模様・文様・紋様
(用語の区別)
「模様」・「文様」・「紋様」という似通った言葉について、用語の区別を以下に挙げます。文様のモティーフなどにかかわる個々の用語については、別ページで解説します。
●文様
物の表面を飾るためにつけられた図様
装飾史において
様式化したモティーフの単位を
その構成原理に基づく
学問的な対象としてみる場合に使う述語
●紋様
やや紋章的な感じを含む図文
●模様
染織などを主とする工芸品に<型>としてくりかえされるような意匠
●漢字の意味
○文
表外訓 あや ⇒文様 文藻(ブンソウ)
表外訓 かざり ⇒文身(いれずみ)
○様
唐時代 形 型 手本の意
源氏物語 帚木
人の調度のかざりとする定まれる”やう”あるものを
○紋
表外訓 あや⇒指紋 波紋
○図
表外訓 え⇒ 図案 図画
○図像
●意匠の意味
趣向工夫 装飾的な考案デザイン
「様々なる意匠」(小林秀雄)→ 紋切り型の思考、党派・主義
装飾としての文様と記号としての文様
●装飾としての文様
飾る デコレーション(decoration)
decorate:名誉を加える 壮麗にする
壁紙やペンキで部屋・家を見栄えのするものにする
オーナメント(ornament)
ornament:付属品としてふさわしいものを半永久的に加える
○人間の装飾本能
・・生活環境を美化し人生の喜びを見出そうとする(林良一)
●記号としての文様
象徴的文様
西洋中世法王や王家の紋章
日本の家紋
宗教信仰の対象や内容の図像的意味
キリスト教
○葡萄の樹 十字架 魚⇒キリスト
○薔薇(青銅の薔薇窓に至るまで)⇒ 聖母マリア
○糸杉⇒死
○棕櫚(実はナツメヤシ)⇒復活
インド初期仏教以前
○菩提樹 成道(じょうどう)
仏教 荘厳(しょうごん)
寺院の堂塔や尊像を装飾すること
■ 芸術学 様式史
ウイーン学派 A・リーグル創始
↑文様の動因を芸術意欲にあるとした最初の人
(by林良一)
1893 「芸術形式論(原題:様式論ー文様史の根本問題)」
植物文様 パルメット唐草中心の分析
○リーグルによるロータス花紋分類
(形式語) 平面形(ロゼット)
↓ 側面形 半側面形⇒渦巻型 萼
↓ 地間充填 栓形
(実は全て抽象的モティーフ)
パルメット型扇形モティーフ⇒花弁=葉型 葉状扇形花弁
⇒アカンサス葉に変容
○モティーフの連続の仕方による分類
帯状・平面状⇒対置法
並置法
地間充填法
(2つのモティーフの間に別のモティーフを一つはさんで連続させる)
多方面に無限に連続⇒アラベスク模様
イスラム壁面 絨毯
■モティーフの分類
幾何学文・・・最も純粋抽象的
直線 鍵形⇒万字(卍)文 万字崩し文 雷文
方形⇒十文字 市松文 菱形文
三角形⇒鋸歯文
曲線 円⇒円文 花文(弧形)稜(りょう)文 連珠文
渦巻き文 C字型S字型雷紋
複合 直弧文 題湊(だいそう→木目の年輪)文
亀甲文 巴(ともえ)文
動物文
現実的/
空想的
中国起源鳳凰イラン起源花喰い鳥
インドのカリョウビンガなどの霊鳥
西アジアの有翼獅子 ペガソス(天馬)
中国の龍 ギリシアのグリフォン
瑞獣 有翼の天馬→麒麟 一角獣→角端
霊獣の頭だけ 獣面文 西方の獅子ゴルゴン
東方の饕餮(トウテツ)
鬼面(鬼瓦など)
組み合わせ
中国 四神 十二支
動物闘争文
獅子 鷲 グリフォンが牛 羊 鹿 馬などを襲う
瑞祥文
聖樹・瑞草を中心に左右から向かい合わせのモティーフ
植物文 現実的
西アジアのパルメット(ナツメヤシ)
インドの菩提樹
東アジアの松
日本の桜・梅
草花文・・種類多い
インド 蓮華 中国 牡丹・菊・蘭
日本 秋草 燕子花(かきつばた)
植物文 空想的
空想的植物文の代表は唐草文である
→パルメットとアカンサスの波状唐草
基準形 波状の茎の山と谷に交互に葉型を置く
エジプトに発生してギリシアで完成
ローマより世界各地に伝播
中国では仏教美術の東漸に伴って南北朝時代に移植された
特に半パルメットの波状唐草並列唐草輪つなぎ唐草
唐朝では雷文(唐草)とも融合した抽象的な植物文が生まれた
日本では奈良時代に伝来
