唐草図鑑
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チェーザレ・リーパ 

Iconologia
Or,Moral Emblems (1593)

Rijksmuseum IIHIM RIJKS -1948766831 Iconologia, uitgever Dirck Pietersz Pers
Iconologia, 1644

meエルヴィン・パノフスキーの『イコノロジー研究』で、アンジェロ・ブロンツィーノの「逸楽の暴露」 をみました。同画家の同じ絵であるが、表記は「アーニョロ・ブロンズィーノ」の「愛の寓意」となるが、
ここではチェーザレ・リーパ( ※Cesare Ripa 1560-1622)の『イコノロギアまたは道徳寓意集Iconologia, or Moral Emblems』を参照し、この絵の「擬人像」についてもう少しみることにしたい。

英語版ペーパーバッグ(2018年7月刊)に322図載っていました

《真実の擬人像》?


岡田温司監修『聖書と神話の象徴事典』(ナツメ社2011)の解説ページ(p45)

me問題の「真実」の擬人像であるが、欄外に「諸説あるがここでは「時」の娘としての「真実」と解釈した」とのこと
一方


若桑みどり『絵画を読む イコノロジー入門』(NHKブックス1993)の解説ページ

me最近の修復でパノフスキーのいう「真理」が仮面をつけていることが明瞭になったという(p130)

これが仮面だとすると
パノフスキーの最終的解釈、つまりこの絵は「欺瞞」や「虚偽」や「嫉妬」というさまざまな否定的要素に囲まれた悦楽を「時」と「真理」が罰するという倫理的な教訓画であるという解釈は成立しなくなる。
全てを明るみに出す「真理」それ自体が仮面をかぶっている。つまり彼女は真理ではない。(p130)

me「ブロンズィーノは、コジモ一世の宮廷画家として名声を誇った画家で、この時代の宮廷人の趣味を見事に表現している」(p124)というのだが、最後に「道徳や倫理への信念が薄れ、何が真理であるか判然としなくなっているこの時代の宮廷生活の批判を、当時流行の寓意の中に隠したのではないだろうか」と結んでいる(『絵画を読む イコノロジー入門』(p131)

me若桑みどり「太陽を持つ女―寓意と象徴の女性像」(全集 『美術の中の裸婦』 第7巻の総論 1980集英社刊)では、ティツィアーノの調和に対して、マニエリスム末期の危機という解説→2019k/m_wakakuwa.html

http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~okutsu/

≪真実(真理)≫の擬人像

Ⅴerity


This naked Beauty,holds a Sun in her right Hand;in her left,a Book open ,with a Palm;under one Foot the Globe of the world.
Naked,because downright Simplicity is natural to her. The Sun shews her great Delight in Clearness. The Book,that the Truth of Things may be found in good Authors. The Palm,her Rifing the more she is depress'd. The Globe ,that being immortal,she is the strongest of all Things in the World,and therefore tramples upon it.

verity 「真実」truthを意味するラテン語の女性名詞veritas
(naked 裸)

チェーザレ・リーパの『Iconologiaイコノロギア』は、初版は1593年にイラストなしで出版されたという。
現在、当然、いろいろな版があるようだ
(※http://web.flet.keio.ac.jp/~matsuda/)それらが、
https://archive.org/で本として網羅されている・・

最初の図像は、Forgotten Books(USA)から。
=Iconologia, 1709
下は若桑みどりさんの著書で引用されている、1603年版から。 (「太陽を持つ女―寓意と象徴の女性像」でも一番に引用されている) 
 
「右手に太陽を持つ裸体の若い女の彫像。彼女は足下に「世界」を表わす玉を踏みつけている」


「手に太陽を持つとは」と16世紀の図像作者チェーザレ・リーパは書いている。以下(若桑みどり訳「太陽を持つ女―寓意と象徴の女性像」p9)

「光に照らして物を見ることである」
「彼女が裸体であるのは、真理の本質は常に単純であり、何ものにも隠されぬことを示す:」「しかして真理を足下に置くは、真理こそ、この地上の何にもまして尊きものであり、彼女こそ神々とともに住む天上の民であることを示す」Cesare Ripa


ウィキメディアにも画像がかなりありました.


Ripa - Iconologie - 1643 - p. 192 - verite
Iconologie - 1643

me「真実」の他に課題なのは「欺瞞」であるが

≪欺瞞≫の擬人像

Fraude

A Woman with two Faces,one young,the other old;Feet like Eagles Talons:a Tail like a Scorpion,two Hearts in her right Hand,and a Mask in her left. The two Faces denorte Fraud and Deceit,ever pretending well:The two Hearts,the two Appearances;the Mask,that Fraud makes things appear otherwise than they are;the Scorpion,and Eagle,the base designs,and Descord they foment,like Birds of Prey,to rob Man of their Goods or Honour.

※サソリ :中世では「妬み」Envy、「論理学」Dialectics ,
「異端」Heresy、「アフリカ」Afeicaの持ち物(イコン) 
アト・ド・フリーズ「イメージ・シンボル事典)


fraude ラテン語で「詐欺」fraud(英語) 
(talon かぎづめ)(prey 餌食)


(別の版)@ https://archive.org/details/nouaiconologiadi00rip(p209参照)

その他の擬人像

≪嫉妬≫Gelosia

≪陰謀≫Inganno

≪偽善≫ Hippocrisia(Hippocresia)
※ hypocrisy(英語)

meここまで、リーパのイコノロギアの≪真実(真理)≫≪欺瞞≫のほか、≪嫉妬≫≪陰謀≫≪偽善≫をみたが、あと、この『愛の寓意』では、≪快楽≫ Piacere、≪戯れ≫Giuocoをみることにしたい。

※戯れは見当たらなかった(20180830)

≪快楽≫ Piacere

パノフスキーの「イコノロジー研究」 の「時の翁」で見たのは、他に≪潔白≫ 、それから
≪愛≫ ≪純潔≫ ≪死≫ ≪名声≫ ≪時≫ ≪永遠≫ ≪貧困≫ ≪労働≫ ≪富≫・・
これも追記します

補遺

me※1(再掲)
イコノロジーという言葉の使用の嚆矢は、
1593 寓意図像書「イコノロギア」チェーザレ・リーバ



me「古代とキリスト教の合流点に当たる16世紀から18世紀にかけての図像目録の代表3つ」by」(若桑みどり) 以下、刊行年順

1.アンドレア・アルチアーティ『エンブレマータ』(1530)
(google.com/search) 
(flickr.com)
(そこそこレアな感じ)人物AndreaAlciati

2.ピエトロ・ヴァレイアーノ『ヒエログリフィカ』(1556)
(en.wikipedia/Pierio_Valeriano_Bolzani
(images.app.goo.)
論考PDF:図像着想源としての≪ヒエログリフィカ≫=フィリップ・ド・シャンパーニュ Philippe de Champaigne(1602-1674)が参照した。

3.チェーザレ・リーパの『イコノロジア』(1593)

me復習:このぺージのリーパの擬人像 :《真理》、《欺瞞》、《嫉妬》、《快楽》、《戯れ》、《時》

若桑みどり頁 其の2
《真理》、《人生》、《宇宙》、《悦楽》、《明白》、《神性》、《慈愛》 賢明

me→(途中物件 )
ティツィアーノの寓意画犬の図像・象徴に続く

→関連の見直し必要物件
クロノス⇒greece/kronos.html
アイオン⇒aion.html

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