聖樹聖獣文様
世界美術全集の西洋篇でギリシア美術を見ているのだが、東西交流の果ての日本:興味深い 「ギリシアから日本へきた神々」(1999)講義by田辺勝美先生でした。
ここで、新しめな「世界遺産で見る仏教入門 」(世界文化社 島田裕巳著 2014年5月刊)あたりをチェックします。
世界遺産に刻まれた仏教東漸(とうぜん)
釈迦と弟子達が紡ぎだす仏教の原風景
[釈迦の生誕] 仏陀の生誕地 ルンビニー
[釈迦の成道] ブッダガヤの大菩提寺
[釈迦の入滅] 仏教センター サーンチー
釈迦の教え
地図で読み解く仏教[仏教の八大聖地]
[仏像の始まり] (ガンダーラ)タフティ・バヒーの仏教遺産群とサライ・バロールの近隣都市遺跡群(wikipedia)
地図で読み解く仏教[仏像が歩んだ道]
[インド仏教の分裂と交流] アジャンターの石窟群(wikipedia)
[ジャイナ経・ヒンドゥー教と仏教の違い] エローラ石窟群(wikipedia)
[アショーカ王の帰依と伝道] タキシラ(wikipedia)
[ヒンドゥー教を取り込む仏教] エレファンタ石窟群(wikipedia)
[密教の誕生] カジュラーホの建造物群(wikipedia)
このあたりの美術は以下にざっと見ます・・
「蓮華手菩薩」とも言うそうだが、手にしている(指でつまんでいる)花が蓮華に見えない。菊のような舌状花に見える。右の肩の方に猿もいる。
この花、
蓮華というか、青い睡蓮という。(「岩波美術館 歴史館第6室 ブッダの世界」柳 宗玄著
多少色が見えるので、そうなのだろうが、形としては、今もよく捧げられるオレンジ色のキク科のマリーゴールドもありかと思ったが・・
Ajanta Cave :インド仏教の隆盛期を通じて開削が続けられ、釈迦の伝承を題材とした壁画に彩られる石窟寺院群
開削期間は紀元前1世紀~後1世紀と5世紀半ば~7世紀半ばの2期
13世紀に起こったインド仏教滅亡と共に忘れられていた。
1819年に虎狩りに来た、イギリス人が偶然見つけた。
紀元前5世紀、 バラモン教を基礎に置くカースト制度を、仏教と時を同じくして批判したのはジャイナ教。徹底的な不殺生戒を貫く。、現在もインド国内のみに存続している。仏教は世界三大大宗教の一つとなったが、インド国内では13世紀に衰退。
従来のバラモン教は、土着の伝承を吸収し、大衆化を図りヒンドゥー教に発展して(最高神=破壊神シヴァ、維持神ヴシュヌ)インド社会に深く根を下ろし、カースト制度も長い間維持されることになった。(牛を神聖視)
「仏教と世界遺産』(p24-25)
(ヒンドゥー教の神) | (→仏教) |
創造神 ブラフマー神 | → 梵天 |
維持神ヴシュヌ神 | →毘紐天または那羅延天 |
破壊神・舞踏の神 シヴァ神 | →大自在天 |
(インドにおいて、世界は一定期間の間に創造と破壊を繰り返すとされる)
*天部の神像は日本において重要なものになる・・こちらへギリシア風の神殿と、「双頭鷲」の浮き彫りが施された壁面など
東南アジアへ伝播した戒律の仏教
シルクロードの商人たちが運んだ釈迦の教え
[北伝仏教] バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン中央)(wikipedia)
[仏典の編纂] 莫高窟(甘粛章敦煌近郊)(wikipedia)
[北魏の仏教信仰] 雲崗石窟(山西省大同市近郊)(wikipedia)北魏皇帝神格化
[中国仏教の成立] 龍門石窟(河南省洛陽市近郊)(wikipedia)
[中国僧たちによる求法の旅]サガルマータ国立公園(ネパール北東)(wikipedia)地図で読み解く仏教:シルクロード王国の残照
[二つの弥勒信仰] 峨眉山と楽山大仏(四川省楽山市)(wikipedia)
[道教・儒教・仏教の融和] 大足石刻(だいそくせっこく)(重慶市)(wikipedia)
[風水と結合した朝鮮の仏教信仰] 石窟庵と仏国寺(wikipedia)
