唐草図鑑
聖樹聖獣文様

獅子

蛇に巻きつかれた獅子


アイオーン像 ヴァチカン美術館蔵 イタリア北部オスティア出土

AEON



なんという獅子であろう・・悲劇的な感情を感じる。こんなライオンは見たことがなかった。
「龍とドラゴン 幻獣の図像学」(イメージの博物誌13 平凡社刊)によれば、アイオ(ー)ンとは、生成の水を意味するギリシア語で、そこから寿命とか、のちにはまた時代とかも意味するようになった、という。
同じく「イメージの情報誌」の12 「時間」には、次のように出てきます。


p14 時間の神アイオーン
アイオーンはもともと生物の身体に流れる生命の流体のこと。
そこから生物の寿命や定められた運命を意味するようになった、
この流体は、死後も蛇の形をとって生き続ける。 それは地上のすべての水のように、
特に万物の創始者で破壊者であるオケアノスのクロノスのように
<生み出す実体>であった。

by 「イメージの博物誌12 
時間‐過ぎ去る時と円環する時‐」p14
Time:rhythm and repose. 
マリー・ルイゼ・フォン・フランツ Marie-Louise von Franz/著
秋山さと子/訳 平凡社刊(1982/9))


「Aeon 永世 霊体」

1.宇宙のはかりしれない時の流れをあら和す。あるいはその擬人化でもある。
2.悲しみの有限の時代に代わる幸福な新しい時代を表す。2.神の顕現。

byド・フリース「イメージ・シンボル事典」p8


「time 時」の項目の4

真理をもたらすものを表す:諺:時は真理をより分ける
また、ミトラ教のアイオンは暗黒の洞窟から真理を救い出す。

byド・フリース「イメージ・シンボル事典」p641


「龍とドラゴン-幻獣の図像学-」(イメージの博物誌13平凡社刊)p102より

二世紀ごろの拝蛇教徒(オフイチス。グノーシス派の一派)たちは、蛇を神とあがめていたが、それというのも蛇が万物に先んじてこの世に生まれたこと、この世界の創造者は蛇の私生の孫にすぎないと彼らが考えたからである。この蛇はライオンの頭をしたアイオンに巻きついているが、ミトラ教の信者たち(ゾロアスター教における太陽神の信者)は、このアイオーンのことを、時間およびその帰結としての破局のシンボルだと考えていた

死という厳粛な事実の責任を、人類最初の男女アダムとイヴに、またうそつきの悪魔に負わせるのはやさしいが、勇気ある少数者は、何と神にまで負わるのだ。 どころで、死をめぐるプロセスのどこかに、蛇が抜きがたく関わっているということについては、大方の同意が得られるであろう。蛇は永遠に生き、おまけに悪魔の目を持っているまれな生物の一つだからである。そのため、蛇は再生を願う死者の守護神に仕立てられたのだ。


このあたり、先の、「生物の身体を流れる生命の流体」を蛇のイメージで表現したという感覚的な(心理学的)イメージに対しては、比較的インパクトのない平静なまとめに思えるが・・、「おまけに悪魔の目」(~_~;)

[グノーシス派の中の拝蛇教]についての補記はこちら


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何も知らぬまま、アイオン、アイオーンを、LIONから連想して、初め、AIONと表記してしまったが、
AEONが正しいようだ。 (英語のEONで・・これを「永劫」と訳すと私の場合は即ニーチェを連想してしまう
Wikipediaでは簡単に

AEON (w:aeon)は、ラテン語で「永遠」の意味。

英語版の方はhttp://en.wikipedia.org/wiki/Aeon_(disambiguation)
また、別の混同されるべきない神としてAion (deity)が挙げられている。Aionという神もいるということなのである→こちらに補記。
(WEB上の日本語表記ではアイオーンとオを伸ばすようだ。)

Aeon については、
Gigaannum(GA)、10 の9乗年 1,000,000,000


Chronos or Aeon, a deity from Greek mythology (クロノスまたはイオン、ギリシャ神話の神)・・・という説明だ。
日本のWikipediaのほうでは

ギリシア神話は自然現象を擬人化して神や精霊と見なしたが、抽象概念なども神と見なした。時間の神は、クロノスが有名であるが、季節や秩序の女神としてのホーラもまた存在した。
アイオーンもまた神と見なされ、当初の意味はともかく、永遠・永劫を象徴する神ともされた。通常、「時間の神」として知られる。

他に、神秘主義 グノーシス主義のアイオーンとユングの元型も挙げられている・・
この「イメージの博物誌12 時間」の著者のマリー・ルイゼ・フォン・フランツはユング派で、訳者の解説「時間の概念とイメージ」に、ユングの 「人間の深層の中に存在する時間の超越性」への関心ということが書かれている。