瑞果文 イランで神聖視されていたブドウやザクロ
↓ 多産豊穣の象徴
半パルメットや自然陽の波状唐草に取り入れられ東伝
葡萄唐草 西洋中世キリスト教美術で象徴的図文として愛用された
エジプト・インドの蓮華→ロータス花
ロゼット円花文→中国 唐花文
中国花唐草→宝相花(ほうそうげ)文
空想的な植物文に牡丹花の現実的な形態を濃厚に取り入れた
聖樹 古代アジアの図式的な生命の樹から発展
→ナツメヤシ・葡萄の樹→アラベスク
人物文
古代エジプト・ギリシア→戦士 婦人像 人物をかたどった神や精霊
動物との混合形 ケンタウロス スフィンクス
空中飛行 エジプト・西アジア 有翼の精霊
インド 飛天 中国(漢代~)神仙世界の神人(唐朝)天女
自然現象文
日月星辰文
雲文(中国独自)渦巻き型 き(まむし)竜文 雲気文
雲唐草→日本・朝鮮へ
水波文 青海波 光琳模様(波頭を強調)
山岳文
狩猟文
特に獅子のモティーフが愛用された(→アニマルスタイル)
風景文
組み合わせの 絵画的な文様 蒔絵の調度品 経巻きの見返し 葦手絵
文字文
花文字 初期キリスト教時代以降 アルファベットを葉や花 枝で飾った
イスラム アラビア文字の装飾書体⇒倣文字文
中国 吉祥文字(寿など)図案化
■アラベスク模様
フランス語で、「アラビヤ風」の意
蔓草に似た優美な曲線の交錯の中に、
様式化した植物をモチーフとして取り入れた文様
イスラム文化圏では、
植物の断片的な連続模様にアラペスクが、
モスクの壁をはじめ、様々なものの奘飾によく用いられています
偶像崇拝を禁じられたため象徴的に用いられたという
最も名高いイラン(ペルシア)のモスクはイスファハン イマムモスク
青タイルの微妙なグラデーションと見事なアラベスク模様
トルコの名産地イズニックのタイル
イスタンブール ブルーモスクなどに使われた
■ペイズリー模様
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/‥/origin_of_paisley.html
パームツリー(ナツメヤシ)が起源
日本では「まが玉模様」とも呼ばれる
円すい形が強調されていった背景には「多産や豊作を示し『生命の樹』の象徴とされる松かさ模様の影響もある」と、文様文化を研究する共立女子大学の城一夫名誉教授は推測する。西洋でブータ模様をコーン(球果)やパイン(松)と呼んだことからも、その形に松かさ模様を重ねたことがうかがえる。
■
メソポタミヤのアッシリヤ、バビロニアでは紀元前6世紀頃,多く見られる。
生命の樹として宗教的意味、及び建築物を美しく飾るため、
単独に或は連続模様として盛んに装飾され、
アッシリア,バビロニア時代にと継承されギリシャ時代で完成された。
■”アート&クラフツ運動”
”近代デザインの父”ウイリアム・モリスの布
■アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)
19世紀末にヨーロッパで花開いた新しい装飾
美術の傾向
参考書 平凡社世界大百科辞典1988刊 (林良一)
美術辞典・文様辞典
(別掲)
講談社 世界の美術 etc.
https://www.poppy.co.jp/poppy/aroma/aromarekisi.htm
アロマテラピーという言葉は、
フランスの科学者ルネ・モーリス・・ガットフォセにより、
1928年に出版された『芳香療法』という本に
より
広く知られるようになりました。
古代文明より香りの役割は、神から授かりものとして考えられてきました。
古代エジプ トでは、
医療の目的や化粧品のためにエッセンシャルオイル(精油)を利用してきました。
乳香と投薬は、「神の薬」として意味するといわれています。
乳香はフランキンセンス、投薬はミルラとして、
今日もアロマテラピーで広く利用されています。
|円柱解説につづく|
(update 2001/07/14 ,2003/02/20byM)
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