伽羅山海印寺(カヤサンヘインサ)八萬大蔵経板殿(大韓民国慶尚南道)(wikipedia)
[チベットとラマ教] ボタラ宮(首都ラサにそびえる観音浄土) (wikipedia)
[ネパールの仏教]カトマンズの渓谷 (wikipedia)
[モンゴルの仏教]オルホン渓谷文化的景観 (wikipedia)
松原哲明(1939- 2010)さん(wikipedia )が、「莫高窟158の仏陀の涅槃像だけは必ず見る。
その表情に心をとられ、いつまでもそばにいたいと思うほどなのだから」と言っている
「遥かなる仏教の旅」(p98)
佼成出版社(2002)
このあたり、「すぐわかる東洋の美術」(竹内順一監修) から補足しておきます
インド 無仏像時代(前5世紀から前1世紀)
ガンダーラ仏・マトゥーラ仏(1世紀から3世紀)
→ガンダーラの仏教美術
中国 漢~魏晋時代(前202~後420)
‥中国の初期仏像 模倣の時代を経て中国化
南北朝時代(420~589)
南朝の仏像:漢民族の様式:
貴族社会の発展による仏教文化の隆盛
雲岡石窟:北魏前期の様式;国家政策としての大規模な造像事業(西方的様式:張りのある面貌、薄手の衣の堂々とした身体表現)
龍門石窟賓陽洞:北魏後期の様式;漢民族文化を取り入れた鮮卑族の造像
(面長、やせた身体表現、薄手の衣)
南北朝~隋時代(420~618) 過渡期の造像 新たな時代を予感させる温和な表現
唐時代(618~907)龍門石窟奉先寺洞 初唐の仏像様式:西方様式との調和による新時代の仏像:円満写実的
敦煌莫高窟 写実性の完成:盛唐文化を反映する華やかな仏像群
唐・宋時代(618~1279) 中国の木彫り仏遺品 海を渡った中国仏 日本に現存する中国木彫り物の精華(法隆寺、清涼寺)
五代~宋時代:仏像彫刻の幕引き 世俗化する仏像 なまめかしい宋代の仏像
観音菩薩倚像 木造 像高241.3センチ 北宋(11~12世紀)
ネルソン・アートギャラリー The Nelson-Atkins Museum of Art,Kansas City,Missouri)
朝鮮 三国時代(4世紀~668) 大陸文化の受容 朝鮮仏教美術の黎明期
半跏思惟像 弥勒像の流行
統一新羅時代(668~935) 石窟庵(ソックラム)の諸像 仏教文化の全盛 新羅仏教彫刻の頂点を示す珠玉の如来坐像
この私には反感モノかもな「観音」像だが…→中国の美術(北宋の観音)へ
如来坐像 石造 像高345cm 統一新羅(751年頃)韓国国宝24号
結跏趺坐 解地印(降魔印)
国家主導で進められた和の教えの浸透
浄土・念仏・禅、修験……日本に根づいたガラパゴス仏教
[末法思想と浄土信仰] 平泉ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群(wikipedia) 以上、仏教美術入門おさらい篇として最適な、「世界遺産で見る仏教入門 」(世界文化社 島田裕巳著)を読んだ。
「仏像の始まりはいつどこで」ということについては、ガンダーラの仏教美術に補足したが、「日本に根づいたガラパゴス仏教」という言葉になるほどと思いつつ・・唐草の宝庫であるが、おさらいで・・
仏教と世界遺産:仏教美術入門(このページ)
仏教の聖地
ガンダーラの仏教美術
仏教美術の初め:インドの塔
ギリシア・インド的四天王像
ギリシア伝統の東方伝播(田辺勝美)
ヒンドゥー教の神格と仏教の天部
日本の四天王像:法隆寺(飛鳥時代)
鞍馬寺(平安時代)
光背の美術?
本地仏・権現:ニッポン
薬師寺の仏像の光背と唐草 薬師寺の葡萄唐草
正倉院宝物関連用語
「世界美術大全集 東洋編15」 目次読書
*密林の唐草文../2012k/banteay.html
*植物文様../syokubutumon.html
クメールの頭部装飾../india/khmer_atama.html
クメールの廃仏の発見:ナーガの(蛇神)の上に鎮座する仏像
*南伝仏教hontibutu_bijyutu4.html
*知の再発見../saihakkenn.html