ウクライナの文様と自然崇拝(2)
Ukrainian girls wearing vyshyvankas at the Independence Day celebration(2011)
2022年2月、ウクライナが大変なことになり・・、何もできないのだが、ウクライナの文化と文様をみることにした。
その1で、
ウクライナの地理やスラブの神話をおさらいしました。
ここでは,タイトル本題のウクライナの文様についてみます・・
wikipediaイースター・エッグ (再掲)
スラブ諸国の民間伝承では新しい命のシンボルとして広く一般化している。
ピサンカとして知られるバティック模様の装飾は、複雑にきらきら輝く卵を作り出す。
ウクライナなど、生の卵に装飾をする地方も存在する。
上記の「バテッィク模様」について、違和感があった。
バティックはジャワの無形文化遺産という認識なので、・・
そこから見ていくが、これは「ろうけつ染め」という意味で使われているようだ。
杜撰な感じが残るが、「蝋結染め(バティック)技術」とある。
(wikipediaプィーサンカ、ピサンカ)
バテッィク Batik:ジャワ更紗
バティック(Batik)は、インドネシア、マレーシアのろうけつ染め布地の特産品。日本では更紗の一種とされる。(wikipedia)
バティックとは、インドネシアで腰巻きなどの伝統的な衣装として用いられてきた、蝋で防染し染色した布のことで、植物の柄や、幾何学模様などをプリントしたものが多いです。 特にジャワ島のものが有名なため、「ジャワ更紗」と呼ばれることもあります。。
https://shop.malaika.jp/shopbrand/mafb017/
こうしてみると、色合いの違いが一番感じられた。
ウクライナのプィーサンカ
プィーサンカ、ピサンカ(ウクライナ語:Писанка)は、ウクライナの特産品、蝋結染め(バティック)技術によって装飾された卵である。
古代ウクライナの迎春祭の象徴物であったが、11世紀以後キリスト教の復活祭に用いるイースター・エッグとなった。古代スラヴ人の文化の影響を受けたウクライナの隣国にも用いられる。
ピサンカ博物館https://pysanka.museum/の文様だが、ジャワ更紗の文様と違い、色合い、連続のしかたのほか、四角や菱形の中に、多くはオンドリ、ウマという動物が存在する。 (続く)
現代のイースター(復活祭)において、赤い卵が欠かさず用意されるのを目にするが、これはマグダラのマリアと赤い卵の逸話がルーツの一つになっている
英語圏の「Easter イースター」
http://www.worldfolksong.com/calendar/easter/easter-etymology.html
ゲルマン神話の春の女神エオストレ(エオステレ)。エオストレは多産の象徴である野ウサギを従えており、その卵は多産・復活・新しい命の象徴であった。
野ウサギたちは春の訪れを感謝するため、春色に塗り分けた綺麗な卵をエオストレにプレゼントしたところ、エオストレは大変喜び、卵を春風と共に皆に配ったという(イースター・エッグのルーツ?)。
以上、ウクライナの文様(ウクライナエッグ)をざっと見たが、ここで、子ども向け・一般向けの民族衣装の文献(Amazon)を参照します。
世界の民族衣装
( 河出書房新社 (2017/11/13)竹永 絵里著
内容(「BOOK」データベースより)「 民族衣装とは、それぞれの土地の伝統や歴史のなかで生まれた衣服のことをいいます。「民族」とは、人種や文化、言葉などが共通する人々の集まりのこと。近年ではお祭りの日などとくべつなときに着る、とっておきの晴れ着としてあつかわれることも多くなっています。本書では、45ヵ国の民族衣装をイラストで楽しく紹介しています。民族衣装を通して、共通点などから文化の交流を発見したり、見たこともないような衣装に想像をふくらませたり…。ページをめくって、着てみたい民族衣装を見つけてみてください。」
p18‐19 図
「ヨーロッパの女性の民族衣装は、ブラウス、スカート、エプロンの組み合わせが多く見られます。一番の特徴は、衣装の色や刺繍、レースなどの飾りが美しいこと。民族ごとに使う色しゃ刺繍の入れ方などに違いがあります」
(イラストレーター:竹永 絵里)
見開きのヨーロッパの拡大引用
確かに美しい花模様。
ここで、初めのページの地理の紹介で見た
「世界の民族衣装図鑑」にもどっておきます。
(2019)
文化学園服飾博物館 (著)
以下同書より引用。
世界69カ国の民族衣装を約500点の写真からビジュアルで楽しめる、
民族衣装が語る気候風土や民族の歴史と暮らし。その素材や技法も解説。
民族衣装はお祭りや結婚式など、とくべつな機会に着るものであると思われがちですが、そうではありません。
もともと気候や風土、暮らし方などによってその地域の人々の生活に適応する理にかなった形態が生じるとともに、
