
クロノス、ヴォルフの墓の上で眠る
(wikipedia)
Grabstätte des Kaufmanns Georg Wolff (1845-1904), Schlafender Chronos von Hans Latt (1904)
「天使のような翼を持つ時間の神クロノスは、ベルリン クロイツベルクのエルサレムと新教会Friedhof IV der Gemeinde der Jerusalems- und Neuen Kircheにある
ゲオルク ヴォルフの墓で眠っています。
彫刻家:ハンス・ラット、1904 年頃」
人間にとって時間とは 生命そのものであり、その神聖な秘密であった。 古代ギリシアの時間の概念にも、この考えは見られる。
「イメージの博物誌12 時間‐過ぎ去る時と円環する時」p14
マリー・ルイゼ・フォン・フランツ
ギリシア人は実際に、時間を心的な大河であるオケアノスと同一視していた。
この河は、円を描いて大地を取り囲んでいたが、また循環する流れや黄道帯を背負った尾をかむ蛇の形で、宇宙全体を取り巻いてもいた。
それはまたクロノス(時間)と呼ばれ、のちにゼウスの父のクロノスや、アイオーン神とも同一視された。
p82 クロノスまたはサトゥルヌス
(Chronos=時間)は最も古いギリシアの神であり、
ゼウスにより退位させられたあとは、
北方にある死者の至福の島にすんだ。(※)
彼は黄金時代の支配者であった。
手中の鎌は彼が一切を「刈り取る」ことを示す。
マクロビウス(400年ごろ)は彼を『尺度を与えるもの』としてたたえている。
by
「イメージの博物誌12時間‐過ぎ去る時と円環する時」P82
Time:rhythm and repose.
マリー・ルイゼ・フォン・フランツ Marie-Louise von Franz/著
秋山さと子/訳 平凡社刊(1982/9))
クロノスである。 ボルヘスは言う。(『幻獣事典』柳瀬尚紀訳晶文社1974 p70-71)
クロノスあるいはヘラクレス 新プラトン学派のダマスキウス(四八〇年頃の生まれ)の著した「第一原理の諸問題と解答」は、 オルフェウス数の神統記と宇宙生成論を奇妙な形で伝えている。そこではクロノスーあるいは ヘラクレス―が怪物である。
ヒエロニムスとヘラニコス
(この二人がひとりでないとすれば)によると、オルフェウス教教理は、はじめに水と泥があり、これによって大地が形成されたと説いている。
このふたつの原理が最初のものであると教えられたのだ。これから生じた第三のものは翼を
もつ竜で、これは前方に牛の頭を、後方に獅子の頭を、中央に神の顔を有していた。
この竜
は老ゆることなきクロノスとも、へラクレスとも呼ばれた。
これとともに「不可避」とも呼
ばれる「必然」が生まれ、宇宙の隅々に広がった。
⋯⋯竜クロノスは、からだから三重の種
子を出した。湿っているアイテール、際限ないカオス、霧たちこめるエレボスである。
この
三つの下に竜は卵を産み、これから世界が孵ることとなった。
最後の原理は男であり女であ
る神だった。これは背に黄金の翼を生やし、両脇腹に牛の頭をもち、また頭は巨大な竜になっていて、あらゆる獣に似ていた。
ボルヘスのいう、「老ゆることなきクロノス」は以上だが、冒頭のお墓の彫像だが、よく見ると、おなかにライオンのベルトであるか、絵がある。ヘラクレス・・??
「卵を産む竜」!
