聖樹聖獣文様
バビロニアの図像
バビロンの主神と蛇
これまでバビロニアの蛇としてみてきたのだが、『
古代メソポタミアの神々 世界最古の「王と神の饗宴」 』小林 登志子 , 岡田 明子 (著), 三笠宮 崇仁 (監修) 集英社 (2000/12/5)刊で、p220 ムシュフシュ像の変遷 とある図を以下に。
※因みに『古代オリエント事典』ではこの項はなく、
侍獣の項に、
マルドゥクのムシュフッシュという表記で、⇒
竜神(snake-dragons)の項を見よとある。
聖獣ムシュフシュの変遷
バビロンの主神と蛇
(イシュタル門の竜)
まず、Wikipediaを見てみました。
Wikipedia ムシュフシュ シュメール語で怒る蛇の意
イシュタルの門の聖獣ムシュフシュ
Pergamonmuseum Museum of the Ancient Near East
創世叙事詩『エヌマ・エリシュ』においては、
マルドゥクと戦うためにティアマト神に生み出された蠍尾竜
蠍尾?
確かに尻尾がサソリに見えなくもないが冒頭の ムシュフシュ像の変遷図の4番は特に蠍尾でもない?(鷲の脚・角はあり)
また、蠍人間との関係は・・?(yajiruusi
「ティアマト討伐後にマルドゥクの軍門に下り、乗獣となった。
意義も魔物から守護獣となった。」
このWikipediaの図(マルドゥクとペットとある(~_~;))は 西アジア 世界美術大全集 東洋編16(p186) によれば、
マルドゥク・ザキル・シュミ1世の記名奉納印章と画面図
:マルドゥク神と聖獣ムシュフッシュ
新バビロニア時代、前850~前820年頃 イラク、バビロン出土 ラピスラズリ 19.0×3.5センチ ベルリン国立博物館西アジア美術館
Incribed seal of Marduk-zakir-shumi,King of Babylon,dedicated to God Marduk annd
his sacdred animal Mushuufushu.
冒頭の変遷図の6番のようだ・・・
台座から顔だけ出し
マルドゥクの象徴(三角形の頭をした鋤)を載せている
図by岡田明子(「古代メソポタミアの神々」p143)
,
・・・神々のシンボル=(太陽円盤=シャマシュ、三日月型=シン、星型=イシュタル、等)
『古代オリエント事典』より
マルドゥク Marduk
平凡社大百科事典
中田 一郎
バビロンの主神
その名については〈太陽神ウトゥの子牛〉〈マルトゥ人の主〉などさまざまに解釈されて定説がなく,同神の由来も不明。
マルドゥクが文献史料に確実に検証されるのはバビロン第 1 王朝成立以後。
その名がバビロニア全土に知られるようになるのは,同王朝後葉のアビエシュフの頃になってから。
次の
カッシート時代には,マルドゥクを〈主〉 (ベール) と呼び,この呼称を人名の一部として用いることが盛んになった。
またこの頃マルドゥクを主人公とした神話 (《エヌマ・エリシュ》※) を作ることにより,同神を
神々の王としてあがめようとする試みがバビロンの神官たちにより行われたらしいことが注目される。
そしてイシン第 2 王朝のネブカドネザル 1 世 (在位前 1125‐前 1104) の時代になって初めて王碑文などで正式に〈神々の王〉と呼ばれるようになった。
マルドゥクの父はエア (エンキ)
その配偶神はツァルパニートゥム,その子はナブである。
象徴は
頭が竜,体が蛇の怪獣,または
神殿の上に置かれた耙 (まぐわ)。
■
Wikipediaマルドゥク:四つの耳と四つの目をもつ
エヌマ・エリシュ
平凡社大百科事典
後藤 光一郎
バビロニアの天地創造物語。
バビロンの主神マルドゥクのエサギラ神殿で,正月 (現行暦の 3 ~ 4 月) 元日から 12 日に行われた新年祭の 4 日目午後に祭儀文として奉納された。
〈上では天がまだ名づけられなかったとき……〉で始まり,最初の
エヌマ (とき) とエリシュ (上では) の 2 語をとってこう呼ばれる。
原存在のアプスー (深淵の淡水) とティアマト (海の塩水) が混合し,そこから神々が生まれる。
陽気な若い神々の騒がしさがもとで,神々が二分して戦う。