それが時代や社会状況、さらに異民族の影響などによって変化してきたものです。
民族衣装の形状や文様、素材などには、気候風土ばかりか、民族の歩んだ歴史、
暮らしぶりや思想、思考などが表れておりまさに「服は口ほどにものを言う」のです。 グローバル化によってさまざまなものが画一的になる中、民族衣装は世界には多様な価値観が存在することを教えてくれます。
衣服はただ人を覆うだけのものではなく、「装うこと」で何かを表したり、意味を込めたりする、それは現在の私たちも同じです。
【本書の構成】
第1 章 民族衣装の基本
第2 章 各国の民族衣装
第3 章 民族衣装で世界がわかる
服飾史
ついで、翻訳文献を参照します。
メインで参照する
『世界の民族衣装文化図鑑』で詳細に見る前に、その周辺を見ておこうと『世界服飾史』(能澤慧子 ナツメ社2012)を見た。
史上最強カラー図解 世界服飾史のすべてがわかる本(ナツメ社)
この書では、「民族衣装」ということばは、第7部のタイトルで、アジア・アフリカの限定のように使われているようだ。
ヨーロッパの方には、「伝統衣装」という言葉は出てくるが、民族衣装という言葉はほぼ使われていないようだ。
よく見ると、わずかに
「祭りに見る中世庶民の衣服」という2ページ(p98‐99)に
ブルガリアの民族衣装という写真があるが、、
キャプションは
エプロンやシュミーズに施された鮮やかな色合いの刺繍が特徴。」
収穫の季節に見たい各国の伝統衣装
ブルガリアの中心であるバラの谷。バラの収穫期は5~6月で、
毎年6月上旬にはバラ祭りを開催。
この祭りではこ伝統衣装に身を包んだ女性たちを見ることができる。
女性たちは、袖口や前見頃に刺繍が施された白いシュミーズを着て.
その上にスクマンという袖なしのチュニックやベストとエプロンを着用。
ここにも、幾何学模様や花の柄が赤、青、黄、緑など、鮮やかな色の糸で刺繍されている。
頭にかぶるのは、たくさんのコインを使った伝統的な飾り物やスカーフだ。
「伝統衣装」という言葉になっている。オリエンタリズムの偏向があったように感じられた。
『世界服飾史』(ナツメ社)「祭りに見る中世庶民の衣装」
p99(ユニフォトプレス)
”ブルガリアの伝統衣装を身に着けた女性。
エプロンやシュミーズに施された鮮やかな色合いの刺繍が特徴。”
いや、wikipediaの下の画像とは、だいぶイメージが違うがちがうが・・・白いハンカチは共通・・
Lazarki from the village of Gabra, Sofia Region, Bulgaria
「祭りに見る中世庶民の衣装」ということから、フランス・スペイン・オランダの祭りを検索しました。
フランスのアルザス地方の8月のワイン祭り
大きなリボンの帽子(コアフ)を被り、シュミーズの上に、赤いスカート、黒いエプロンをつける伝統衣装
風車と古城のスペインのコンスエグラ
村サフラン祭り
検索では、オランダの民族衣装が多くヒットし、人気のように感じられる。
オランダ アルクマールのチーズ市
フォーレンダムの民族衣装は、三角形のような立体的な白色の帽子、黒エプロンに花柄模様、ストライプ柄のスカートが基本。オランダの民族衣装では一番有名な衣装
ミッフィー nijntje miffy ぬいぐるみ オランダ民族衣装 アムステルダム国立美術館限定 約34cm チューリップ ドール 人形 ナインチェ
オランダの民族衣装-ハウステンボス所蔵人形-:大原 昭子東京図書出版
Hansi(ハンジ) ミニポスター(女の子×プレッツェル作り) Hansimm003Hansi (Jean-Jacques WALTZ) (1873-1951)
ハンジ(ジャン・ジャック・ヴァルツ)Hansi (Jean-Jacques WALTZ) (1873-1951)
ハートアートコレクション マスキングテープ ハンジ Hansi-049 ハートアートコレクション
もう一冊の図書、『世界服飾史』の方であるが、、ざっと見た限り「民族衣装」も「伝統衣装」も出てこないようだ.。
マールカラー文庫
では
”LE COSTUME NATIONAL”の訳語が、
「民族衣装」
(マール社1994)A. ラシネ (著)
※nationalは形容詞 国民の、国家の、国定の
「100年前の写真で見る 世界の民族衣装 」– 2013
ナショナル ジオグラフィック (編集)
このあと、メインの参照本『世界の民族衣装文化図鑑』で、青銅器時代(紀元前2000年後半)の粘土の女性像と、20世紀初頭のブルガリアの民族衣装の興味深い類似などを見る。マリア・ギンブタスの古ヨーロッパの研究も改めて参照する。(ページを改めて続く)
- ウクライナの地理 スラブ神話(自然崇拝と文様)
- ウクライナエッグ バティック模様 刺繍 服飾史、フランス・スペイン・オランダ
- 民族衣装の伝統 ハンガリー・ルーマニア・ブルガリア
- 民族衣装の文様 「民族的造形の起源」