以下
Chronosクロノス:時間の神時間の神格化
Cronosクロノス:農耕の神ティターン族
サトゥルヌスローマ神話
大鎌と鎌餅物の違い
時の翁とカルロス
オケアノス大河と永遠(アイオーン)
https://ja.wikipedia.orgクロノス (時間の神)
いくつかの古代文献では、クロノスをゼウスの父であるクロノスと同一視しています。これは民間語源です。
ホメーロスの叙事詩など古い時代の説では、エーリュシオンは世界の西の果て、オーケアノスの海流の近くにある、気候温暖で芳香に満ちた島とされる。「至福者の島」とも呼ばれ、ラダマンテュスが治めているという。 一方、ウェルギリウスの『アエネーイス』など、新しい時代の説では地下にあり、ハーデースの統治下にあるとされる。
ところでここで、「ギリシア神話」と一口で言うが、少なくとも3種類あるということは頭に入れておいた方がよさそうだ。
「ムーサよ語れ、歌により誉れを授けるムーサたちよ」・・だったけ?・・「ええい知ったことか」と、ダン・シモンズ(Dan Simmon)は言った。
ホメーロス、ヘーシオドス、アポロドーロス・・
「イメージの博物誌12 時間」
p82 「神の様相または流出としての時間」
載せられている
ポンペイの壁画は 一世紀ごろ:ローマの農業神サトゥルヌス(ナポリ国立博物館蔵)・・頭のマントと鎌により特徴付けられている。ポンペイのデイオスクロイの家出土。第四様式。
(図アリ→※)
クロノス(古代ギリシャ語: Χρόνος, ラテン文字転写: Khronos,ラテン語形: Chronus)は、「時」を神格化したもの。
シュロスのペレキューデースによって創作された神で、彼の Heptamychia に登場する。ヘーシオドスの『神統記』を初め、アポロドーロス、ヒュギーヌスらによる通常のギリシア神話には見られない。
ティーターネース(巨神族)の農耕の神・Κρόνοςとは、カナ書きすると同じ「クロノス」となり、英語での発音も同じ、ギリシア語での発音もほぼ同じなため、しばしば混同されるが、両者は本来、全く別の神である。
※シュロスのペレキュデース (ギリシャ語: Φερεκύδης ὁ Σύριος)はギリシアのシロス島出身の紀元前6世紀に活躍した思想家 ザース(ゼウス)、クトニオス(地球)、クロノス(時間)の3神の思想から派生した宇宙進化論を記した
時間神クロノスと、やはりギリシア神話の神カイロスという2つの言葉は、元々は「時」を表す一般名詞である。καιρός(カイロス)は「時刻」、χρόνος (クロノス)は「時間」を、それぞれ意味する。
en.wikipedia 古代では、クロノスは名前の類似性から、しばしばタイタン神 クロノスと混同され、あるいは意識的に同一視されていた。この同一視はルネサンス期にさらに広まり、収穫用の鎌を振る「時の父」の図像が生まれた。
このあたり特に頭に入れておいた方がよいようです・・。
また、サトゥルヌスであるが・・
「ローマ神話」でギリシア神話のクロヌスに対応させた神という。
まずもって一番に、ゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』でイメージされる。
wikipedia
Saturnus (deus)
サトゥルヌスは古代ラテンの神であり、農民からは種まきと収穫を司る神として崇拝されていました。ローマ人の解釈では、サトゥルヌスはギリシャ神話のクロノスと同一の神とされていました。しかし、この神の真の起源はおそらくエトルリアにあると考えられます。
サトゥルヌスが satu つまり種まきから派生したと考え、またその名前をsaturo つまり満腹になるまで飲み食いする人という言葉と結び付けた
サトゥルヌスは農業によって得られる富の神
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Reliefs of Saturnus
ひげを生やしベールをかぶってライオンに座るサトゥルヌス (フェニキアの神バアルのローマ表記)
Dedication to Saturnus (CIL VIII 20433), from Beni Fouda near Djemila, Musée national des Antiquités, Algiers, Algeria
サトゥルヌスが子供たちを食い尽くすということは、彼が生み出したすべてのものを消費することにほかなりません。なぜなら、彼は鎌で作物だけでなく、すべての人やすべてのものを刈り取ったからです。そのため、16世紀または17世紀に活版印刷された写本の最初のページを表すブロンズ像では、歴史のムーサであるローマ女神とクレイオーと共に、サトゥルヌスは長い鎌と砂時計を持った翼のある老人としてよく登場します
この世のすべての現象を貪り食うものである。
時間よ、お前たちは、すべてのものを破壊する。
オビディウス『転身物語』15,234)
クロノスCronos(ゼウスの父で、ウラノスとガイアの息子、父のウラノスを殺した)と、
クロノスChronos(ギリシア語で「時間」を意味する)が誤って混同され、
「時」=「父を貪り食う者」の含意が生じた
byド・フリース「イメージ・シンボル事典」p641
※「父を貪り食う者」?念のためよく見たが「子を貪り食う者」でなかった‥クロノスまたは神(Kronos,ローマ神話ではサトゥルヌス)も、
しばしばこの「時」の擬人像クロノス(Chronus)と混同される。
クロノス神は、自分の子を次々と飲みこんだことから、創っては破壊する「時」とも結びつけられたからである。
byビーダーマン「世界シンボル事典」
ギリシア人は、わが子を飲み込むクロノス神(サトゥルヌス)とクロノス(時間)を同一視した。
中世以降、彼は神の暗い側面を示す「父なる時」となった。
砂時計は我々にあらゆるものを想起させる。
by「イメージの博物誌12」p78
クロノスは、古代の密儀宗教では宇宙の祖神とされ、アイオンの名でも呼ばれた。
闇から生まれたクロノスは、アイテル(天空にみなぎる霊気)から卵をつくることによって世界を創造したという。
byビーダーマン「世界シンボル事典」
クロノスは、古代の密儀宗教では宇宙の祖神とされ、アイオンの名でも呼ばれた。
闇から生まれたクロノスは、アイテル(天空にみなぎる霊気)から卵をつくることによって世界を創造したという。
byビーダーマン「世界シンボル事典」
※アイオ(-)ンのページへ (ド・フリース「イメージ・シンボル事典」
大鎌scythe
大鎌=農耕神クロノスCronosとサトゥルヌスの持ち物 p554
鎌sikkle
鎌=「時の翁」の持ち物 p579
→CronosとChronosの混同
Love's not Time's fool, though ross
lips and cheeks within his bending
sickle's compass come.
