p14
人間にとって時間とは生命そのものであり、その神聖な秘密であった。
古代ギリシアの時間の概念にも、この考えは見られる。
ギリシア人は実際に、時間を心的な大河であるオケアノスと同一視していた。
この河は、円を描いて大地を取り囲んでいたが、また循環する流れや黄道帯を背負った尾をかむ蛇の形で、宇宙全体を取り巻いてもいた。
それはまたクロノス(時間)と呼ばれ、のちにゼウスの父のクロノスや、アイオーン神とも同一視された。
p82 クロノスまたはサトゥルヌス
(Chronos=時間)は最も古いギリシアの神であり、
ゼウスにより退位させられたあとは、
北方にある死者の至福の島にすんだ。(※)
彼は黄金時代の支配者であった。
手中の鎌は彼が一切を「刈り取る」ことを示す。
マクロビウス(400年ごろ)は彼を『尺度を与えるもの』としてたたえている。
by
「イメージの博物誌12時間‐過ぎ去る時と円環する時」P82
Time:rhythm and repose.
マリー・ルイゼ・フォン・フランツ Marie-Louise von Franz/著
秋山さと子/訳 平凡社刊(1982/9))
載せられている
ポンペイの壁画 一世紀ごろ:ローマの農業神サトゥルヌス
ナポリ国立博物館蔵・・頭のマントと鎌により特徴付けられている。ポンペイのデイオスクロイの家出土。第四様式。
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ホメーロスの叙事詩など古い時代の説では、エーリュシオンは世界の西の果て、オーケアノスの海流の近くにある、気候温暖で芳香に満ちた島とされる。「至福者の島」とも呼ばれ、ラダマンテュスが治めているという。 一方、ウェルギリウスの『アエネーイス』など、新しい時代の説では地下にあり、ハーデースの統治下にあるとされる。
ところでここで、「ギリシア神話」と一口で言うが、少なくとも3種類あるということは頭に入れておいた方がよさそうだ。
「ムーサよ語れ、歌により誉れを授けるムーサたちよ」・・だったけ?・・「ええい知ったことか」と、ダン・シモンズ(Dan Simmon)は言った。
ホメーロス、ヘーシオドス、アポロドーロス・・
この世のすべての現象を貪り食うものである。
時間よ、お前たちは、すべてのものを破壊する。
オビディウス『転身物語』15,234)
クロノスCronos(ゼウスの父で、ウラノスとガイアの息子、父のウラノスを殺した)と、
クロノスChronos(ギリシア語で「時間」を意味する)が誤って混同され、
「時」=「父を貪り食う者」の含意が生じた
byド・フリース「イメージ・シンボル事典」p641
クロノスまたは神(Kronos,ローマ神話ではサトゥルヌス)も、
しばしばこの「時」の擬人像クロノス(Chronus)と混同される。
クロノス神は、自分の子を次々と飲みこんだことから、創っては破壊する「時」とも結びつけられたからである。
byビーダーマン「世界シンボル事典」
ギリシア人は、わが子を飲み込むクロノス神(サトゥルヌス)とクロノス(時間)を同一視した。
中世以降、彼は神の暗い側面を示す「父なる時」となった。
砂時計は我々にあらゆるものを想起させる。
by「イメージの博物誌12」p78
クロノスは、古代の密儀宗教では宇宙の祖神とされ、アイオンの名でも呼ばれた。
闇から生まれたクロノスは、アイテル(天空にみなぎる霊気)から卵をつくることによって世界を創造したという。
byビーダーマン「世界シンボル事典」
クロノスは、古代の密儀宗教では宇宙の祖神とされ、アイオンの名でも呼ばれた。
闇から生まれたクロノスは、アイテル(天空にみなぎる霊気)から卵をつくることによって世界を創造したという。
byビーダーマン「世界シンボル事典」
※アイオ(-)ンのページへhttps://ja.wikipedia.orgクロノス (時間の神)
オケアノスは大河として、大地の周囲をめぐって、流れている。
それは宇宙の心であり「あらゆるものの発生」である。
彼は時間(クロノス)そのものであり、
また、アイオーン、すなわち世の中の変化を司る力であり、
古代後期には「人生」、「一期間」及び《永遠》を象徴する「丸い元素」(ないしオメガΩ)でもあった。
彼はまた自分の尾をかむ蛇としても表され、太陽の道と道として天空を取り巻き、 背に黄道帯の宮を負っている。
世界の境界としては、オケアノスはその強制的な宿命である。
by「イメージの博物誌12 時間‐過ぎ去る時と円環する時」p31
ギリシア人は実際に、時間を心的な大河であるオケアノスと同一視していた。
・・ということですが、 オケアノス-クロノス、 アイオーン-クロノス と合体している他に、別に、ズルヴァーンという神まで出ています。Kronos、Cronos
オリンピアーやアテナイ、ロードス島、テーバイ他ギリシア各地で崇拝されていた。
その祭礼クロニアKroniaでは人身御供が行われていたことから、おそらくギリシア先住民の農耕神であったろうと考えられる。
発音の類似から「時 クロノスKhronos Chronos] の擬人像と混同されることもあり、後代には、鎌を手にした有翼の老人「時の翁(英)Father Time」の姿で表現されるようになった。
(この事典、京都大学学術出版会 (2010/06)刊には、アイオンの項はない)http://ejje.weblio.jp/content/Father+Time
Father Time
アクセントFáther Tíme
【名詞】
時の翁(おきな) 《死の訪れを象徴する大鎌 (scythe) と時の経過を象徴する砂時計 (hourglass)を持つ前髪 (forelock) だけの頭のはげた長いひげの老人; 「時」の擬人化; ⇒take time by the FORELOCK 【成句】》.
前髪だけの?
Take time by the forelock(,for she is bald behind).
《時間はその前髪を捕まえよ(後ろ髪はないから)》
時間の神Aeonアイオーン:蛇に巻かれた獅子頭像、Aionアイオーン