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オリエントのイチジク

井本英一著『死と再生―ユーラシアの信仰と習俗 (1982年) 』より以下再掲

p312 イチジクは、中近東においては、大麦や小麦が主食の座を占める以前は、その座を占めてていた。
季節には生で食べることもできたし、乾燥して蓄えることもできた。ナツメヤシを乾燥したものは、干し柿のように強い甘味があるが、 乾燥イチジクはそれほどの甘みはない。
ロ―マの始祖ロムルスは、イチジクの子、つまり、食物の霊の子として生まれ、食物の霊の子として殺害されて祭られたのである。 それはマケドニアのブドウの神、穀物・果実の神、樹木の神であるディオニソス(バッカス)が、もっと古くは山羊で表象され、年ごとに殺害されて女性に祭られたのと軌を一にしている。
ディオソスを祭るバッカス祭りと同じように、 ローマの七月七日の山羊の七日の祭りは、年一回の男女公会の日で、イチジクの豊作を祈るものであった。
イチジクという言葉はイラン語。現代ぺルシア語ではアンジ―ル。古くはイ(ン)ジ―ラクといったと考えられる。和名イチジクは、イラン語の原音に近い。

p314聖アウグスティヌスは、イチジクの木の下で、キリスト教に回心している
回心する以前に深く信じたマニ教(イラン系3世紀のササン朝ペルシアにおこる)にも、イチジクの信仰がある、中国にも古い桑(イチジク)信仰があった

 

西岡直樹さんの「インド植物誌インド花綴り」 「ネパール・インドの聖なる植物」を参照したが、花ではないせいか出ていない。いま少し、古代オリエント、インドでのこの植物を見たい・・(続く~~2013-02-08)
エジプトのイチジクはこちら・・


 

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