聖樹聖獣文様
エミール・マールの『ロマネスクの図像学』
第2章を読みつつ、図版を検索・・・
図39.荘厳のキリスト、サン・セルナン、トゥールーズ
図40 昇天、サン・セルナン、トゥールーズ
髭のないキリスト
⇒Saint-Sernin.html
「図像のヘレニズム型とシリア型を明確にした後、仏蘭西の十二世紀の芸術家たちがこれらの定型的表現に負うているものを指摘してゆく」
図41.受胎告知、ビザンティン(ラテラノ)の織物、(6世紀)サンクタ・サンクトールムの宝物室、ヴァチカン
図42.受胎告知 パリ国立図書館(syriaque 33)
図43.受胎告知 アン・マルタン・デネーの柱頭、リヨン
図44.受胎告知 十二世紀のステンドグラスの一部
ギリシア型:
受け身の聖母・・人類の救済に参加しようとする、理念は深遠
シリア型:聖母は天使の前に立つ
ヘレニズム型の原形
翻訳者追加Ⅶ.サン・ガブリエル教会の西正面
図45.御訪問、十二世紀のステンドグラスの一部、シャルトル
図46.御訪問、ディ(ドローム県)の柱頭
「御訪問」はヘレニズム芸術によって5世紀から表現されていた:気品ある姿勢と慎み深い感情=ギリシア芸術を常に特徴づけていたもの
シリア芸術では、この場面は情熱的で劇的、激しい)
https://homepage3.nifty.com/kantaroh/sbenoit3.htm
・・・サン・ブノワ・シュル・ロワールの柱頭「ご訪問」
https://www5a.biglobe.ne.jp/~outfocus/03-estella-san-migel.html
・・・サン・ミゲール教会(スペイン)の柱頭
「柳宗玄によれば、この情景には二つの扱い方があって、一つはマリアとエリザベートが一定の距離をおいて静かに言葉を交わしている、ギリシャで見られるヘレニスティック型と、もう一つは両者が近寄って手を取りあうか、あるいはさらに激しく抱き合う、シリア系統のものがあります。」「柳宗玄によれば」のあたり、多分に、「エミール・マールによれば」でしょうが・・
図47.マギの礼拝、石棺彫刻、ラテラノ美術館
*ラテラノの石棺は今はヴァチカンにある(辻邦夫)
「マギの礼拝が降誕から分離していないので間違いなく4世紀前半のもの」
この二つがはっきり区別されるようになったのは354年になってから。
出産の後ににこやかに座っている聖母を目にして、他の女のように苦しみながら出産したのでないことを我々は理解するのである。(P100 )
将来を約束されていたのはシリア型の「降誕」図
疲れ果て横たわる聖母
以下詳細目次から再掲します
Ⅳ.「受胎告知」のヘレニズム型とシリア型
その両方がフランス芸術の中に見出される
「御訪問」の二つの型
「キリスト降誕」の二つの型
「マギの礼拝」の二つの型
「マギの旅」とそのオリエント起源
「イエス・キリストの洗礼」の二つの型
「エルサレム入場」の二つの型
「弟子の足を洗う」の二つの型
履物を脱ぐ使徒たち
「磔刑」の二つの型
二つの型の融合
十字架上の死せるキリスト
「墓における聖女たち」
ヘレニズム芸術とシリア芸術における墓の形
「焦点」の二つの型
図48.聖遺物箱の蓋、サンクタ・サンクトールムSANCTA SANCTORUM (至聖所)の宝物室、ヴァティカン
ベツレヘムの洞窟
図49.七宝細工の十字架(6世紀)、サンクタ・サンクトールムの宝物室、ヴァティカン
横たわった聖母と座ったヨセフの傍に、二人の女たちが忙しそうにに幼子イエスを桶の中で洗っている。(p102)
聖地を訪れる巡礼たちには、書かれていない多くのことが語られた。ベツレヘムでは幼子の産湯について語られ「降誕」の洞窟の近くでは産湯を流した岩場さえも示された。
このようにオリエント型「降誕」図は成長し増幅されて、ついに完全な成熟に達する。(p103)
図50.受胎告知、御訪問、降誕、マギの礼拝、ヴェズレ―の小扉口
図51.マギの礼拝、石棺彫刻、ラテラノ美術館
仏蘭西で、オリエントで完成した構図を完全に模倣しようとした試みは一つしか知られていない。=図50のヴェズレ―のナルテックスの南扉口fr.wikipedia
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https://homepage2.nifty.com/izmreise/Romanesque/Vezelay
図51とそっくりな構図の写真:マギ ローマの石棺 (4 世紀 CE ) の礼拝 from jp.mystockphoto.com
図52.マギの礼拝、モンツァの香油瓶
聖母の表情に漂う冒しがたい威厳が、シリアの「マギの礼拝」を特徴づけている。正面を向いている・
オリエント的な特徴(後にヘレニズムに取り入れられた)
敬意をこめて贈り物を捧げるために手をヴェールで覆っている
⇒、カロリング芸術を経由し十二世紀フランス芸術に・・『ドゥロゴの典礼書』とパリ国立図書館の象牙彫刻
サン・スヴェールの『黙示録』(11世紀)、モアサックのポーチ(12世紀)
唯一、マギたちの服装だけが変化している
図53.受胎告知、御訪問、マギの礼拝、エジプトへの非難、神殿の奉献、モアサックのポーチ
図54.荘厳の聖母、受胎告知、御訪問、マギの礼拝、ブールジュの大聖堂の来た扉口。 図55.マギの礼拝、ヴィック(アンドル県)の教会
図56.眠るマギと天使、オ―タンの柱頭
"Autun chapiteau 2" by Christophe.Finot - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 1.0 via Wikimedia Commons.
図57.マギの礼拝、眠るマギと天使、ナジアンゾスの聖グレゴリオスの写本挿絵(10世紀)、パリ国立図書館。
非常に独創的な諸場面は、カロリング芸術が伝えた遠い昔の伝統を更に存続させたにすぎない。(p113)
以下の『ロマネスクの図像学』第2章の図の続きは→図版58~93Santa_Sabina.html