Taq-e Bostanの正面壁の飛天像の 下のアーチの支柱部分・・にある、高さ3.6メートルの「生命の樹」(残念ながら葡萄の葉とは言い難い・・アカンサス状の葉をつけた木。)
タ―ク・イ・ブスターン大洞のアーチ支柱の、左右対称聖樹は、非現実的な葉や花が認められる。生命と不老不死のシンボル=ハオマHaomaあるいはガオケレナGaokerenaの樹とみなす見解もある。またはサエーナ(種々の薬草や食用植物の種子を創造する ビシュポータオクマVishpotaokhma)樹ともいわれる。
■WEBにある論考も参照:ターク・イ・ブスターンの摩崖浮彫図像解釈学的試論(田辺勝美)※(ハオマ、ガオケレナ、サエーナ?)ハオマ考に続く。
非常に装飾的に見える・・
また、コルヌコピアのように見える大きなリボンである。※リボンというよりマフラーのような太さに見えるが、天使が王の頭部にかけようとしている・・こちらの図参照(en.)、王の頭部から翻っている
また、「葡萄ないし真珠」についてだが、真珠が出てくる意味(必然性)がわからなかったのだが、下記論考に「ソロアスター教の象徴」とあり。(田辺勝美)
(※イメージシンボル事典には、真珠はアレクサンダー大王がペルシア、インドから地中海に持ちかえったもの、とあり)
「フヴァルナー」について、巻尺であるという説が、私には親しいのだが・・ディアデムなどについて詳しくはこちらに続く
ここでは、Taq-e Bostanの浮彫の植物文について。
縦に、チューリップの花と葉(パルメット?)が、交互にある文様の下に、横にまっすぐなアカンサスの葉が鱗状に続いているようだ。
「ヴァーレガン鳥の羽根」とあるのは、不明・・(?)・・検索中・・
Taq-e Bostanの7世紀前半の作品というが、「衣服の装飾文様や武具の細部を克明に描写する、装飾主義や真実主義verismが看守される」とある。帝王騎馬像浮彫の、上着にはシームルグと、あの、宝相華文だという。(「阿修羅のジュエリー」参照)
最上段には矢狭間(オールムズド神の象徴)を設け、その下方に一対のニケ女神(ゾロアスター教ではフウァニンド女神)を配す。
アーチは植物文で縁取り、その中央に三日月を置く。
アーチの下部は一対の空想的な植物文(アカンサスの葉の変形)で装飾されているが、恐らくオリエントの代表的なモティーフ「生命の樹」であろう。
ニケ女神の手には真珠(フウァルナーの象徴)を盛った台付き碗とリボンで飾った環(ディアデム)がある。
アーチの内枠の部分にはパルメット文とチューリップの花を連続的にほどこしている。
同論考にあるアーチのチューリップ文[Domyo 1984, fig.55-1より]
Domyo, M. 1984. Royal boar-hunting of the left wall-(2) Costume and Textile designs. In: Fukai, Sh. et al. Eds., Taq-i Bustan, vol. IV, pp. 99-134. Tokyo: University of Tokyo.
馬の鞍敷には怪鳥セーンムルウ(Senmurv)が織りだされているが、この怪鳥は英雄や王を守護する役割を与えられていた(グリフィンに相当)。
[挿図11]セーンムルウ、馬の腹部by上記論考この大洞の、帝王の馬印シーグルム(セーンムルウ)・・・
シーグルムの意味するもののつづきはこちらで、ハオマの樹(王権神授の図)
※オールムズド :オフルマズド (Ohrmazd)
ゾロアスター教におけるアフラ・マズダの別名
(ゾロアスター教、マニ教の最高神。)
アフラとアスラ(阿修羅)は語源的に同一
飛天・・ギリシヤ系のニケ女神や、豊穣の女神テゥケをモデルにしたもの
※ニケ女神(ゾロアスター教ではフウァニンド女神)
ゾロアスター教の方は、不明・・
東西美術交流史にとって貴重な資料となっている
帝王狩猟図、 つづきはこちらで、(王権神授の図)重装騎馬人物(奥壁下段)の背景の文様
城壁冠(オールムズド神の冠)
ミスラ神の職能:
「契約履行の監視」
(p132)
ミスラ神は旭光式の頭光で荘厳され、台座は、仏教美術ないしグプタ美術に描写された蓮華座を想起せしめる
ケルマーンシャ―市郊外のTaq-e Bostanの浮き彫り図像は・・こういったところであろうか・・・
■イランのイコノグラフィーのサイトがありましたので、とりあえず出しておきます。
http://www.iranicaonline.org/articles/farr-ii-iconography
このツタンカーメンと妻の図像のマフラーのような形のものが、ペルシアのアルダシール2世叙任式摩崖浮彫の「リボン」と同じように見える・・・
下の垂れの部分(?)であろうか?
東洋美術の流れには三大潮流。
中国の美術、
インドの美術は縦糸、
ペルシア美術は緯糸。
この本で取り上げられている図像のうち、比較的あたらしくよく知られた:ペルセポリスやササン朝の:部分を見てきました。
以下の部分・・
国王騎馬戦闘図浮彫、タング・イ・サルワーク、長さ2.4m
アルダシール1世騎馬叙任式図摩崖浮彫、ナクシュ・イ・ルスタム、4.2×6.7m
シャープール1世騎馬戦勝図摩崖浮彫 ナクシュ・イ・ルスタム、7×15m
帝王(シャープール3世)豹狩文装飾銀製皿、クリモヴァ出土、4世紀後半、直径22cm
、エルミタージュ美術館蔵
帝王猪狩図浮彫、タ―ク・イ・ブスターン大洞左壁
帝王叙任式図、帝王騎馬像、タ―ク・イ・ブスターン大洞奥壁、高さ8.7m
連珠文、葡萄唐草文、連続ハート文で縁どられた円形、楕円形などの構図を得意とし、「知王狩猟文」と共にペルシア・モードとして東西両洋の文化へ伝播した。
出土が新しい・・、この本には[未知の世界とある]その他の「ペルシア美術」の図像はこちらに続きます。
関連の花唐草 チューリップ文
アカンサス | ツタ | ロータス | ブドウ | ボタン | ナツメヤシ |