シルクロードというと、このサイトが有益だが、ここでは、美術の話。『世界の博物館〈19〉シルクロード博物館
』
(宮治昭・モタメディ遥子編)は、1979年刊で古いのだが、ここで、シルクロード博物館 = 壮大なる東西文明交流のるつぼ、
この本にいう「シルクロード博物館」は、その名をもつ博物館ということでなく、アフガニスタンのカーブル博物館と、パキスタンの4つの博物館:タキシラ博物館、カラチ博物館、ホール博物館、ペシャワール博物館など・・・
この本で、まず見開きの、花綱を担ぐキューピッド、花綱から葡萄がたれさがり、それを鳥がついばむ図が魅力的・・
図135の「花綱を担ぐエロス」の解説に、
このモティーフはヘレニズム時代に現れ、帝政期のローマ時代に流行するが、ガンダーラ仏教美術の好みの題材ともなった。
供養者が花や葉を手に半身を現すのは、この地での改変である。
たしかに両方とも、 向こう側に 人物が・・・興味深い「改変」である。
なおまた、この本で、アフガンの金・銀器、として挙げられている「フロール遺宝」、ラピスラズリの原産地バダクシャン(バダフシャーンBadakhshān)地方で1966年に発見された、というものだが、その中の「幾何学文脚付杯」が、ただ今、「黄金のアフガニスタン展」として、日本に来ているようだ・・(20160513)
これは、
「アフガニスタンの文化遺産の復興を支援するために企画された国際巡回展」だというが、
九州の後現在東京で開催中・・・(だが、関西には来ないようだ。)
Hidden Treasures from The National Museum. Kabul
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アフガンの金器(脚の部分を失ったコブレット)の幾何学文様
叩打(こうだ)により6個の四角形に分け、さらに対角線によって各4個の三角形に分割される。三角形の内は凸字形を残して刻線で埋められる。
南トルクメニアやアフガニスタン、パルチスタンまで彩文土器の文様とし認められ、紀元前3000年紀のこの地方の文化のつながりの強さを物語る(p22)
1966年にパキスタン北東部、バダクシャン地方で発見されたフロール遺宝、その文様はメソポタミアからインドに至る各地の遺物と関連し、紀元前2600~1700年ごろと推定される。(p22)
(文様モチーフ:鋸歯状に連続する三角の中に階段状の段を掘り残した文様)(p24)
図34 ムンディガク出土の黒色の石灰岩製の把手(?) カーブル博物館蔵
インダス文明の直前からインダス文明に平行した時期のムンディガクⅣ-3期
「幾何学文脚付杯」の「外面に表された「凸形」モチーフは、祭祀に関連した文様として、アフガニスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンなどで、紀元前5000年頃から、約3千年間にわたって使われています。」
アフガンの金・銀器、として挙げられている「フロール遺宝」だが、この名称では、検索したが何も見つからなかった。「テペ・フロール」といのももこの展示関係のみヒット?
まず神官王(Priest King)の像(高さ18㎝ 凍石製 モヘンジョダロ出土)・・ 三つ葉文のついた衣:
着衣部分に彫られている三葉文は豹の斑紋からイメージされたもので、力と権威を象徴しています。上野科学社
・インダス文字(未解読)
・彩文土器に描かれた独特な文様(交差円文、魚麟文、菩提樹文、円形花文、孔雀など)
・特殊な器形の土器(尖底盃、円筒形多孔土器、高坏)
・美術品としては神官や女神を表したテラコッタ像
「インド・東南アジアの文様」に
ニューデリー国立博物館蔵の彩文土器壺(図304)
階段文様。のは
カブール美術館蔵の彩文土器コブレット菩提樹文様(図104)
山羊文様 彩文土器壺図(205)→インド美術へ
「インドの美術」でニューデリー国立博物館所蔵のインダス文明の印章(図19)を 、 「後世のヒンドゥー教のシヴァ神の原型」であるということでみていたが、こちらの(シルクロード博物館)の凍石印章(図8~10)は
身体は一角獣のようだが、三頭部を持ち、角の形がそれぞれちがう。(図8)
ヨガのごとき姿勢、多数の腕輪、頭には木の枝の如き飾りをつける。後のシバ神と関係ありとされる。(p17)
「女神像はインド美術の中で最も好まれたテーマの一つ」で、ガンダーラ美術も、西方起源やインド起源の女神が、「ここでは豊満な肉体の讃歌は見られないが」あがめられた、という。しかし、
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井本英一:聖なる草;クシャソウ(死と再生) 十二支の源流(十二支・蛇・獣帯)