六田知弘さんの『ロマネスク 光の聖堂』(の柱頭写真)で ヴェズレーの部分を見たが、
シロスの柱頭も 次々回行きたい場所として、少しだけ見ておきます・・
六田知弘写真(2007年7月淡交社)
目次読書
序文 青柳正規
Ⅰ ヴェズレー、サントマドレーヌ修道院聖堂(p10~
Ⅱ ノアン・ヴィック、サン・マルタン教会
(p38~
Ⅲ ル・トロネ修道院(p56~
Ⅳ モレイヤス・ラス・イヤス、サン・マルタン・ド・フノヤール教会(p72~
Ⅴ サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院(p84~104)
「ロマネスク美術と中世社会」池上俊一(p106~112)
「ロマネスクの旅へ」
(テキスト・図版キャプション)ダーリング常田益代(p114~146)
あとがき 六田知弘 (p147~148)
「祈りの中世―ロマネスク美術写真展」
会期:2007年6月12日~8月26日
会場:国立西洋美術館
中世の建築と彫刻と壁画は分けて考えることができない。
ロマネスク彫刻は、彫刻であると同時に建築部材の一部となって構造を支える。
となれば、私たちの方からロマネスクの旅に出向いていかねばならない。
丘(ヴェズレー)に上り、村(ヴィック)にで、森(ル・トロネ)に入り、ピレネー山地の寒村(フノヤール)に着き、そして国境を越えて谷間(シロス)に降りるといった旅になる。(p114ダーリング常田益代)
参照は
Category:Capitals_of_the_cloister_of_the_monastery_of_Santo_Domingo_de_Silos南歩廊の柱頭相装飾 「蔓に捕えられた牡鹿」
柱頭の地が後退し、高浮彫のモティーフが地から突出する。
回廊の東歩廊。胴部がわずかに膨らむエンタシスの双柱の上にも、
双柱頭と冠板(インポスト)がのり、アーチ列をうける。
冠板装飾には組紐文が圧倒的に多い。
柱頭は上部が箱型、下部が逆円錐形をなし、装飾モティーフはこの形体に従う。
南歩廊の柱頭ではこの形の柱頭はもはや見られない。
東歩廊の柱頭装飾「鳥と獅子」
左右対称に向かい合う獅子が頭上の鳥の足をくわえる。
東歩廊の柱頭。対をなす鳥と動物は蔓に絡まリ有機的な動きを見せる。
モティーフの配分は柱頭の形体量塊に従いながら
、数学的な
正確さで左右対称の意匠構成をなす。
さらに表面に加えられた繊細な線刻と、モティーフを柱頭の内に向かって彫ることにより、
透かし彫りのような効果を生んでいる。
西歩廊の柱頭装飾「ハルピュイア」
ロマネスクの柱頭にしばしば登場するハルピュイアはギリシア神話起源の生き物、
女性の頭に鳥の身体をもち、飢えた不浄の生き物。
この像を見る限りでは、不浄なイメージは刻まれていないように見える・・(✳六田さんのテーマとは関係ない)
西歩廊の柱頭装飾「フラミンゴ」
この回廊にはフラミンゴのモティーフが何度も現れる。
有機的な鳥の頭と足、植物の茎の動きに対し、
鳥の表面を覆う羽の杉綾織のような浅い線刻の対比が面白い。