原初の旧世代はキングを,新世代はエアの子,力量あるマルドゥクを将とした。
後者は直接
女神ティアマトを討ち,その遺体を二分して天地を創った。
彼はキングから主神権の象徴〈天命のタブレット〉を奪い最高神アヌに進呈し,キングを処刑し,その血で人間を創り,神々の夫役を肩代りさせ,神々を宇宙に分封した。
神々はマルドゥクのためバビロンを造営し,マルドゥクを賛美する。
この神話の機能は翌 5 日目に行われた
王権更新祭儀を基礎づける主神権の更新であり,祭儀文はアッシリアでも使われた。
■
『ウィキペディア(Wikipedia)』バビロニア神話の創世記叙事詩
バビロニア王ハンムラビがメソポタミアを統一し、都市神マルドゥクの地位が向上した、
紀元前18世紀に成立したと考えられている。紀元前14世紀から12世紀に成立したという説もある。
初期メソポタミア文明において神々の王とされていたエンリルの地位を超越したことが注目される。
■世界神話辞典
https://www.pandaemonium.net/
アヌ Anu
平凡社大百科事典
後藤 光一郎
古代オリエントのシュメール人,セム人の宗教の最高神。
宇宙の 3 領域の天,空,地のうち天を支配する。アヌはシュメール語アンAnのセム語形。
an は元来
星形 (アステリスク) *の字で,天,神を意味し,また神格決定詞として他の神名の前につけて用いられた。
アン (アヌ) の諸神殿のうち前 4 千年紀から前 3 千年紀前半にかけて栄えたシュメールの都市
ウルクのエアンナ (〈アンの家〉の意) 神殿が代表的である。
エンキ Enki
平凡社大百科事典
中田 一郎
シュメールの淡水神。同時に知恵と呪法の神,創造の神,シュメールの宇宙と社会の諸規則の管理者でもあった。
バビロニアのエアEaに当たる。その妻はダムガルヌンナ (ダムキナ) で,アサルルヒ (マルドゥク) はその子,ナンシェはその娘。
エンキ (エア) は人類に対して終始一貫して好意的であり,たとえばバビロニアの洪水神話の主人公で旧約聖書のノアに当たるウトゥナピシュティムにひそかに洪水の警告をした。
象徴は
ヤギの頭をもった魚。
■
Wikipedia
イシュタル Ishtar
平凡社大百科事典
中田 一郎
バビロニアの代表的な女神。シュメールではイナンナInanna (〈
天の女主人〉の意) と呼ばれ,カナンのアスタルテ,ギリシアのアフロディテ,ローマのウェヌス (ビーナス) に相当する。
イナンナ,イシュタルは楔形文書に最も頻繁に現れる女神で,その祭儀はウルク,キシュのほか多くの都市で見られた。
イナンナはウルク古拙文書 (前 3000 年ころ) に,またイシュタルはエシュダル Eshdar という古名で古アッカド時代の文書に既に検証される。
イシュタル (イナンナ) をアヌ (アン) の子とする伝承のほか, エンリルの子とする伝承もあり,その系譜は不明。
固定した夫をもたず,一時の夫または愛人を次々に見捨てる女神として有名で,愛と豊穣の神としてばかりでなく,戦闘の神,天体 (金星) の神としても知られる。
神話では,イナンナとエンキ (エンキからメを奪う話,シュメール語), ドゥムジと組み合わされたイナンナ (イシュタル) の冥界下りの物語 (シュメール,アッカド両語) が有名。
象徴は古くは葦を束ねたもの,後には八角の星
アスタルテ Astart^[ギリシア]
平凡社大百科事典
並木 浩一
古代セム人の豊穣多産の女神。
バビロニアではイシュタル。
旧約聖書ではこの女神の豊穣儀礼を批判して〈恥〉の母音を読み込ん
だ
アシュトレト,またはアシュタロト (複数形)。
ウガリト神話では男神バアルの妹かつ性愛の相手たるアナトが女神として目だつが,パレスティナではアスタルテが最有力女神で,ときに最高神エールの配偶女神アシェラと同一視された。
東地中海世界の同種の女神アルテミス, アフロディテ,ビーナスに対応する。
以下の女神たちについては別にこちらに続く
2006/03/12 (Sun)(このページは 2004/08/11に初UPしました)
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