豹の毛皮を着る、文字の女神

エジプトの女神:セシャト

seshat

図説 エジプトの神々事典(p161)によれば、

この女神の名前はセハトと読むのかもしれない。
(書記、書くものの意味)
標識は書記のパレットと葦の筆(カラム)
服の上にネコ科の動物(チーター?※下記参照)の毛皮をまとっている

セシャトはそのような服装をしている唯一の女神だが、理由はまだよくわかっていない。
女魔法使い、女祭司、ある種の貴族の標識か?


頭飾りは特殊な形をしており、
7弁の星状の花びらと、半月形におかれた一対の角からなっている。



ファラオの戴冠の祭儀に参加し、聖年祭で重要な役割を演じる。


抽象的な概念(文字、計算)を表す
文字の女神

seshat


チーター axinonyx jubatus は豹の近縁種だが、ほかのネコ科の動物とは異なり、ほとんど爪を引っ込めることができない。 したがって、木をよじ登ることは不得手だが、その代わり、イヌ科の動物のように、しかもものすごいスピードで走ることができる。 時速100キロから200キロのスピードで獲物(ガゼル、縞馬、ハーテビーストなど)を襲い、走り始めて数秒でその速さに達する。 このスピードを保つことができるのは最長500メートルに過ぎないが、地上で最も速く走る四足獣である。 チーターはマフデト女神と、おそらく服の上からチーターの毛皮をはおっているセシャトに捧げられていた
儀式用の服や死者の運搬用寝台として(河馬や雌牛とともに)、葬祭の進行で重要な役割を果たした。(たとえばツタンカーメンの寝台)

「図説 エジプトの神々事典」巻末 神聖動物誌 p206


マフデト女神、猫科動物(チーター、レオパルド、パンサー・・・)についてはこちらへ

isis

エジプトの神は頭の上に
本質を表すものをのせている

isis


そのほかの挙げられている女神

図説 エジプトの神々事典
女神名 頭部(頭飾り)・外観 標識 神殿所在地など
1 アナト 二本の羽毛を並べて飾った白冠(アスタルテに似た外観) 盾と槍 シリア起源
2 アヌケト そびえつような調髪
縁なし帽にさしこまれた羽毛
カモシカ(ガゼル) 黒人アフリカ
セへール島
増水 (優雅なるもの、飾り立てたもの)
3 アスタルテ 二本の羽毛を並べて飾った白冠、女騎手 盾と槍、東方風の槍 アジア起源「異国のアフロディテ」
メンフィス
4 バステト 雌猫あるいは人身(アントロポロモフ)雌ライオンの頭部
  家の守り神、多産 ブバスティス
5 ハトホル 生命の貴婦人、天の雌牛 メニト、アンフ、ウアス、シストルム 母・宇宙の子宮、様々な役割
6 ヘケト 蛙頭 アンフ 復活のシンボル
ヘリオポリス
7 イシス 座席
様々な動物の形(テリオモルフ、魔法使い)
ヘアトという頭巾 エジプト全土にイシス神殿
オシリス神話
8 イシス=ソティス 縁なし帽にさしこまれた二本の羽毛、 太陽円盤   星々の王女
9 カデシュ 裸体の女性
横向きで歩くライオンの上に立つ
  アナトやアスタルテを実体化した、愛と戦いの女神
メンフィス
10 マアート 頭に挿した名前代わりの羽毛 真実、正義、秩序、バランスの擬人化
11 メルセゲル 女性の頭部を持つとぐろを巻いた蛇
後コブラ、
ヘアバンド 静寂を愛する者 死者と墓の守護者
12 ムト 禿鷹の皮と二重王冠(プスケント)、初期は雌ライオンの頭部の女性 ウラエウス、花の笏 アモンの妻;
13 ネイト 下エジプトの赤冠 矢、弓、楯、花の笏、アンフ 矢を射る者、道を開くもの
屍衣とミイラの包帯 下エジプト後見の役割をウワジェトに譲る
14 ネフベト 禿鷹の頭か禿鷹の皮をかぶったを被った人身 白い禿鷹 ネヘブ
15 ネフティス 常に人身、時々腕に翼をつけた女性   二次的に信仰される、イシスの妹、セトの妻
16 ヌト 星で覆われた裸体か星を散りばめたトゥニカを着る 太陽かシェヌウのしるしを握る 太陽と星々
ヘリオポリス
17 ウアジェト もっとも一般的な外観はコブラ
蛇の頭か雌ライオンの頭を持つ女性
コブラ、雌ライオン、エジプトマングース デルタ地方ブートの町
18 レネヌテト 最古は、額にウラエウスをつけた女性
太陽円盤と羽毛をいただく蛇
  偏在する神
肥沃な土地の女主人、 乳母の神
19 サテト 最古は羚羊(ハーテビースト?) 2本の羚羊の角がついた白かんむり 洪水を引き起こす
20 セシャト 元来物神の側面を持っていた
その形は頭飾りに似ていた
書記のパレットと葦の筆 抽象的な概念(文字、計算)を表す
デルタ、特にサイス地方
21 セフメト 雌ライオン、ライオン頭(レオントセファル)の女性 アンフ、パピルスの笏、ウラエウスの付いた太陽円盤 力強いもの、炎
上エジプトレトポリス
22 セルキス 後代蠍を頭上にいただく   呼吸させるもの
動物の毒から人間を守る
死者の内臓の保護
セルキスの古い守護神
23 テフヌト 女性、雌ライオン、ライオン頭の女性 ウラエウス、あるいは単なる頭をもたげた蛇 形を変えるもの 
様々な役割、踊り、音楽、獲物(羚羊)・葡萄酒の奉納セレモニー
ヘリオポリス起源
24 トゥエリス 河馬の女神
妊娠している、たちあがったライオンの後ろ脚をもち、背中は鰐の尾で終わる
アンフ、メナト 人気は高かったが神殿はない、食物全般の神

by「エジプトの神々事典」64の神のうち24が女神)

巻末に神聖動物誌(31、チーターと猫、ライオンも含む)
用語集、ノモス(諸国誌)がある。
ステファヌ・ロッシーニ/リュト・シュマン=アンテルム著
矢島文夫/吉田春美訳 1997年河出書房新社刊


聖獣⇒聖獣文様
豹の毛皮を着ること(女性)
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豹の毛皮を着ること(男性)
レオパルドとパンサー
毛皮文様

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