メリュジーヌの名であるが、『イメージ・シンボル事典』(アト・ド・フリース著 (オランダ人)原著アムステルダム・ロンドン1974刊)では、Melusinaメルジーナ (p424)(1図のみ) という項の他に、mermaidマーメイド(p426-427),sirenセイレン(p582-583)がある。
一方 『世界シンボル事典』(ハンス・ビーダーマン著 (オーストリア人)原著1988刊)では、水の精の項(p413‐415)に「メルジーネ」「ニンフ」「スキュラ」で、(V・カルタ―リからなど計4図)
もうひとつ、フランスの『動物シンボル事典』(ジャン・ポール・クレベール著 原著パリ1971刊)メリュジーヌの項(p351-352)と、ヴイーヴル(有翼の蛇ギーヴル p30-32)・・
のちに彼女は頭に冠をつけ、2つに裂けた尾を持つセイレン(人魚)の姿を取る普通の海の精となった。 彼女は災難が近づくのを悟ると3度叫び声をあげる。
⇒mermaid
『シンボル事典』p424の図
『動物シンボル事典』の方では
今日メリュジーヌの物語といわれている『リュジニャンの高貴なる歴史』(14世紀末ジャン・ダラス著)=この妖蛇を先祖とするかってキプロスに君臨したポワチェの名家の家系をうたう。
へそぬえこそかみをくしけずるじょせいのすがたであったが、それより下は蛇の尾の形で、その太き事ニシンを入れる樽の如くであり、‥
5メートルほどの蛇に変身し、城の塔をくるくる回って消えた。
夫の好奇心の精で城から飛び出すメリュジーヌ
(14世紀のミニアチュール)〈『動物シンボル事典』p353)
「彼女はライモンダンとの間にできた子供たちが忘れられず、人間の姿になった戻ってきてはあやす」・・また、「後の家系になくてはならない子供を産んだだけなく、城や要塞を悪魔的といってもよいほどの速さでこしらえた。」とあるが、さらに、
メリュジーヌという名はおそらく生産を掌る「母なる」ルーキーナMere Lucineつまりユーノーからきているのだろう。(ジャン=ポール・クレベールp352)
出産の報恩として、昔はこのユーノーに、胴回りの長さに結んだ帯や紐を捧げる習慣があった。
出産の報恩?そういう習慣があったのだろうか?・・
単に「異類結婚譚」とか言って片付けてしまうよりましだが、他の引用がないので、良くわからない。
フランス版wikipediaでは、古代の起源として、ヘロドトスの蛇女への言及がある。(20200417閲覧)ドイツ版Wikipediaでは、Melusineの物語は、人気のある古代ヨーロッパの神話の1つで、その出典は12世紀にさかのぼるが、もっとも古い既知のバリエーションは日本の古事記(712)の海神の娘トヨタマヒメとある。「天孫降臨の段」神武天皇の祖母にあたる(;'∀') 「神話類型として、見るなのタブーが見受けられる」。
1.人魚の生息地は海であるが、その本質は人間に近い存在である。また女の人魚(mermaid)と男の人魚(merman)との間には、はっきりした区別はない。
2.昔は、どんな生き物にも、それと対応する生き物が他の領域(たとえば水の中)に住んでいるという説があり、このため人間に対応する人魚の存在が信じられたのであろう。それゆえ、海牛(sea-cow)、海馬(sea-horse)、海ライオン(sea-lion)、はては海の司教(sea-bishop架空の存在)までもいる。またこの説の必然の結果として人魚にも男女の別が存在することになった。
3.アフロディテ神話は原型的な人魚(海―母―生殖)伝説の名残であろう。
人魚は手に鏡(=自覚、月面、水面、または虚栄心そのもの)と櫛(=楽師として「髪の弦をかき鳴らす」道具、または無常)をもち、金髪(=海藻、または水面に照り返す太陽光線)である。
4.魚(体)神の起源は大変古い。バビロニア神話のオアンネス(Oannnes)は啓蒙神で、昼間は陸に上がって人間に技芸と農業を教え、夜になると海へ戻った。この髪は聖書に出てくる半人半魚の主神ダゴンン(Dagon)の原型になっているので、洪水ー魚ー英雄という連想のあるノアと関連があるかもしれない(Dag=fish,Noah=Oan(nes))ノアはブドウの木の栽培を広めた文化英雄でもある。(以下略)
flickrの魚人魚ニ尾 Fish-sirens - two-tailed 色々https://www.flickr.com/groups/1102568@N24/pool/
ディズニ―・シーのBMTのセイレンhttps://dinkomanga.cocolog-nifty.com/
メリュジーヌ―蛇女・両性具有の神話
/ ジャン・マルカル著 ; 中村栄子, 末永京子訳. -- 大修館書店, 1997.
「幻獣ヴィーヴル:メリュジーヌの一種で、半分女で半分ヘビの、きわめて残忍な獣だ。悪意に満ち、情け容赦がないと聖アンブロワーズは確信している。」
主人公のデュルタルは、中世の象徴的動物誌に取り組んでした東方起源の幻想的動物誌で、ドラゴン、グリュプス、バシリスク、フェニックスとみてきて、
一角獣。これは神秘的博物学が生んだ最も驚くべき創造物の一つである。(p108)
一角獣は、純潔を証し立てるものの一つとされている。これは聖イシドロスも触れているもう一つの驚くべき動物、ポリフィリオンと同じである。(p110)
ヴィーヴルはその次に登場していて、次はマニコールであった。レオンクロット、タランド、海坊主・・と続いて、
中世の動物誌は他にも数々の幻獣を作り上げているが、要するにそれはあの水落しの怪物ガルグイユ像、おぞましき悪徳を体現して聖所から放り出されたあの混種の生き物に尽きる。
通行人は、その怪物が口を大きく開けて樋のごみを吐き出す姿をみて、教会を一歩出るや、そこは精神の死体のさらし場であり、魂の汚水溜めにほかならないことを思い知らされるのである。
この分類で十分という感じだ。、それに、象徴という見地からしても、この動物づくしはあまり興味をそそられるものではない。ヴィーヴルだろうとマニコールだろうとレオンクロットだろうとタランドだろうと海坊主だろうと、変わるところがないからだ。つまり、どれもサタンの化身。(ユイスマンp113)
尾形希和子著『教会の怪物たち』、または『イメージの解読 怪物』へ戻る
こういうページがありました・・
https://www.pitt.edu/~dash/melusina.html
https://en.wikisource.org/wiki/Curious_Myths_of_the_Middle_Ages/Melusina
神話類型として、見るなのタブーが見受けられる(Wikipedia)
"Melusinenbrunnen Karl-Preis-Platz Adolf Rothenburger 1939 Muenchen-4" by Rufus46 - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via Wikimedia Commons.