葡萄唐草文の文化史
葡萄唐草文の文化史は、ギリシアからローマへ・・
⇒BACK → 「海獣葡萄鏡」
(1)ギリシアの葡萄唐草文(2)ローマと周辺の葡萄唐草文
(ギリシア時代同様)ローマ時代になってもワインを入れる壺や杯には葡萄唐草文が描かれた。現在でもイギリスのウェッジウッドの陶磁器でで復元されれいる技法による
左右にブドウの樹が生えていて、木と木の間に花綱が渡してあり・・・
器全体に連続したS 字状の部小津唐草文を横に施し、たくさんの実をつけた葡萄の中にディオニュソスが横たわり、サテュロスがフルートを吹いている・・
・・とあるのだが、見たところ、この写真ではわからない・・https://www.eternalegypt.org/)葡萄唐草文は初期キリスト虚の教会堂、霊廟、石棺、聖杯など、キリスト教世界の建物や文物にも浸透
大きくスクロールした葡萄唐草文様の中央に、四頭立ての戦車に乗った太陽しいキリスト(アポロに見える)が立っているもの
当時のローマではキリスト教が異教であったため、在来の宗教を信じる人々の目をごまかす必要がった
皇女コンスタンティアの胸像を中心にスクロールした葡萄唐草が配され、童子が葡萄を収穫して葡萄酒を仕込んでいる。
(※Vintage)「
図像は前の時代と大きな変化はないが、葡萄や小鳥に囲まれたコンスタンティアの胸像は故人が天国にいることを表しているので、キリスト教徒にとって別の意味があった。」
サンタ・コンスタンツァ廟は、ローマ市内にあります。⇒ワインづくり、⇒4世紀のキリスト教徒の墓廟装飾
ウィキメディアの画像がこちらで見られます。
https://commons.wikimedia.org/wiki/Sarcophagus_of_Constantina
デジタル化で 図像研究にはありがたい状況になっています.
鋳造された杯本体の上に別に作られた透かし彫りの葡萄唐草文が貼りつけてある
S字状にスクロールしたものがメダイヨンをなし、幹の回りに写実的な葡萄の葉や実をつけている。
メダイヨンの中にはキリストや使徒たちが入り、その間を鳥、蝸牛、兎、蝗で充填しているものである。
時代が下り、ディオニュソスの代わりにキリストが入る
かってセレウコス朝の首都であったアンティオキア
(現トルコ アンタキア)
⇒アンティオキアの文物をもうちょっと調べる(
紀元前4世紀 セレウコス朝シリア)
中央に十字架、左右対称に孔雀と小鳥
葡萄は生命の樹であるとともにキリストを意味し、孔雀は美しい羽が年ごとに抜け替わり、それが不滅の象徴となっていて、小さな鳥は平和を表している。
内陣のモザイク アーチの中央に十字架、左右のクラテールから2本のから葡萄唐草がアーチに沿って描かれる。クラテールの左右に小鳥が対置され、葡萄唐草の中にも小鳥が描かれる。
8世紀 ウマイヤ朝ムシャッタ宮殿址(ヨルダン東部)ベルリン ボーデ博物館 (Bode-Museum)蔵
(Wikipediaで細部を大きく見られます)
8世紀 イスラム初期 ウマイヤ朝の建築。かってはササン朝ペルシア時代と考えられた。(浜田耕作氏「禽獣葡萄鏡について」)
ムシャッタの外壁は三角形に区切られた中に、壺の中から葡萄唐草が左右に分かれ、メダイヨンを構成。
メダイヨンの中には、ペガサス、グリフォン、孔雀、鳥。メダイヨンとメダイヨンの間には、兎、蜥蜴。
葡萄唐草文の中に蜥蜴、孔雀、小鳥、ペガサス、ブドウ収穫の人物=ヘレニズム起源の図像(ビザンチン文明の影響)
他の場面ではメソポタミア美術が古くから用いていたグリフォンや山羊が入っていて、地域性を示唆している。
葡萄唐草文は生命の樹として中心に配置され、小鳥や動物がいる世界はイスラム的な楽園を表現したものではないだろうか。
ネットから補遺では、図17は、同じくベルリン博物館島のペルガモン博物館 (Pergamonmuseum) 蔵のようだ。入り口にあるというが、 大変な大きさであることがわかる。
おまけ:※WEB検索
■「モザイクを巡る旅」だそう
https://homepage1.nifty.com/lisu/index.htm