唐草図鑑

キリスト表現の変遷

XPICTOC:クリスム

[キリストの象徴]、という言葉で説明されても、曖昧であったのだが、「キリスト表現」と、(『ロマネスクの美術』馬杉宗夫著p112)といわれて初めて了解する思いである。

(p112)キリスト教は、その根源において、偶像崇拝を禁じる法を持っていた。

『旧約聖書』(「出エジプト記」):あなたは自分のために刻んだ像を作ってはならない

Chi Rho

http://en.wikipedia.org/wiki/Chi_Rho
http://www.crosscrucifix.com/glossaryhome.htm

http://muso.to/kurisumunoimi.htm

Chi Rho is a Christogram from the first two letters of the Greek word XPICTOC (pronounced “Christos”). It is one of the oldest of the monograms

http://www.stritasparish.org/・・ JESUS Symbol: Chi Rho Symbol Of the several sacred monograms of Christ, the Chi-Rho is one of the most ancient. It is generally formed of the Greek letters

例外的なキリスト像

偶像表現を認める考え方

(p114)ローマ教皇大グレゴリウス【590-604在位】「文字の読めない人が、本の中で読むことができないことを、壁面を見ながら学べるように、教会堂は、壁画で装飾されねばならない」

ビザンティンの2つのキリスト像

(p114)5世紀以降 東欧ビザンティン世界
 ヘレニズムの伝統にしたがった、髭の無い若々しい青年像としてのキリスト
・・(ラヴェンナ、サン・ヴィターレ聖堂モザイクく6世紀) 東欧的起源の髭を生やし長髪で威厳に満ちたキリスト像・・6世紀以降もてはやされる→全能者(パントクラトゥール)キリスト像
・・ダフネ修道院、中央クーポルのモザイク画(13世紀)

西ヨーロッパ:独立したキリスト像の表現は、カロリング朝下に現れる(751-987)・・主として四福音書記者像としての人間像。
その中で例外的な形で≪荘厳のキリスト像≫が現れる// 『グランドヒヌスの福音書』の中のキリスト像 (754年、オータン私立図書館)

いまだ例外的なキリスト像

(p118)カロリング朝、カール大帝時代の『リーブリ・カロリー二』(790年)・・「キリストは言葉によってのみ示現したのだから、その像を図に表すことはできない

≪荘厳のキリスト像≫

最初のものは『シュトゥットガルトの福音書』(830年 ヴュルテンベルク州立図書館)

聖なるものの見える外観を開放していこうとする願望

825年のフランク人のパリ会議・・ 製造に対する表現の論議・・諸規則が緩められ、描出できるものの範囲が広げられた

10世紀(オットー朝)に急激に拡大。→代表的な作品:『アーヘンのオットー福音書』(アーヘン大聖堂宝物庫、1000年頃)・・皇帝オットーが、あたかもキリストのように光背の中の玉座に座す

独立した十字架上のキリストが製作された・
・ゲーロの十字架(等身大 木造)。
・≪リンゲンハイムの磔刑像≫(1000年頃)

司教ベルンバルトによる≪ヒルデスハイムの聖堂門扉≫(1015年)

聖遺物の存在

≪聖女フィデス像≫

(p120) フィデス=フランス語でフォア、コンクにある
聖遺物(骨)崇拝を反映した、木造の独立した聖人像
(9‐10世紀、座像、1メートル未満) 南フランスで多くつくられていた。(各聖堂はそれらに捧げられた聖人の彫像を持つという古代の習慣があった)

奇跡をもたらすための容器

聖母子彫像

(p121)946年に制作されたという記述がある(『コデックス・クララモンタヌス45』12世紀の写本)

(p122)金、銀の泊で覆われた聖遺物匣を人体の形にしたフランス中央高地の金銀細工講師達により、ロマネスク聖堂扉口大彫刻出現への用意がなされていった

≪荘厳のキリスト形の昇天≫

11世紀初頭 ロマネスク扉口彫刻の出現は、彫刻史上の一大事件であるのみならず、キリスト像表現の歴史のなかでも重要な一時期を画していた

≪キリスト再臨≫

主題的にも、11世紀ピレネー山脈沿いに生まれた≪荘厳のキリスト形の昇天≫より荘厳なキリスト像に代わっている。 

※→エミール・マール「ロマネスクの図像学 上」p52

≪黙示録のキリスト≫

ロマネスク聖堂扉口大彫刻出現の謎

(p138)歴史家のG・デュビーはその原因をキリストの受肉化の台頭、とした・・十字軍に行きつく信仰の動き(キリストの墓がある限り、キリストはこの世に生存していた)=人間像としてのキリスト像の出現を希求していた

12世紀「大彫刻時代」


me『ロマネスクの美術』を読むゴシック建築



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