持 不三也 (監修), 松平 俊久 (翻訳) 柊風舎2012)


内陣 サン・ヴィターレ聖堂 ラヴェンナ
(photo byM 20170605)

初期キリスト教とビザンティン時代の象徴的装飾

救済と楽園の文様


530年代~547年

Ravenna - Basilica of San Vitale -

p47-4
伊太利中北部ラヴェンナのサン・ヴィターレ教会(6世紀中葉建立)のモザイク装飾は、装飾と宗教的物語によって示すものである。
そこでは天国や救済、キリストの犠牲を描いたモザイク画や象徴が、キリスト教の典礼や聖体の秘跡が行われる場所を取り囲んでいる。
キリストや旧約聖書、さらに皇帝などを表す壁画のモザイクと同様に複雑に配された文様が天国を約束するメッセージと崇高な象徴を具現化している。


  1. 豊饒の角(コルヌコピア)
  2. 贖罪とキリストを伝える使途のメッセージ
  3. 天国の救済メッセージ
  4. 飾り綱と波
  5. リボンとうろこ
  6. 内陣 サン・ヴィターレ聖堂 
  7. 伊太利中北部ラヴェンナ

豊饒の角(コルヌコピア)

内陣と後陣をつなぐ文様が描かれたアーチには、天使や聖ヴィタリウス(1世紀に殉教)、この教会を創設した司教エクレシウス(在位521‐532)とともに、天国で玉座につくキリスト像が見て取れる。
対になった豊饒の角は、向かい側のアーチのイルカの形と呼応しており、根元から植物が伸び、鳥の姿も確認できる。
端に様式化された植物や仕切り線の肺った円を伴うこのモチーフは、キリストが救いを約束した天国の豊かさを象徴しているのかもしれない。

贖罪のキリストを伝える使徒のメッセージ

装飾的な円の中に12使徒の顔を描いたメダイヨンが帯状に並び、その周囲には手の込んだ装飾―魂の運び手としてのキリストを象徴する絡み合ったいるか、単純化されたラン族文(エッグ・アンド。ダーツ)、宝石と真珠をあしらった帯―がふんだんに施されている。
こうした意匠は、ビザンティン美術の皇帝や神の装飾に広く用いられていた。
メダイヨンの帯は、色のついた円と三叉ないし3弁のユリで装飾された部分で縁取られている。(p4)

Ravenna-sanvitale02


天国の救済モチーフ

内陣のアーチ型天井は十字で分割され、その四方に伸びた枝には、球体の上に立つ孔雀とそこから発するおびただしい果実、さらに下方には、天国での復活を象徴する一対のイルカ が表わされている。
十字で区切られたかk部には、アカンサスを土台に様式化された植物の渦巻き文が見える。これは「生命の樹」を象徴しており、そこには紙の子羊「キリスト」を助ける動物と天使たちが住んでいる。天井を縁取るのは、キリストのメッセージ「わたしは真のブドウの木である」 (『ヨハネによる福音書』15章第1節)を示す葡萄である。

飾り綱と波

内陣上の東窓アーチには、極彩色の円を中心とした単純な葉文の飾り綱と、3本の黄金の光の矢で射抜かれた淡い色調の波打つリボンが描かれていいる。この光の矢は、聖三位一体を象徴する。

リボンとうろこ

天国を表す天井のすぐ下、柱に挟まれたアーチは、それぞれ異なるモチーフで装飾されている。 そこには青と赤の三次元的な二重螺旋状態のリボンや、幾何学的に折りたたまれた緑と金のリボン、さらに彩色されてうろこの様に重なり合った半円の中の、様式化された3弁の百合が見られる。 

内陣 アン・ヴィターレ聖堂

教会の祭壇と後陣の前に位置する内陣南壁の装飾文様は多岐にわたり、初期キリスト教やビザンティン美術で広く見られたテーマである救済があらわされている。3つの部分からなるモチーフの多用は、父と子と聖霊の聖三位一体を象徴し,装飾文様は地上の教会をあたかも天国のごとく荘厳に見せるためのものだった。  

▲TOPへ戻る

唐草文様