唐草図鑑バナー

聖獣: 蛇 (二匹の蛇)

二匹の蛇をもつ女神


Greece: Crete, ギリシア クレタ島 紀元前1,500
Herakleionイラクリオン考古学博物館蔵
The Goddess of the Serpents, from the Palace of Knossos,
1500 B.C (faience)

meこの像、二匹の蛇をもち、頭に猫を乗っけている。〈頭上の動物は、猫でなく獅子であるともいうが、エジプトの人身猫頭の女神(バステッド)などから類推すると、やはり猫であろう。)
私は蛇と猫に反応するのであるが、中村るい著『ギリシャ美術史入門』のコラムには、「メイドのフアッションに似ている」という意見が出て驚いたという話が。自由な発想に刺激を受けたとおっしゃる。(p44)
私としては 「普遍的な可愛らしさを体現している」という意見には賛成できないところだが。(笑)

サイズはミニチュア小像というが、29.5センチという。ミニチュアというよりは少し大きいというイメージ・・

以下引用「美術史家地球をいく」より 
(木村重信著 ランダムハウス講談社2008)
(木村重信wikipedia1925-2017)

クレタ(ギリシア)p20~25

伝説の島
・・「葡萄酒色の大海の中に、クレタなる地あり。海原に囲まれたる、美しく豊かなる地。」(オデュセイア) ミノタウロス伝説


ミノス文明の盛衰
・・1878年ミノス・カロケリノス発見、1900年エヴァンズ発掘
それまでのギリシア最古のミュケナイ文明より古い


前2000世紀前半に開花
前1700年ごろ地震で破壊
前1450年ごろミュケナイ人により破壊


クノッソスの遺構
・・クレタ島の中心都市イラクリオンの南方


地母神を象徴する玉座
エヴァンズはクノッソスを宮殿であると考えた=定説×
H・G・ヴンダーリヒの新説は、死者のための館=神殿○
1.「玉座の間のグリフォン」は古代ローマの骨壷に現れる
2・階段や排水溝などに石膏が用いられ大勢の人が生活したと考えられない

追記
me(こちら2010年の記であったが)
その後、2023年7月現在の検索で、 en.wikipediaの紹介文は以下。
[ワンダーリッヒは、住民は平原に住んでおり、いわゆる別荘や宮殿は葬儀寺院であると考えました。
ワンダーリッヒの批判は長年にわたる科学的論争を引き起こしたが、今日では部外者の意見とみなされ、大部分が反駁されていると考えられている。]
・・ということになっているようだが、どうだろう・・。
(部外者・・地質学の観点からミノア遺跡の発掘調査を分析し、エヴァンスの理論の多くの矛盾を指摘した)
Hans-Georg Wunderlich(1928-1974)ハンス・ゲオルク・ワンダーリッヒ ドイツの地質学者
著書The Secret of Crete– 1974

鷲の頭と翼(ここでは翼はない)、獅子の身体と蛇の尾をもつグリフォン
=死と戦いの神としての地母神を象徴する動物
ユリの花(玉座の両側の壁)・・
(=地母神)と結びついて豊穣を表す
玉座・椅子はそれ自体が地母神を表す
(エジプトの地母神イシス=玉座の神、席の神)
「椅子がもともと受容的で、母性的な人間形態であったことの名残は、 現在でも椅子の各部分が、腕、背、瀬などと呼ばれていることにも表れている」

地母神の豊穣神としてのシンボル・・ ユリ、樹木、鳩、牡牛、山羊
死や戦いの神としての象徴
グリフォン、獅子、蛇、楯、弓、両刃の斧(ラブリュス)


蛇女神と壁画
クノッソスには王の彫像が一つもないのに、蛇女神がいくつか見出される


両手にを握り、
帽子の上に獅子'〈猫)を乗せ
胸の開いた短い上衣と 模様のある長いスカートをはいて
装飾つきンドをきつく締める


獅子は地母神の象徴動物であり、蛇も再生を意味して地母神に随伴する。 よって、蛇女神は地母神

2010-08-18

母なるもの(地母神)
WEB 検索(2010年検索⇒2023年現在存在しない)

https://www.culture.gr/

The "Snake Goddesses".
Faience figurines of the so-called "Snake-Goddess",
from the Palace of Knossos.
Typical features of these religious figurines are
the upraised or stretched arms wielding the crawling snakes,
the thin-waisted bodice which left the breasts bare,
and the characteristic, flounced skirt with the apron.
They are outstanding specimens of Minoan miniature sculpture,
dated to the MM III-LM IA period (17th-16th centuries B.C.).

上げた腕、または伸ばした腕が這う蛇を振り回し、
胸が露出した細いウエストのボディス、
特徴的なフラウンススカートとエプロン。
これらはミノアのミニチュア彫刻の優れた標本であり、
MM III から LM IA 期 (紀元前 17 世紀から 16 世紀) のもの

https://witcombe.sbc.edu/snakegoddess/


蛇女神 SNAKE GODDESS の 詳細研究ページ
by Christopher L. C. E. Witcombe
「ヘビ女神」であると確認されたファイアンス陶器小像は、
クレタ島のクノッソス「宮殿」で、Sir Arthur Evans (1851-1941)
英国の考古学者アーサー・エヴァンスによって1903年に発見さた。

後期ミノアを代表する両手に蛇を持つ女神像
腰の部分にも蛇が巻き付いてベルトの役割を果たした(?)
一般の家の神棚には、両手に蛇を持った女神の像が、しばしば祭られていた。
The Votary →「信者」

Archeological Museum of Herakleion (en.wikipedia)

me腰にも蛇というのが、確認できなかったが、https://en.wikipedia.org/wiki/Minoan_snake_goddess_figurinesには、「神聖な結び目」が付いた太いベルトとある。

Museu arqueologic de Creta24
Minoan Snake Goddess figurines, c. 1600 BCE, Heraklion Archaeological Museum, Crete.

一対の置物の大きい方を「蛇の女神」、小さい方を「蛇の巫女」と呼んだのはエヴァンス

追記
me ミノア文明でクレタ島ガジにある宮殿後時代 ( LM III、紀元前 1400 ~ 1100 年)の聖域で発見され、現在はイラクリオン考古学博物館に所蔵されているという。テラコッタポピーの女神の置物はまったく見ていなかったので、続けます~(後ほど)


Minoan praying women archmus Heraklion Crete Greece
"Poppy goddess" figurine from the sanctuary at Gazi, Crete
Minoan praying women archmus Heraklion Crete Greece
テラコッタポピーの女神の置物、AMH
https://en.wikipedia.org/wiki/Poppy_goddess#

Mycenae gold ring
Drawing of a gold ring found at Mycenae showing a seated goddess bearing three poppy seedcases
[ケシはギリシャ・ローマ神話で死者への供物として言及されています。 by ニコラス J. サンダース
The Poppy: A Cultural History from Ancient Egypt to Flanders Fields to Afghanistan<
ポピー: 古代エジプトからフランダース野原、アフガニスタンまでの文化史(2013)

蛇 図像学
唐草図鑑
目次
文様の根源
聖樹聖獣文様
文献
用語
サイトマップ