モワサックのサンピエール教会の関連であるが、ここでも「擬人像」という言葉を復習後
→美術のことば(2018k/bijyutu_takahasi.htm)と
別テーマページでの「女のイメージ」(14~16世紀)研究を見てから、 プルデンティウスの『プシコマキア(霊魂の戦い)』を
ネット検索した。
念のため用語 復習
アレゴリーallegory (岩波西洋美術用語辞典)
「たとえを使って話す」という意味のギリシャ語allegoreinに由来。
『
西洋美術のことば案内』(高橋裕子著)では
(用語集)
「別のものを語る」という意味のギリシャ語に由来。
抽象的概念を含むメッセージを、擬人像などを用いて比喩的に表現する文学や美術の方法。「寓意(画)」と訳すこともある。
「アトリビュート」はこれとは別・・
✳コトバンク
(アレゴリーより)
中世においてはキリスト教道徳に関するアレゴリーが主体となる。プルデンティウスの《霊魂をめぐる戦いPsychomachia》(398‐400)は,西欧世界におけるもっとも重要なアレゴリー化された叙事詩のひとつである。その内容が,人間の魂の内部で行われる徳目と罪源の葛藤,キリスト教信仰の異教に対する勝利を擬人化したものであったため,
〈霊魂をめぐる戦い〉というテーマは中世初期のもっとも愛好されたアレゴリーのひとつとなった。
プルデンティウス【Aurelius Prudentius Clemens】348‐405以後
最大のキリスト教ラテン詩人
以下は、20年前の 「地中海月報」COLLEGIUM MEDITERRANISTARUM 1998|11 にあり・・引用検討したい・・
中世は,象徴とアレゴリーの森である。
キリスト教の象徴世界と並んで育まれてきたアレゴリー世界が
巧みに絡まりあって織りなされたこの森では,
光と闇,善と悪の大きなふたつの力が絶えざる戦いを展開する。
勝敗はおのずとあきらかではあるものの,
闇と悪あってはじめて至福の輝きをえるのが光明の世界。
「暗黒中世」の光彩は,何より,
両者の陰影に富んだせめぎあいから生まれるのである。
ところでそこに,この善悪ふたつ,いや,ふたりの巨人は,
いかなるいでたちで登場するのであろうか。
「女性擬人像に託された善悪のイメージを,
13世紀フランスのアレゴリー文学の白眉である
『薔薇物語』を中心にたどってみたい」という小池さんの話の続きは別に→
こちらのテーマは、女性の悪の寓意像であるので、
なお続く~~
補遺として「七つの大罪」とは・・Wikipediaから
七つの大罪(七つの罪源)は、4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの著作『修行論』に八つの「人間一般の想念」として現れたのが起源である。
キリスト教の正典である聖書の中では七つの罪源について直接に言及されてはいない。
エヴァグリオスによると「貪食」、「淫蕩」、「金銭欲(強欲)」、「悲嘆」、「怒り」、「怠惰(アケーディア)」、「虚栄心(自惚れ)」、「傲慢」
6世紀後半には、グレゴリウス1世(540年頃-604年)がその内の「高慢」をすべての悪の根として別格扱いとし一覧から外し、
高慢から生まれる「七つの主要な悪徳」として次のものを挙げた。
<1>虚栄、<2>嫉妬、<3>怒り、<4>悲嘆、<5>強欲、<6>貪食、<7>淫蕩、である。
カッシアヌスの伝えた一覧の「怠惰(アケーディア)」は「悲嘆」に含めてまとめられ、新たに「嫉妬」が加わった。グレゴリウスの一覧は、精神的なものが前に、身体的、物質的な悪徳が後ろに並んでいるのが特徴である。
七つの大罪と動物
大罪 | 対応悪魔 | 動物 |
---|---|---|
傲慢(高慢) | ルシファー | グリフォン、ライオン、孔雀、梟、蝙蝠 |
憤怒(激情) | サタン | ユニコーン、オーガ、ドラゴン、狼、猿 |
嫉妬(羨望) | レヴィアタン | マーメイド、蛇、犬、猫、土竜 |
怠惰(堕落) | ベルフェゴール | フェニックス、熊、牛、驢馬、ナマケモノ |
強欲(貪欲) | マモン | ゴブリン、狐、針鼠、烏、蜘蛛 |
暴食(大食) | ベルゼブブ | ケルベロス、豚、虎、リス、蝿 |
色欲(肉欲) | アスモデウス | インキュバス、サキュバス、山羊、蠍、兎、鶏 |
中世の女性イメージについては、別テーマ頁(女性論)へ
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