p14 時間の神 アイオーン
アイオーンはもともと生物の身体に流れる生命の流体のこと。
この流体は、死後も蛇の形をとって生き続ける。
ギリシア人は実際に、時間を心的な大河であるオケアノスと同一視していた。
・・ということですが、 オケアノス-クロノス、
アイオーン-クロノスは、古いペルシアの時間の神である
ズルヴァーンと同一視された。
古代ペルシア人は、この最高神の二つの要素を区別した。
すなわち永遠の時間であるズルヴァーン・アカラナと、
長い支配の時間であるズルヴァーン・ダレドークヴァダーターである。
後者は衰退と死の原因であって、時に悪の原理であるアーリマンとさえ同一視された。
古代後期のオルフェウス教とミトラス教徒たちは、相反する両面を持つズルヴァーンを、彼らのアイオーンと同一視した。
実をいうと、ミトラ教とソロアスター教とキリスト教の違いといった方面には興味がない。
興味の中心は蛇、そして、獅子の図像です。
Mistaken Identity
R・C・ゼーナーは著書『ズルヴァーン』の初稿において、
ミトラ教のライオン頭の神獅子頭神をズルヴァーンの表象と誤って同一視した。
彼は後に校正段階で、これは「明確な誤り」であったことを認めている。the lion-headed deity being a representation of the evil being deus Ahreimanius or Ahriman獅子頭神は、邪悪な存在であるデウス・アヘイマニウス、あるいはアーリマンの表象であったのである (Zaehner, 1972).
However, this has not stopped the fallacy, which Zaehner attributes to Franz Cumont, proliferating on various websites.。。
wikipedia(20250928)にある、Robert Charles Zaehner(1913 - 1974)という人は、、東洋宗教を研究対象としたイギリスの学者。
キュモンに異を唱える
獅子頭神については、それも定説ではないようです。・・
(その箇所大きくとりあげすぎ!?)
Leontocephaline at Ostia Antica by Franz Cumont
オスティア・アンティーカ遺跡wikipedia
最近読んだ
『不思議なキリスト教』で二神教という言葉を初めて知りました。簡にして要を得た言葉でした。
橋爪 大三郎さんご専門は宗教社会学だそう。意義のあるご研究ですね。
2011年5月刊(講談社現代新書)
著者: 橋爪大三郎、 大澤真幸
【新書大賞2012大賞】受賞
「一神教monotheism」と「多神教polytheism 」の中間に、二神教というものもあり 古代ペルシャのゾロアスター教が、二神教です。神アフラ・マツダ。闇の神アハリマン。この善悪の二神が争っている、とする ゾロアスター教です。この世に悪があるのは、悪の神のせいである。最後の最後には、アフラ・マツダが勝利を収め、悪の神は 神が一人になってしまう点は、一神教に似ています。
プロアスター教はヘレニズム世界に伝わり、マニ教になったという。マニ教も、二神教 である。最大の教父アウグスティヌスも、かつててマニ教徒だったことがある。 ゾロアスター教はその後、勢力を失い、インドで細々と伝わるだけ。けれども、天使と 悪魔、などの考え方が、キリスト教にもぐり込んでいる、と言われます。
ゾロアスター教については以上のまとめでした・・
ゾロアスター教 wikipedia
善悪二元論を特徴とするが、善の勝利と優位が確定されている。「世界最古の一神教」とも言われることもある。
原イラン多神教(アフラ・マズダー。
ミスラ(ミトラ)、
ヴァルナなど古代アーリア人によって信仰された宗教・・
マズダー教・原ゾロアスター教などの源流として想定されている
この獅子頭と翼を持った異貌の神像はこれまでに約40体ほど発見されているが、それにもかかわらず神名や、ミトラス教においてどのような役割を持つのか、文献による証言をはじめミトラス教の碑文に全く現れていないために、今もってその正体は不明である。
キュモンの説ではこの神は時間神クロノス=サトゥルヌスであり、イランの神ズルヴァーンに由来するという。
ミトラ教 (wikipedia 閲覧20150927)
近代になってフランツ・キュモン(1868 – 1947)(英語版)が初めてミトラス教に関する総合的な研究を行った。
キュモンによれば、ミトラスが太陽神となったのは、恐らくペルシア帝国の時代に、ミトラス崇拝がオリエント各地、とりわけバビロニアに伝えられた時のことである。その地で発達していたカルデア天文学の影響を受けて、ミトラスは太陽神シャマシュと同一視されたのである。
しかしながら、このようなキュモン説に対しては多くの異説があり、ミトラスの密儀が成立する以前のミトラスの神性についての確固たる定説はないに等しい。
ミトラ教は、現在ではキュモンのようにイランのミスラ信仰から直接的に発展したと捉えることは困難とされている。
増長するキリスト教会の特権を廃して古代の神々の復権を図った皇帝ユリアヌス(在位361年-363年)の治下では増加するが、それは一代のわずかな期間にすぎず、5世紀頃には消滅してしまった。
Musei Vaticani Leontocephaline
ミトラス神の両側には松明を持った2人の脇侍神カウテースとカウトパテースが侍り、またそれ以外にも太陽と月、四方の風、十二宮、カラスなどのシンボルを伴う。
この図像が聖牛の供儀によって生命力が解放されるさまを描いていることから、ミトラス教は豊穣崇拝と密接な関係があると考えられる。これはミトラス教の図像の中で最も重要なもので、ミトラス教神殿の至聖所中央に必ずこの図像が配置され、その前で儀礼が執り行われた
。
2nd century
height: 129 cm ; width: 144 cm
British Museum
Mithras sacrificing a bull
犬と蛇は牡牛の血を飲もうとしている。
The Scorpion pinching the Bull's testicles.
Mithras sacrificing the Bull (100-200 AD)
Borghese collection purchased in 1807 by the Louvre,
Lens
牡牛を屠るミトラス神と2人の脇侍神カウテス、カウトパテス。
ルーヴル美術館ランス別館所蔵。
こちらの足元の蛇は大きいですね。
ミトラ神殿が最も集中しているのはローマ市内ということで、私もローマで見ました。キリスト教の寺院の地下にあることが多い。
サン・クレメンテ・アル・ラテラノ聖堂にて https://flora.karakusamon.com/italy/Oppio20170603.html
Mithraeum in lowest floor in San Clemente in Rome
とにかく、蛇に巻きつかれた獅子像は、驚きであったが、蛇に巻き付かれた人間が獣帯の中にいる像は、時間の表象であることは、みてとれる…
ライオンヘッドの像と人間像の違いは何か…
アイオン(獅子)に戻る…
クロノスのページ、Aionの方のアイオン (神)に続く
ペルシアの古い時間の神ズルヴァーン、山羊の脚を持つミトラ教クロノス、
ユングの著書『アイオーン』、キュモンの著書『ミトラの密儀』、拝蛇教、2匹の蛇が絡まる杖、聖獣 蛇