愛は「時」の道化
ではない。たとえバラ色の唇や頬は曲がっ
た「時」の鎌で刈り取られても
(シェイクスピア「ソネット詩 集」116)
発音の類似から「時 クロノスKhronos Chronos]
の擬人像と混同されることもあり、後代には、鎌を手にした有翼の老人「時の翁(英)Father Time」の姿で表現されるようになった。
(この事典、京都大学学術出版会 (2010/06)刊には、アイオンの項はない)
『時の翁』パノフスキーを読むhttp://ejje.weblio.jp/content/Father+Time
Father Time
アクセントFáther Tíme
【名詞】
時の翁(おきな) 《死の訪れを象徴する大鎌 (scythe) と時の経過を象徴する砂時計 (hourglass)を持つ前髪 (forelock) だけの頭のはげた長いひげの老人; 「時」の擬人化; ⇒take time by the FORELOCK 【成句】》.
前髪だけの?
Take time by the forelock(,for she is bald behind).
《時間はその前髪を捕まえよ(後ろ髪はないから)》

オケアノスは大河として、大地の周囲をめぐって、流れている。
それは宇宙の心であり「あらゆるものの発生」である。
彼は時間(クロノス)そのものであり、
また、アイオーン、すなわち世の中の変化を司る力であり、
古代後期には「人生」、「一期間」及び《永遠》を象徴する「丸い元素」(ないしオメガΩ)でもあった。
彼はまた自分の尾をかむ蛇としても表され、太陽の道と道として天空を取り巻き、 背に黄道帯の宮を負っている。
世界の境界としては、オケアノスはその強制的な宿命である。
by「イメージの博物誌12 時間‐過ぎ去る時と円環する時」p31
ギリシア人は実際に、時間を心的な大河であるオケアノスと同一視していた。
・・ということですが、 オケアノス-クロノス、 アイオーン-クロノス と合体している他に、別に、ズルヴァーンという神まで出ています。Kronos、Cronos
オリンピアーやアテナイ、ロードス島、テーバイ他ギリシア各地で崇拝されていた。
その祭礼クロニアKroniaでは人身御供が行われていたことから、おそらくギリシア先住民の農耕神であったろうと考えられる。

Chronosクロノス:時間の神時間の神格化
Cronosクロノス:農耕の神ティターン族
サトゥルヌスローマ神話
大鎌と鎌餅物の違い
時の翁とカルロス
オケアノス大河と永遠(アイオーン)
以上色々見てきたが、このクロノスについては、詩で終えよう。
When I do count the clock that tells the time,
And see the brave day sunk in hideous night;
When I behold the violet past prime,
And sable curls all silvered o’er with white;
When lofty trees I see barren of leaves,
Which erst from heat did canopy the herd,
And summer’s green all girded up in sheaves
Born on the bier with white and bristly beard;
Then of thy beauty do I question make,
That thou among the wastes of time must go,
Since sweets and beauties do themselves forsake,
And die as fast as they see others grow,
And nothing ’gainst time’s scythe can make defence
Save breed to brave him, when he takes thee hence.
そして、時の大鎌に対抗できるものは何もない。
ただ、彼があなたをここから連れ去るとき、彼に勇敢に立ち向かう血統だけは持っているのだ。(AI翻訳)
William Shakespeare (Sonnet 12)