聖樹聖獣文様
豹文
ルーブル美術館にあるもので
紀元前2600年ごろのものという。
王女ネフェルティヤベットの石碑
https://www.louvre.or.jp/louvre/japonais/
この図を見て、古代エジプトで、女性が豹の毛皮を着ることの意味を
考えてみました。男性が豹の毛皮を着ることとは、また、別の意味があるのかどうか。
豹の毛皮を着ること(男性)
上記の「ヒョウ皮を纏う王女」については下山晃著『毛皮と皮革の文明史』口絵解説)には
「古代エジプトの現人神(あらひとがみ)であったファラオや女王はヒョウやライオンの毛皮で身を包んだ。古代中国や日本でもその心性は同じであった」とあるが、詳しくは後述・・
セシャトという女神
WEB検索
ところでエジプト神話では、セシャトという女神が豹の毛皮を着ている。
Egyptian Mythology : SESHAT
Seshat, The Scribe, The Record Keeper
セシャトは文字と測量の女神とされる。
※google rank5
https://www.crystalinks.com/seshat.html
She wears a leopard skin dress.
The symbol over her head is a seven-pointed star or a rosette.
above which is a pair of
inverted cow's horns suggesting a crescent moon.
https://www.geocities.com/seshats/
https://www.hermitagemuseum.org/iedu_En/ae/external/
https://herhet.tripod.com/seshat.html
Seshat was the goddess of writing and measurement.
She, or her priest presided over official building projects, taking the measurements
and planning the dimensions of a building project before it began.
Her principal function, was that of recorder of the regnal years,
celebrations and jubilees of the Pharaoh.
Patron goddess of writers and of builders.
https://www.godchecker.com/pantheon/egyptian-mythology.php?deity=SESHAT
・同じく
文字や数字を司る神・トトとともに、王の名を永遠の書に刻む役を担っていた。
すべてを記録する者として、王の系図、書物の管理を行う。
・装備品―
ヒョウの皮の衣、時を刻む道具レンペト、筆記具
SESHAT: 'Queen of the Bookroom'.
The daughter of THOTH, she's the Head Godly Librarian.
She keeps all the books for the Gods, looks after tax returns and is a dab hand at Architecture,
Astronomy and Archives. Her writing is extremely neat.
エジプトの女神セシャトについてはこちらへ(「エジプト神々辞典」参照ページ)
岩波美術館...歴史館 2.
柳 宗玄 (著)新装版 版 第2室 巻 (2002/05)
エジプト・メソポタミア・アメリカ大陸ではるか昔に栄えた諸文明は,
炎熱過酷な風土のもと,豊かな大河,緑なす森林にかこまれて開花した.
そこには慈悲ある支配者である太陽神話が生まれ,天文暦学が発達し,
天空を圧する壮大な神殿建築が営まれ,
王たちの写実的な肖像彫刻ばかりでなく
幻想的かつ奇怪な鳥獣が造形された.
毛皮というと氷と雪の世界のもので、
上で引用のように「
炎熱過酷な風土」の必要品ではないだろう。
この
王女ネフェルティヤベットの石碑の女性は、美しい…
多分王女自身であって、
セシャトという女神であるとは見えないが、
そこで、
毛皮を着るという意味は、
単に
ステータス、家柄の標識になる…のだろうか。
頭の羽飾りのように… !?
(~途中物件~)
ここで、また「
イメージ・シンボル事典」
を参照してみます
skin(獣)皮
skin(獣)皮
1.若返り
エジプトでは
(獣皮の中を通り抜けること)はファラオを若返らせるための儀式であった。
それは後に
腰のまわりにヒョウの尻尾を結び付けることで代用されるようになった。
2.豊穣を表す・誕生と再生を促すための儀式で使用された。
3.トーテミズム
4.「獣皮」を身にまとうことの意味
a.
贖罪・供犠を表す。神はアダムとイブに獣皮を与え、(象徴的な意味の)イチジクの葉と取り替えさせた。
b.バッカスの信女達(Maenads)は、「狂った」胸を獣皮(特に鹿の皮)でおおい、髪をほどき、
酒神杖 (頭部に松かさをつけ、ときにつたやブドウの葉を巻きつけてある杖)を持っていなければならない(オピディウス「転身物語」)
c.ロバ、ネコ、ネズミの皮は謙遜を表す(シンデレラと関連)
雄ウシの皮は豊穣、耕作
ライオンの皮は太陽英雄(ヘラクレスなど)の持ち物
羊の皮は豊穣(→Golden Fleece)
5.(心理学)獣皮の衣服:魔力を持った動物を殺害し、その皮をまとうと、強力な魔力を持った動物は生き返り、
力が皮をまとったものにのり移る
「イメージ・シンボル辞典」P585
なるほど、力が皮を纏ったものに乗り移る・・のであるか・・・ここで
「サイン・シンボル辞典」を参照すると、ずいぶん簡単明確な書き方であった
豹は勇敢さ・残忍・野生の本能の象徴である。アフリカで非常にあがめられ、また朝の太陽の光も表す。
豹の皮は王権を意味し、危険を避けるために身につけられた。その
斑点が目に似ているので、豹は時に偉大な番人として知られる。
豹 サイン・シンボル辞典p62
パンサーの毛皮、すなわち、
「斑紋皮」pandalideは
、古代において、ディオニューソスの持ち物の一つであった。
古代の豹は馴致された野獣に属し、この世の権力者の玉座を支えたり、その凱旋車をひいた。
たとえば、
二頭の豹は、死の不安を一掃するために、世界を駆け巡るディオニューソスの車につながれていた。
(M.ピエートル「初めに神話ありき」
p96孫引き
by動物シンボル事典
p300
メナデス(maenades)
西村三郎『毛皮と人間の歴史』(紀伊國屋書店2003)
図19
ディオニュソスの祭儀で踊り狂う信者 前490年頃の酒杯
ミュンヘン州立古代蒐集・古代彫刻館蔵
(p90) こうした女信者たちはメナデス(maenades)と呼ばれていた。ヒョウの皮を羽織っているのは、それがディオニュソス神を特徴づける持ち物の一つと考えられていたからである。
(p91)ディオニュソスといえば、古代ギリシアでは、大地の豊饒をつかさどる神、人間に葡萄の栽培と酒のつくり方を教えたとされる神で、当時もっとも人気のある神だったことは、周知のとおりだ。
農民、特に女性に人気があったようで、森の中で夜たいまつを燃やして行われたその祭儀では、酔っぱらった女たちが踊り狂い、蔦を絡ませた杖を打ち振って野獣を嬲り殺すという、荒々しいものだった。
図19では、頭には蛇を巻き付け、背にはヒョウの毛皮を羽織り、片手に杖、そしてもう一方の手にはヒョウの子供をぶら下げている(※とあるが、頭のは葉冠であり、蛇を掴んでいるので、違う図と混同した解説のようだ)
ヒトの皮を着る神:シペ・トテック
ところで、毛皮を着る意味ですが、、すごい「怖い」ところに紛れ込んでしまいましたよ。
この本です。
「毛皮と皮革の文明史」下山晃著目次・・・
おそろしい!ヒトの皮を着る神・・・・
この本からの「人間の脱皮」や「最古のモード カウナケス」「羊毛」の話は別にこちらへ
後代の美術
The Guitar Player, circa 1672
by Jan Vermeer
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