聖樹聖獣文様
法隆寺の国宝 救世観音が手に持つ、周囲に焔をたなびかせる球体は、宝珠(mani 摩尼宝珠)といい、衆生救済のシンボルであるという。(『朝日百科 日本の国宝』(4-48)
また西域では、合子(ごうす)のような容器で、その中に舎利が入れられていたという。その変形表現か、という。
キジル石窟ドロナ像(東京国立博物館蔵) (仏弟子ドロナ)・・
「新潮世界美術辞典」にいわく。
如意:仏教で、説法、購読、法会の席などにおいて、講師が威儀を正すための用具
wikipedia( 閲覧20160323)では、宝珠を西洋のものとし、 如意宝珠のほうを、「仏教において霊験を表すとされる宝の珠」というが、よくわからない。それに対して、「日本金属屋根協会」のサイトの下記の用語集が、面白い。(図も見られる)
*
http://www.kinzoku-yane.or.jp/glossary/word-ha.html
「宝珠とはもともと宝の玉という意味ですが、建築とりわけ古建築には、建物の一部の部分の名称となっています。」
方形、六注、八注などの屋根の最頂部には屋根面が一点に集まるので何らかの雨仕舞いが必要です。例えば摺鉢状のものを伏せたままでもよいでしょうが、この雨仕舞いと装飾を兼ねたものを宝珠といいます。
相輪は搭の上に設けられますが、宝珠は高さの低い建物に取り付けられます。
通常露盤を設け、その上に宝珠を置きますが、宝珠は単に玉状でなく火焔(かえん)や水煙(すいえん)のデザインの彫刻板が付けられます。
火焔の付いたものを火焔宝珠といい、水煙のものを水煙宝珠といいます。
その意味は相輪と同様です
補足:
*相輪:仏塔の最上部の、露盤・九輪(くりん)・水煙(すいえん)・宝珠等で成る装飾物。
http://tobifudo.jp/newmon/tatemono/sorin.html「宝珠(ほうしゅ)釈迦さまの遺骨を納めるところ。」
*仏教用語としては、訓は「ほうしゅ」となるようだ。また、やはり、その中に舎利が入れられていたということが重要であるということになる。
*救世観音(ぐぜかんのん):
「一般には救世観音は聖観音の別名で,その形姿は腹前で宝珠をなでるものをさす場合が多いが,経典に救世観音の名はみえず,必ずしも明確ではない」。
*炎に包まれた宝珠を模した紋所「焔玉(ほむらだま)」
(コトバンクより引用)
アジャンタ遺跡の宝珠・・・そこから渦巻き唐草が発生している
(宮治昭著「蓮のイコノロジー」で)の言及
葱坊主形の頭の尖った丸の左右に焔形を付した宝珠の文様。
宝珠は仏像において宝物とされる玉で、仏像の持物などに見られるほか、これを象ったものは仏塔、灯籠などに広くみられる。(擬宝珠(ぎぼし)など)
日本の工芸品の文様としては仏教関係のもの、あるいはめでたい宝尽(たからづくし)の一つとして、陶磁器などにもしばしばあらわされる(
新潮世界美術用語辞典*ここだも、訓は「ほうしゅ」となっている)
焔は付いていないようだ
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