ヒョウ:中世の動物誌

ヒョウの芳香

前提として、ヒョウには芳香があるという、中世の認識?
大型ネコ科動物 、ライオン(獅子)を見てきましたが、ライオンと同様高貴な動物である豹は、西洋では早くから、誇りと自尊心のシンボルとなった。(動物シンボル事典p300)


Les Très Riches Heures du Duc de Berry The Adoration of the Magi Folio 52r


ペリー公の時禱書
「キリスト教的動物誌においては、パンサーの温和な側面のみが重視され、 同種の豹には残忍さの側面が付与された。 キリスト教会はパンサーをキリストの持ち物とした」

動物シンボル事典 p288
ジャン・ポール クレベール (著)大修館書店 (1989/10)


動物誌

パンサー

パンサーは一種の豹であるが、動物誌においては、ヒョウと混同するわけにはいかない。象徴的には、パンサーはヒョウの女性的側面である。 豹が残忍なのに対し、パンサーは温和である。
『フィシオログス』(*1)は、パンサーもドラゴン以外のすべての動物と仲の良い、この世でもっとも愛すべき動物として紹介している。
パンサーは、食事の後、三日三晩眠り続ける習性があり、目を覚ますと、甘い香りの息を発散するので、人々は皆、どうしようもなく、この動物の方に招き寄せられてしまう。
官能的快楽のシンボル
ダンテはこれをさらに推し進めて、『神曲』の中で、これを色欲のシンボルとしている。
しかし中世にの人々は依然としてパンサーの愛好者で、パンサーをキリストのシンボルとした。

この辺り、どうもこちらには、ヒョウとライオンは区別がむずかしい。
聖書の中に、ダニエルが幻の中で見た、奇妙な豹、「豹のような生き物で、背中に鳥の翼が四つある怪物」がいるという。


パール

(中世の) 当時の著作家は、パンサーを、パールと雄ライオンの不倫(?自然に反する交わり)によって生まれた雌豹だとみなしていた。
英語serval
パールは動物学者にとってはアフリカ産の野生ネコ、サーバルの俗称
毛皮猫とも呼ばれる
古代人は、その体長が1メートルもあるので猫とはみなしておらず、
豹の一種と見なしていた。
豹(léopard)という名は、
ライオン(leo)とパール(pard)との合成語である
パールという名は、悪臭(屁こき)を意味するギリシア語からきているcat-pardパール猫から、フランス語のcaparder( かっぱらう) ができた

動物シンボル事典 p272


これでは芳香の逆である・・いったいどうなっている?
また、「豹紋皮のゆえに、ヒョウはキリスト教会の博士たちからサタンの支持者とみなされていた」ともある。


キリストと芳香


芳香の宗教的文脈
中世の『アシュモール動物誌』のヒョウの項目
キリストが芳香を発散するヒョウに例えられている
「ヒョウはそのにおいで、悪の力、つまり竜をしり込みさせ、おののかせ、地下の洞窟に引き込ませる。」
「あなたの言葉は、私の唇になんとうまく甘いことか。」

2~4世紀のギリシア語の『ピュシオロゴス』(*1)という動物誌にもすでに書かれている。


ヒョウの吐く芳香と、キリストの言葉との比較が精密になっていく。
教会の祭壇でたくバルサム(*2)などの香りは、天に昇り、天と地をつなぐ煙を出した。 神の世界との交流の特権的手段であった。
キリストがはりつけにされた十字架は、エデンの園に生える「生命の木」にいたり、 芳香の地たる楽園とキリストを関連付ける。
聖者の発する芳香
ペストにかからない最良の方法・・芳香

*1「フィシオログス」(Physiologus)Wikipedia中世ヨーロッパで聖書と並んで広く読まれた教本

*2「バルサム」balsamバルサムの木 :「デジタル大辞泉」 マツ科の常緑高木。葉は線形で密生し、強い香りをもつ。北アメリカに産し、樹脂からバルサムを作り、米国ではクリスマスツリーに利用。バルサムもみ。

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Wikipedia
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/physiologos/phys16.htmlヒョウが芳香によって他の動物をおびき寄せることは、アリストテレス『動物誌』に

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LastModified: 2011年


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