聖樹聖獣文様
「阿修羅のジュエリー」を読む2009-04-06 阿修羅というと今まで思い浮かべたのは「おれは一人の修羅なのだ」という宮沢賢治の詩。そして、萩尾望都の漫画。そこに今度、鶴岡真弓さんのこの本のイメージが加わります仏教的意匠の宝相華がデザインされた緑色のスカート=裙(くん) ところで今年は興福寺の阿修羅を360度眺められたわけですが、 『阿修羅のジュエリー』という本が: 2009/03/28刊 (鶴岡真弓著 理論社)。 共感できる美の力の話でした。 阿修羅の装飾美。ジュエリーは金色。花の首飾りに、(くん)という巻きスカートには相華文様が。 池澤夏樹が「宗教はどこでも官能の魅力で信徒を誘う」と。(大英博物館科からの13の旅)それなのに、中国を通って日本にきたインドの仏教は、仏像のブレスレットやアンクレットなど装身具が消えた(髪飾りだけ)ということを言っていた。枯れてかしこまったイメージか。とにかく日本人はことし 阿修羅の身に着けていたジュエリーに驚いたのである。 興福寺の宝相華の手ぬぐいがこちらで見られます→ 奈良観光 |
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上野(東京国立博物館 平成館)で「国宝阿修羅展」開催中(主催
東京国立博物館、法相宗大本山興福寺、朝日新聞社、テレビ朝日
後援
文化庁、平城遷都1300年記念事業協会) https://atxfushigi.exblog.jp/11657851/図録からの写真あり |
鶴岡氏自筆のイラスト
https://www2.tamabi.ac.jp/cgi-bin/iaa/article.php?id=148にあり
八部衆像 阿修羅/沙羯羅/五部浄/乾闥婆/緊那羅/畢婆迦羅/鳩槃茶/迦楼羅
八部衆は古代インドの異教の神々が仏教の守護神として受け入れられたものです 守護神としての性格上阿修羅像を除いて武装しています
阿阿修羅(あしゅら)
インドでは熱さを招き、大地を干上がらせる太陽神として
常にインドラ(帝釈天)と戦う悪の戦闘神とでした
仏教では釈迦の教えに触れた守護神と説かれ
この像は三面六臂の美しい青年相として表現されています
沙羯羅(さから)
法華経八部衆の「龍」に相当し、龍宮に住み、雨を呼ぶ魔力を持つ
像は頭に蛇を巻き、その頭上で蛇頭を立てる 左を向き、少年の顔に表されています
鳩槃荼(くばんだ)
法華経八部衆の「夜叉」に相当します
死者のたましいを吸う悪鬼で人を苦しめる神、財宝神毘沙門天の家来、南方守護神増長天の家来ともされます
像は正面を向き、炎髪(えんぱつ)、口を開き歯をのぞかせます
乾闥婆(けんだつば)
帝釈天宮で簫(しょう)を吹き、音楽を流し諸神を供養する
天界の神酒ソーマの番人、東方守護神持国天の家来ともされます
像は正面を向き、頭上に獅子の冠をかぶり、目を閉じています
迦楼羅(かるら)
インド神話上の巨鳥で、ビシュヌ神が乗る鳥・金翅鳥(こんじちょう)です
請雨、止風雨、家内安全等の修法の際にこの神を祀ります
像は鳥頭人身で、左を向き、肩にスカーフを巻いています
緊那羅(きんなら)
財宝神毘沙門天の家来、帝釈天宮の音楽神ともされます
「何か(kim)人(nara)」の意味で、人なりや何なりやで半神とされる
像はやや左を向き、頭上の正面に1本の角を持ち、額には縦に1目を置き、3目です
畢婆迦羅(ひばから)」
法華経八部衆の「摩羅伽(まごらか)」に相当します
大蛇ニシキヘビを神格化した音楽をつかさどる神で、横笛を吹き諸神を供養します
像は正面を見て、口や顎に髭をたくわえます
五部浄(ごぶじょう)
八部衆の「天」に相当します
興福寺では八部衆の最初にこの神を置くことによって「天部」像を総称します
像は胸から下を失っており、全容は不明
頭上には陸で最大の動物である象の冠をかぶり、正面を凝視します