Chronos  Aeon・・ということだが、こちらの時の神クロノスのページAionの方のアイオン に続く


バーバラ ウォーカー の神話・伝承事典-失われた女神たちの復権によれば、

Aeon 「年」の意味である。
例えば、毎月1月にアレクサンドリアで聖処女コレKoreから生まれる救世主のように、毎年生贄とされ、そして再生する神の添え名である。
(キャンベルのM.I.34※1)
古代ギリシア・ローマ神話のアイオンは、シヴァ‐プラジャーパティを崇拝したタントラ教に基づくものであったと思われる。
シヴァ‐プラジャーパティは、毎年、死の神となって人間の命を救った。
ブラ―フマナ(ヒンズー教の祭儀書)によると、「年は死と同じものである。そして、年が死であることを知っているもの、その者の命を年が破壊することはない」(エリアーデのM.E.R.79※2)

※1 http://en.wikipedia.org/wiki/Joseph_Campbell:The Mythic Image (1974). Princeton University Press
※2 http://en.wikipedia.org/wiki/Mircea_Eliade:Le Mythe de l'éternel retour, Paris: Gallimard, 1949 (邦訳:堀一郎訳、『永遠回帰の神話:祖型と反復』、未來社、

さらに「イメージの博物誌」の12でのアイオーン

p38 古代後期のミトラス教の秘儀では、鍵と杖を持つアイオーンが、門を守るものであった。 彼は時間とともに、長い期間や永遠もあらわしていた。
彼の獅子頭は、 夏とその火の性質を、
蛇は冬とその湿った性質を示す。
しばしば彼の身体、また蛇には、黄道帯の宮座の印がつけられている。 祈祷者はすべてを包む雲、光と闇、あらゆるものを支配者と世界の魂という名で彼を呼ぶ。 秘儀参入者にとって、アイオーンは彼岸の門を開く光の主である。

蛇に巻かれた獅子

Wikipediaにある アイオーンの像


ミトラス密儀の獅子頭像
考古学の発掘等により、ローマ帝政期時代において、頭部が獅子で、人間(男性)の身体を持ち、蛇を全身に巻き付けた神と思える像が発見された。この像は、「アイオーン神の像」と考えられたが、ギリシア神話におけるアイオーンの神の像とも、グノーシス主義におけるアイオーンの擬人化神像とも考えられた。
また近年有力なのは、これはミトラス教の「時間の主神」であるペルシア起源のズルワーンの像であるという説もある。ズルワーンはゾロアスター教の神であり(ただし、ズルワーンを主神として崇拝する派は、正統ではないとされる。ズルワーン主義とも呼ばれる)、ミトラス教でも重要な位置を持っていた。アイオーンの像が何であるのか、正確には判明していない。
[ゾロアスター教の中のミトラ教]についての補記。フランツ・キュモンの『ミトラの密儀』を読む


アイオーンの 画像の開始位置はこちら
http://youtu.be/jYgP4YbJntA?t=1m42s



Lion-headed god standing on globe
with crossed circles by David Ulansey: http://www.well.com/user/davidu/mithras.html


Cosmology and Salvation in the Ancient World
聖牛の供儀は タウロクトニー Tauroctonyというのですね。
ミトラス教のタウロクトニーと星座との関係を読み明かす・・と (Amazon)

マントの内側には星が描かれているが、よく見ると縁が蛇で丸いようだ。


==以下引用==

[キリスト教が国教化される以前のローマにおいて有力な宗派であったミトラス教(西方ミトラ教)。
その地下教会(ミトレーアム)の最奥部にタウロクトニーという特徴的な図式を持つ壁画が描かれていたことで有名ですが、本書では、星座との関係を基にその謎に迫ります。]


ミトラス教のアイオーン・・胸にライオンの頭をつけています
従えているのは牛? キュモンの『ミトラスの密儀』のページへ


Oedipus Aegyptiacus: Leontocephalic Aion
コーネル大学

エリアーデの『世界宗教史』のミトラ


(ちくま学芸文庫 松村一男訳 2000年刊 第2巻 原著1976刊)
第8章 インド・ヨーロッパ諸民族の宗教 ヴェーダの神々
67節  蛇たちと神々 ミトラ、アリアマン、アディティ

第13章  ザラスシュトラとイラン宗教
109節  ミスラ神の台頭

ザラスシュトラの改革以前の地位に返り咲く

ミトラ教のアイオンということで見ている(続く)

http://www.theoi.com/Protogenos/Khronos.html
ギリシア神話のサイトですが、こちらに全く人間の姿のアイオーン像あり(ロ―マ帝国時代のモザイク)

AION WITH ZODIAC
Musée de L'Arles Antique, Arles, France
Type: Mosaic Context: Roman villa in Arles Period: Imperial Roman



Aion_mosaic_Glyptothek_Munich
Aion ("eternity") on a mosaic from Sentinum. The hoop is decorated with the signs of the Zodiac. The woman is Fertility, together with her four children: Spring, Summer, Autumn, and winter. (Glyptothek, München)

獣帯記号Zodiacのページも続きが必要ですね

以下は途中です

多分Serapisセラピス・・こちらはヘビの他に動物をくっつけている(獣帯)
Barbara Maria Stafford: Symbol and Myth (1979)

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時間の神

クロノスのページAionの方のアイオーン に続く
ペルシアの古い時間の神ズルヴァーン山羊の脚を持つミトラ教クロノスユングの著書『アイオーン』キュモンの著書『ミトラの密儀』拝蛇教2匹の蛇が絡まる杖聖獣 蛇

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