聖樹聖獣文様
小学館の世界美術全集の第7巻の石棺
中世初期の石棺の続き・・・
イタリア、パヴィーア、市立美術館
Sarcophagus of Theodora. Pavia,Musei civici
どこのものであろうか、・・これが?という伝統的な図像。
中央部は
聖獣文様であるし、聖樹文様である。周囲は葉と実が蔓のスクロールの中に囲まれている葡萄唐草文。
パヴィーア、サンタ・マリア・デラ・プステローラ修道院に由来。女子修道院長テオド―タ(735年頃没)の石棺の長側部(2枚)と考えられてきたが、近年この説を疑問視する動向が有力。おそらく、教会堂の障壁の浮彫パネルであったと推定される。(木俣元一 作品解説7-430)
葡萄の実をつけ動物の頭部が発生する樹木・・同様の生命の木を十字架と重ねた浮き彫りが、チヴィタ―レ大聖堂付属美術館所蔵のギボリウムに組み込まれている
遊よくの怪獣は上半身が獅子で、下半身が魚
初期キリスト教時代の図像けんに属する諸主題やオリエント起源の要素を、ランゴバルド彫刻特有の装飾的様式で再解釈したもの(木俣元一)
頂部に十字架を伴うカンタロス(両側に取っ手のついた杯Kantharos typebudou3.html)を中心にそれにくちばしをつける2羽の孔雀を左右相称に配する
区画の右に大きな十字型の花(ユリ型)
祭壇を囲む内陣という儀式的空間にふさわしく犠牲や再生といったテーマを雄弁に喚起する(木俣元一 作品解説7-430)
孔雀の羽根の下の無限大マーク「∞」(インフィニティ又はメビウスリング)にもう一つ足したような形は、、右側のは、花の茎の葉のように見える、左も羽の上に花があるので、単なる空間充填というより羽の下に茎を隠した斜めの葉のようにも見える。・・このあたりが、「ランゴバルド彫刻特有の装飾的様式」ということであろう。
栄光のキリスト
(頭部パネル)
ジュアール修道院、クリュプタ 7世紀 石灰岩 フランス
Sarcophagus of Agilbert,Christ in Majesty.Jouarre,Abbaye,crypt
https://wodka.over-blog.com/article-2290158.html
« Gravure sarcophage crypte Jouarre VIIème siècle » par Yann Gwilhoù
— Travail personnel. Sous licence CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
最後の審判
(側面)
ジュアール修道院、クリュプタ 7世紀 石灰岩 フランス
Sarcophagus of Agilbert, Last Judgment .Jouarre,Abbaye,crypt
Sarcophagus of Saint THEODECHILDE, 7th century Frankish, first Abbess of Jouarre
A Visitor's Guide to Carolingian France というページに紹介あり(パリから東に67キで、現在も活動している女子修道院で、Theodechildeは7世紀の最初の女子修道院 the first abbess (7th C).という。
Imageもそちらから( https://home.eckerd.edu/~oberhot/visitor-north.htm )
「天国に迎えられる人々がオランスのポーズ で喜びを表している」(「カロリング王朝の美術」 鼓 みどり(美術全集7-213)
« Jouarre Crypte Saint Paul110244 » par GFreihalter
— Travail personnel. Sous licence CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
おまけですが、このジュアール修道院のクリュプトにユニークな柱頭があるとのこと・・確かに!
水瓶型柱頭
"Jouarre Crypte Saint Paul110247" by GFreihalter - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
"Jouarre Crypte Saint Paul110253" by GFreihalter - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
→小学館美術全集(世界美術大全集 西洋編7・西欧初期中世の美術1997) 辻 佐保子・邦生 月報対談、 「柱頭から見る西洋中世、聖堂装飾プログラムの発生と展開
"Adelphia's sarcophagus" di Sibeaster - Opera propria. Con licenza Pubblico dominio tramite Wikimedia Commons.
各地に散在する三、四世紀の、断片や壁にはめ込まれたものを含めて探索するのが私の旅の目的の一つだった。留学二年目(1958年) の夏の終わりギリシャからの帰途シラクサより、私の最愛の作品のひとつ「アデルフィアの石棺」とようやく対面した。あどけない顔つきの夫妻像の妻の名にちなんでこう呼ばれている。同行の辻邦生の初期短編はこの夏の体験から生まれた。(『辻邦生のために』p146 新潮社 2002年5月刊)
さすがに素晴らしいですね