ケネス・クラークの「風景画論」を図書で読んでいます
表紙が何故か 逸名画家のマリアの庭ですね
→ケルン派画家「パラダイスの庭」とあったが・
風景画論 (美術名著選書) 佐々木英也訳 岩崎芸術社: 1998/05/01
ケネス・クラーク
Kenneth McKenzie Clark(1903-1983)
(Wikipedia)
『芸術と文明』
『絵画の見方』
『風景画論 (ちくま学芸文庫) 』
旧版の表紙は
風景画論 (1967年) (美術名著選書〈4〉)・・ではないようだが!?
「バーゲンブック」に食指が動いたが、在庫ないみたい【バーゲンブック】 風景画論 改訂版 岩崎美術社 1998/05/01
・・と思ったら、この著作、文庫本になっていた
とにかくここから目次読書です
序
改訂版 序
第1章 象徴としての風景
第2章
事実の風景
第3章 幻想としての風景
第4章 理想の風景
第5章 あるがままの自然の把握
第6章
北方の光
第7章 秩序の風景画
エピローグ
改訂版訳者あとがき
図版目次
索引
図版を見てみると 第1章の 象徴としての風景 にあるのは
まず
古代絵画
図1 ヘレニスティック・フレスコ
「魔女キルケ―ノ島に引き寄せられたオデュッセウスの船」
(ヴァティカン美術館のオデュッセウス連作)
いわゆる「自然」という観念は木々や雲から成り立っている
地中海古代の風景画はギリシャ的な人間価値観に根差し、自然観は第二義的な役割
「ウィーン創世記」)560年頃アアンティオキアで制作
これから得たモチーフが9世紀になってもたくさん見られる
図2・3 ユトリヒト詩編から(9世紀)
「ああエホバよ、かくて幾時をへたまうや」
印象主義的速筆だという
画家が高い所から視線を投じてパノラマ風にとらえる伝統の他に
緑なす木々の茂みのそば知覚にた立ち、画面空間を幹や葉や花々で満たす
図4 リヴィアの家の果樹園壁画
もう一つの伝播の形式
健康保全のために服用する植物を掲載した薬草図鑑
そのジャンルでもっとも入念精巧なもの↓
図5 「タクィヌム・サニタ―ティスTacuinum sanitatis(養生録)」(14世紀)
木々や葉が注意深く観察されているが、人物像に比してはるかに大きい
一般の俗人は、・・田野とは過酷な労働以外の何ものも意味しなかった(P14)
自然への不信と並行して出てきたものが中世人のものを象徴する能力である(p15)象徴の芸術は常に装飾の言語を発展させる傾向がある
図6 パレルモのカッペラ・パラティーナCappella Palatina のモザイク画
・・自然のモチーフを取り入れた純粋に象徴的な作品
Welcome - Fondazione Federico Secondo
図7 ゴシック彫刻
「13世紀にランス(独)やサウスウェル(英)の聖堂の柱頭頭浮き彫りに萌え出た木々の葉、花の群、巻きひげの類には、新しき生を得たものの持つさわやかさがある」(p16)・・←意味不明!
自然をめぐる事物が人間の想像力の範囲内にあり、それ自身で完璧性を象徴する全体を構成している校正していると見る
12世紀における庭園の再出現(p16)
パラダイス=壁をめぐらした囲い(ペルシャ語由来)
「薔薇物語」の背景を飾る木々
ダンテの「神曲」 中世初期の威嚇的な世界が、自然を通じて、神の顕現する「ミクロテオス」優しい世界に変貌
14世紀初頭の詩人たちに発見した自然美の感覚
近代的な意味での風景画とよべるもののうち現存する最初の作例は、
14世紀のシエナ派を代表するイタリアの画家、
アンブロ―ジオ・レンツェッテイの壁画(フレスコ) 善政と悪政の効果
図8 シモーネ・マルティーニSimone Martini ペトラルカのヴェルギリウス 本扉絵
花咲く果樹園に腰を下ろしている
ペトラルカは近代的な意味での園芸愛好家でもあった
図9 鳥を捕らえる人々
アヴィニョンの教皇宮
衣装の間を飾る風景フレスコ
象徴の風景画の最初の完全な作例(p25)
図10 フランス・タペストリー「貴婦人と一角獣」(クリューニ美術館)
聖処女マリアと一角獣がすでに13世紀には出現しているのに対して、
囲いのある庭の中で聖母tが地面に腰を下ろしてその御子が鳥と戯れるという美しい主題は、15世紀を通じ広く愛好されるようになる
図11 ステファーノ・ダ・ゼヴィオ(薔薇の園の聖母)
Web Gallery of Art - Image Viewer
この絵の発想源はペルシャのミニアチュール
図12 ケルン派画家パラダイスの庭(表紙の絵)
図13 フィレンツェ派画家(隠修士の生活)
シナイの荒野は地獄の背景に使われている
岩山は楽園の彼方の世界の表象
図15 ジョバンニ・ディ・パオロ 荒野に赴く聖ヨハネ
中世的絵画伝統の最後の代弁者チェンニーノ・チェンニ―二
自然とかけ離れた山
ブリューゲルの「説教するヨハネ」の背景の山
図16 ガストン・フェビュスの「狩猟之書」
図17 ランブール兄弟 月暦画(カレンダー)五月
十二月
イタリアのジェンティーレ・ダ・ファブリアーノは国際ゴシック様式を充実し貴的風景画の枠を広げた
図18 パオロ・ウッチェロ 森の狩猟
図19 北イタリア トレントの城 鷲の塔の壁画
姓名不肖画家 各月の仕事 (1415)
fumiemve.exblog.jp図20 ベノッツォ・ゴッツォリ 三賢王の旅 フィレンツェ メディチ・リッカルディ宮
第3章 幻想としての風景
(16世紀 グリューネヴァルト、ダ・ヴィンチ、ルーベンス)
「自然には、決して我々の景観に属したことのない無限の作用に満ち溢れている」(ダ・ヴィンチ)
第6章 北方の光
(19世紀 ターナー、ゴッホ)
風景画存続のための最良の望みは、感傷的虚偽(パセティック・ファラシ―)を拡張すること 我々の渦巻く情感の中心的表現として風景を用いることにある
第7章 秩序の風景画
(スーラ、セザンヌ)
イタリア人 ・ ドイツ人 ・ フランス人・ イギリス人・ ハインリヒ・ヴェルフリン他
ドイツのヴィンケルマンとヴァールブルク そしてウィーンのアロイス・リーグル