フルール・ド・リス
ユリ(3) 花の図像学
聖母とフルール・ド・リス
「多くのキリスト教の図像と同じように、フルール・ド・リスもキリスト教の概念を説明する図案となった」という。
ちなみに『聖書の植物』(モルデンケ)では、権威者の説として、野のユリはアネモネ(Anmone coronaria)としている。(p14)
マドンナ・リリー(Lily candidum)については、「中世の画家で、聖母を描く時に、白ユリを描かなかった画家はいない。また10世紀以来この花の清純さと優雅さを歌わなかった詩人もいない 。」と。(p15)
聖母マリアの花
カルロス・シュワーべ(Carlos Schwabe)
『百合の聖母子』(1899 )
受胎告知
百合を持たない 大天使ガブリエル
なにも持っていません
フラ・アンジェリコの「受胎告知」
5バージョンを見ましたがいずれも何も持っていない。
棕櫚を持っています。
ピエロ・デラ・フランチェスカ 「聖十字架伝説」(アレッツォ)
オリーブを持っています
《聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知》1333年、ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
シモーネ・マルティーニは、ゴシック期のイタリアの画家。シエネ派
「シ
エナと敵対していたフィレンツェの市の花が百合であることから、この絵では百合を持っていない。代わりに画面中心に百合が据えられている。」
https://firenzeguide.net/simone-martini-annunciazione/
中世の聖母の「受胎告知」の絵で、必ずしも百合を持って告知するのでないのであった・・
百合を持って告知するガブリエル
これは百合なのかという百合も!?
文献
『聖書の植物』(H&A・モルデンケHarold Norman Moldenke著 奥本裕昭訳 八坂書房1991)花の象徴
象徴派の描く世紀末のこの絵に驚きました。
雪に道と思ったけれど、よく考えると、そこは雲の上だった?
『百合の聖母子』 1899年、97cm×47cm
ヴァン・ゴッホ美術館蔵(オランダ) (wikipedia)
Lilium candidum - botanical illustrations
受胎告知の絵画
大塚国際美術館のルネサンス系統展示であったか、イタリア・ルネッサンス
「受胎告知」、以下の14ありました。
〇シモーネ・マルティーニ(Simone Martini、1284頃 - 1344)
〇フラ・アンジェリコ(Fra Angelico, 1387 - 1455)
ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(Rogier van der Weyden, 1400頃 - 1464)
フラ・フィリッポ・リッピ(Fra Filippo Lippi, 1406 - 1469)
〇ピエロ・デッラ・フランチェスカ(Piero della Francesca, 1415/20 - 1492)※
〇カルロ・クリヴェッリ(Carlo Crivelli, 1430頃 - 1495)
ジョヴァンニ・ベッリーニ(Giovanni Bellini, 1430頃 - 1516)
〇サンドロ・ボッティチェリ( Sandro Botticelli, 1444/1445- 1510)
〇アントネッロ・ダ・メッシーナ(Antonello da Messina, 1430頃 - 1479)
〇レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci、1452 - 1519)
〇アンドレーア・デル・サルト(Andrea del Sarto, 1486 - 1531)
〇ティントレット(Tintoretto1518- 1594)
〇フェデリーゴ・バロッチ( Federico Barocci、1535頃 – 1612)
〇ロレンツォ・ロット(Lorenzo Lotto、1480頃 - 1556/1557)
ウィキメディアのAnnunciationには34画家で、上記で丸の無いものは見当たらない。
Web検索;
https://ims-create.co.jp/
https://bijutsufan.com/
https://www.google.com/search?
フラ・アンジェリコ(Fra Angelico, 1387 - 1455)の受胎告知のマリアに会いにいきました。
2017年6月: サン・マルコ修道院
@フィレンツエ 20170611 Photo byM
「フィレンツェのユリ」
サン・マルコ修道院の近くのバス停の目じるし)Photo byM20170611)
フィレンツェのフルール・ド・リスは花びらの間に更に先端にフルール・ド・リス型を持つヤリ状の図形をいれる。
オルサンミケーレ教会 Orsanmicheleの外壁
(旅記録Photo byM20170609)
「フィレンツェのユリ」Giglio ジーリョ(百合)
聖母マリアとフルール・ド・リス
3枚の花弁は父なる神、神の子イエス、聖霊の三位一体を意味し、3枚の花弁を束ねる飛びは聖母マリアを表し、と言われた、
ヘブライ語聖書の雅歌の「いばらの中のゆりの花」という一節は、聖母マリアを指すと解釈されることが多い。「マリアはたびたびユリとともに描写されたが、のちに、フルール・ド・リスがそえられるようになった、
例えばパリのノートルダム大聖堂は、1146年に聖母マリアとフルール・ド・リスをデザインしたコインを発行した。
パリのノートルダム大聖堂
https://www.notredamedeparis.fr/
この公式サイトにある聖母像は、ユリを持っている。
インテリアの聖母マリア像
ファサードの左ポルタイユ 「聖母マリアの門」(the Portal of the Virgin)
聖母マリアの右手の