唐草図鑑

キリスト表現

モワサックのサン・ピエール教会

Abbaye Saint-Pierre de Moissac

サン・ピエール教会(モワサックMoissac)

ロマネスク様式彫刻の傑作とされる12世紀の門をもつ
■回廊はUNESCO世界遺産フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の1つとして登録されている(Wikipedia

モワサックのタンパンのキリスト表現

≪黙示録のキリスト≫

Portail sud de l' Abbatiale Saint-Pierre de Moissac (3).JPG
« Portail sud de l' Abbatiale Saint-Pierre de Moissac (3) » par Jpbazard Jean-Pierre Bazard — Travail personnel. Sous licence CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.

神の国への入り口:聖堂扉口

四匹の動物、二人の天使、楽器とコップを持った二十四人の長老たちに囲まれたキリスト(超人的なスケール):十二世紀扉口彫刻の主要な主題≪黙示録のキリスト≫

『ロマネスク美術』馬杉宗夫著p135)
『サン・スヴェールのベアトゥス本』(作者ガルシア)には
モワサックの扉口彫刻と図像学的(主体的)に類似を示す≪黙示録のキリスト≫像が、例外的に表現されている。

写本挿絵、すなわち一部の聖職者のためのみであったものが、聖堂扉口に、石による偶像を刻み、それを人々に見せるという行為のなかには、思想的(宗教的)にも、社会史的にも、かなりの飛躍があったはずである。

イメージを重視しようとする態度

1025年のアラスの司教区会議 「ある種の描かれた映像により、文盲の人々は、文字によって理解できないことを熟視する 」
・・ 11世紀末には、映像を神の表現のために用いてもよいのであるという考えが強くなっている

(『ロマネスク美術』馬杉宗夫著p137)
1100年ローマ教皇ウルバヌスⅡ世「行動に生きるべきか、瞑想に生きるべきか」
修道院組織の中で起こっていた微妙な変化: 修道士的な生活と、司教座聖堂参事会員(カノニクス)的な生活。
「参事会的生き方とは、人々の罪を償うため、日々彼らを助け、彼らに奉仕するため、人々と接触を保つことである」

→この時代以前のキリスト表現のページへ
Porche de Moissac(モワッサクの扉口)・・・
以下の彫刻は盛りだくさんにして、すごい!

モワッサクの扉口彫刻を見る

「南仏・ロマネスク訪問記録」
https://www.geocities.jp/existenzerhellung/text/france_romanesqueに、
道案内と「文献調査」
馬杉宗夫(1992):『大聖堂のコスモロジー 中世の聖なる空間を読む』講談社
櫻井義夫・堀内広治(2003):『ヨーロッパ建築ガイド2 フランスのロマネスク教会』鹿島出版会饗庭孝男(1999):『フランス・ロマネスク』山川出版社

追記 
20190609に 行ってきました。
→ (photo 2019k/june_moasac.html

モワサックのインテリア

Clairobscur.jpg
« Clairobscur » Wikimedia Commons.

この写真撮影の位置、なかなか・・ここで見られる柱頭には、ミトラ教の図像のようなものも見えるが、どうなんだろう・・・歴史を如実に感じられる。 (下の右のもの)

左は木と木の実だけで、四隅が渦になって、コリント式的・・→「こぶし花装飾」(p185)と書かれている。

Capitals of Moissac cloister
サン・ピエール聖堂(モザ) の柱頭にも多く見られるようだ・・→モザのサンピエール聖堂のページへ

Moissac, Abbaye Saint-Pierre-PM 15100.jpg
"Moissac, Abbaye Saint-Pierre" Wikimedia Commons.

上のモワサックの柱頭では、サン・ピエール聖堂(モザ)同様、上部に植物文様の帯が無いが、他のほとんどの柱頭にはそれがあるようだ・・

Capitello Stile Ionico.jpg
"Capitello Stile Ionico"it.wikipedia

Moissac clocher SaintPierre.jpg
« Moissac clocher SaintPierre » Wikimedia Commons.

135 Moissac cloitre.jpg
« Moissac cloitre » at fr.wikipedia

下はスペインのサン・マルティンの柱廊Pórtico de la iglesia de San Martín, en Segovia (España)
2本づつのシンプルなアカンサス葉装飾と動物文様装飾のレぺテ―ション(繰り返し連続)

Segovia - San Martin 06.jpg
"Segovia - San Martin 06" Wikimedia Commons.

話をモワサックに戻します。まだ他にテーマがいろいろあります・・その一つは、女性像

Moissac - Abbaye Saint-Pierre - Porche de l'église

Moissac - Abbaye Saint-Pierre - Porche de l'église -3.JPG
« Moissac - Abbaye Saint-Pierre - Porche de l'église » Wikimedia.

こちら、蛇に乳房をかじられる女性像(扉口の壁ポータル)Luxuria(色欲)・・この時点で「ミソジニ―」であるのかないのかはともかく・・
髪も蛇であるようだ・・その太さは今まで見たことが無い太さだ・(ゴルゴンの髪)

これについては、(2019k/june_moasac.html 以下)で再考したい・・

また、この「色欲(淫乱)」像とペアの 左側の男は「サテュロス」 という。

更にその左は、「貪欲」(聖堂のインフォメーション

『ロマネスクの怪物』(尾形希和子2013)に戻る

NEXT:モワサックの中央柱(「枠組みの法則」の例)

下記サイトが不明となり残念(20190819)
https://www.paradoxplace.com/
Abbaye St-Pierre Cloister and Portal Photos ?
https://www.facebook.com/adrianoparadox/

me『ロマネスクの美術』を読む
ゴシック建築



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