聖樹聖獣文様
若桑みどり「太陽を持つ女―寓意と象徴の女性像」の図像を見るページの続きです。
(全集 『美術の中の裸婦』 第7巻の総論 1980集英社刊)ところで、
「Verity」を検索して、以下のイメージをみてびっくり。
'verity statue'
「真実と公正の現代アレゴリー」だそうだ。太陽を掲げず、剣を掲げる巨大な妊婦像とは!?
@イギリスのイルフラクームの海辺の町(at the seaside town of ilfracombe, UK)に20年間貸し出されるDamien Hirst(wikipedia)
の作品(2012年10月)
tokyodesignweek.jp
designboom.com
「Intense! Justice, Sacrifice, Amazon Woman, and Blessed Mother; all in one.」という感想があったが、
その感想には、タイトルに「アミアン・ハーストの真実の彫刻」とあるのに、《真実・真理》という語は含まれていなかった。
閑話休題、若桑みどり 「太陽を持つ女―寓意と象徴の女性像」の図像の続きです。
「形象の中に、根源的な女性イメージを感じとること」
「優れた芸術ほど、その時代の人々の精神の深みに根ざして出て来た多義的なイメージを抱え込んでいる」
「芸術作品の本来の意味の回復の学問が〔図像解釈学]である」
古代とキリスト教の合流点にあたる16世紀から18世紀の図像目録
チェ―ザレ・リーパ《真理》
『イコノロジア』 18世紀版より(p9
図版)
チェ―ザレ・リーパ《慈愛》 『イコノロジア』 18世紀版より(p12 図版とは別)
チェ―ザレ・リーパ《美》 『イコノロジア』(p15 図版)〈美〉は雲の中に頭を隠す女である。彼女のその他の部分も、彼女のまわりをかこむ光の輝きのためにあまりよく見えない。彼女は、この輝きの外に手を差し伸べているが、その一方の手にユリをもち、他方の手には球とコンパスを持っている。
〈美〉が雲の中に顔を隠しているのは、死すべきもの〈人間〉の舌をもって語るのに、これほど困難なものはないからであり、人はただ、与えられた知性によってのみ〈美〉を認識することができるからなのである。比喩を用いるならば、プラトン主義者たちが言うように被造物の中に見いだされる〈美〉は神の顔から指す光に他ならないからである。(リーパ)
プラトニストにとっては神聖なメッセージでる美と徳のイデアは、本来、この世の関連から断ち切られている。
このような関連の中で、
新プラトン派の人々が、豊かなメッセージを含むギリシャ神話に新しいアレゴリーの息を吹き込むことになったのは何の不思議もない。
16世紀の神話主題の極めて多くが、新プラトン主義の新しい理念を吹き込まれて、神話の物語のヒロインからアレゴリーに転じていることを見逃してはならない。(p15-16)
(新プラトン主義の新しい理念によって)我々が史上最も優美なものと感嘆する、盛期ルネサンスの、神的でもあり人間的でもある美女たちの肉体が形作られるようになった。
チェ―ザレ・リーパ《神への愛》 『イコノロジア』 (p16 図版)
チェ―ザレ・リーパ《真理》 『イコノロジア』 18世紀版より(p19 図版)
以上、若桑みどりさんの「太陽を持つ女」(『寓意とと象徴の女性像』総論)にある、古代とキリスト教の合流点にあたる16世紀から18世紀の図像目録からの図像
《真理、人生、宇宙、悦楽、明白、神性、慈愛、美、神への愛、賢明》をみた。
この総論にある、絵画については、「寓意と象徴の女性像」其の3に続く。
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ティツィアーノの寓意画、犬の図像・象徴
「寓意と象徴の女性像」(1) 、チェーザレ・リーパ