唐草図鑑

芸術の体系的分類

「美学・芸術学研究 '13」(by青山昌文) 第10章ぬきがき・・ 

 

古代:アリストテレス

アリストテレスAristotle 前384年 - 前322年): 『詩学』

「叙事詩の詩作、喜劇の制作や喜劇の制作、悲劇や叙事詩のもとになるディーテュラムボス詩の技法、またあらかたの吹奏法や弾琴術など、これらすべてを一括すれば、ミメーシスすなわち、模倣的再現というところに落ち着く。
しかし、これらは同じくミーメ―シス、すなわち再現ではありながらも、次の三点において互いに異なっている。即ち、 それぞれ異なった媒体を使うということ、それぞれ異なった対象をもつということ、それぞれ異なった手法であるということ、の3点において異なっているのです。」

「表現の手段(なにで)・対象(なにを)・方式(いかに) を規律として、諸芸術のジャンルを区別。」

媒体の違い:(一般に言う)視覚芸術と聴覚芸術
手段:「リズム・言葉・メロディーの三媒体・手段に基づく分類
対象:「対象の違いによる分類は最終的には悲劇と喜劇を区分するためのものだが、それだけにとどまらない独自のもの。」
手法: 「主観的な表現を避けて客観的に人物の言語動作を模倣(ミーメ―シス)すべきこと、自己とは異なる存在になりきって語ること」

「悲劇と喜劇の定義は、実は一般に思われているほど簡単ではない。多大な有効性をもった分類。」(by青山昌文)


近代:ヘーゲル

ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel、1770年- 1831年)

建築、彫刻、絵画、音楽、詩(文学)の5つの芸術・・低い段階から高い段階へと弁証法的に発展する体系を構成する
一番低い象徴的芸術が東洋の芸術であり、それを超えたものが古代ギリシアの芸術であり、最高のロマン的な芸術がキリスト教的芸術である

「芸術をそれ自体として観察・分析するものでなく、主観主義的自己表現の美学の思考の枠に芸術をにあてはめたもの」
「 自己の属する世界の芸術を、他の世界の芸術より高いものとする姿勢には驚きを禁じ得ない。」(by青山昌文)


現代:カインツ

フリードリッヒ・カインツ Friedrich. Kainz (1897-1977)

カインツによる分類 by竹内敏雄/美学事典  (1973)

空間芸術と時間芸術という二分法で分類。 常識的、長方形的。

「すっきりと割り切れるものであるが故にこそ、分析対象の本源的一性を、つかみ切れていない危険をもつ」(by青山昌文)

カインツという人が検索に出てこなかった。
かろうじてここに(昭和女子大学大学院教授押谷由夫)
その後、ドイツ語のWikipediaにある、フリードリッヒ・カインツFriedrich. Kainz (1897-1977)であると分かったが、図はなく、他の国のWikipediaには人名が存在しない。今道友信の基礎文献表には1行ある。
Vorlesungen über die Ästhetik 1948ウィーン刊
図?はここに
https://archive.org/details/aestheticsthesci013636mbp


 

現代:スーリオ

スーリオ( Etienne SOURIAU、1852‐1926)


(スーリオによる諸芸術の分類表 p306)
http://www.kanazawa-bidai.ac.jp/index/99book/aes/aes_06.html

円環的多重な照応を表現している体系的分類。 7つの基本要素の周り、第一時的・非再現的な芸術を、その外側に第二次的・再現的な芸術を配した。(by青山昌文)

現代(日本)

竹内敏雄(1922- 2012)  


1979「美学総論」

二分法:空間芸術(静止の芸術)と時間芸術(運動の芸術)
「模像的再現」の芸術::模擬的象形芸術と描写的象形芸術
「イコン記号的芸術」:描写的象形芸術と言語記号的芸術
(演劇はでていない=副次的な芸術=ミミックと文芸との複合)(by青山昌文)

  

今道友信(1922- 2012)  


1984「講座 美学」

芸術を質量と形相とに分け、形相(quaria)の九分割はスーリオの七分割に倣いながらも認識に触覚を加えたことによって生じた (by今道友信)

  

青山昌文(1952-)  


1997「芸術の古典と現代」

要素還元的でない、連続的・全的な体系的分類。(存在論的にして実在論的な体系的分類)「
一次性⇒永遠性、非物質性→物質性 

 多様な芸術を固定した枠にのなかに閉じ込めない。
芸術の基本要素をいくつかの特定のものに設定してしまうと、現実に正しく対応しないない。 

インスタレーション(Installation art) とは、1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術。(Wikipedia) EX:クリスト&ジャンヌ=クロード」(Christo and Jeanne-Claude)

コンセプチュアル・アート (Conceptual art)とは、1960年代から1970年代にかけて世界的に行われた前衛芸術運動。アイデア・アート(Idea art)とも呼ばれる。日本でははじめ概念芸術や観念芸術と訳されることが多かった。(Wikipedia)・・EX.マルセル・デュシャン


以上の感想としては、やはり、大枠は青山先生のが一番よいのでしょうが、内部の詳細で、「デザイン」が無いのがよくわからない・・カタカナ語の「アート」は装飾芸術ニュアンスだったと思う。
細部項目に料理を入れるなら、今道友信先生のものを見て、園芸・庭園術・生花(フラワーアレンジメント)あたりと、陶芸、書、カリグラフィー、曲芸なども、いずこかに配置ありかも、と。

また、コミックスはどうなのか・・
コンピューターゲームはいかなる位置に置けるか・・などなど・・
※芸術分類 classification of art・・http://en.wikipedia.org/wiki/Classificatory_disputes_about_art に Conceptual art、Computer and video gamesなどもあり

分類というとどうしても二分法だろうか。
有体物・無体物
それを、ヘーゲルが3分、スーリオが7分、今道の9分というのは、象徴的な感じがする//

青山先生のは4象限的

芸術というものの分類は、受けとるものの立場からも可能であろう・・文部省の芸術 学科の分類も面白い。


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