美術様式論
p182 ミケネ美術形式と純ギリシア形式との中間形式を認めねばならない
メロス陶器であるが、これは、立田洋司さんの「唐草文様 世界を駆けめぐる意匠」(1997)であげられています。tatuta_4.html
第66図
コンツェ
Cobze,Melische TheogefasseⅠ.5
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上部の端の彩描文様は67図へ
器頚中央:
二つの大きな渦巻形花文の結合(※下に続く)
その下の帯:
53図で挙げられた「間断的唐草文様」
(向かい合う騎馬の人)
馬の後脚の間のパルメットはつよく巻きんだ渦巻きをもっているから、エジプト風でもなく、上向きの渦巻き型を欠いているから、アッシリア風でもない。
まさにギリシア風パルメット
萼の強く巻いた渦巻き型およびそれに相当する大きさの扇型
ミケネでは規則的な扇形(渦巻形萼をつけた)パルメットを持つ例がない
(馬の後脚の上に)ローゼット状文様あり
馬と馬の間)器頚中央の
二つの大きな渦巻形花文の結合と同様の形像だが、冠頭部の尖葉がパルメットの葉状扇形
器脚の渦巻き形花模様
53図で挙げられた「間断的唐草文様」(おもむきの無い形式(p149))
エジプトおよびアッシリアの「片流れ」の円弧フリ-ズ(22図、34図)におけるロータス花および蕾とまったく同一な布置をしめす
明らかにエジプト原型からの後継
先のとがったロータス側面形渦巻形萼(これは誤って円形に代わっている)。
メロス等坪の美術は、決定的なオリエントからの影響の新たな拘束の下にある
※(メロス陶器画工が)いかに自由に異国の花模様を処理したか。
単に渦巻形萼をロータス側面形に結合したことだけでなく
二つの大きな渦巻き形花文の結合法でも示される。
両花文様が冠頭に持つ尖葉は、それと尖葉側面ロータスとの結合をもたらしている(p180)
渦巻形に包まれた両萼は、単なる地間充填として示されている
渦巻形がモチーフの中心
しかし、かたい幾何学的渦紋をでなく、生き生きとした植物的唐草を考えていたことは、渦巻きの横の上下に示された短い唐草の枝が暗示している(p180)説明は後ほどという)
二つの平行した渦紋の連続がはさむ空間は、パルメット扇形によって充填されている。
渦紋の外側の地間には簡単な破風形がつけられている。
(エジプトの原形は
26図、ミケネ式の中間形は
60図にみられる)
(これをもっと発展させた形:二重の絡縄文:図68)
古代彩色テラコッタにしばしば見られるし、後期ローマのモザイクにも見いだされる(p181)
図67
メロス陶壺の彩描文様
(図66の細部) |
図68:二重の絡縄文
クラゾメネ陶棺の文様
(図67に合わせ回転)
→表記: クラゾメナイ
Klazomenian sarcophagus
(棺の美術)フェニキアに
棺の全景あり |
第66図下部
陶脚のすぐ上のところに見られる文様帯(←a部)は、エジプト美術精神を超えて進歩した跡を示していない。それはたがいに並んだ二重渦文である。
その地間充填は、一はパルメット扇形、他は簡略な破風形
騎馬像を持った帯のすぐ下の文様帯(←b部)は、眉間とギリシア美術形式の間の直接的仲介形式とみることができる。
S字形渦文の並列・・ギリシア的なものは、この唐草と渦文間に示されたパルメット扇形充填に存する。
渦文から上に、下に芽出した唐草、
この唐草と渦文間に示されたパルメット形充填
扇形を充填した唐草は、半パルメットを形作る。
版パルメット(これをにこあわせてかんぜんないっこのぱるめっとがけいる)は、のちにギリシア装飾法において、重要かつ基本的な文様となった。
66図のメロス陶壺にはそれがすでにその本質をしめしているのがみられる。
原形はミケネ美術にあることは図64、図65の
ミケネ様式打出し文黄金板で言及している(p167)
図69 メロス陶壺の彩描 地文様の一単位
エジプト人がS字形渦文の地間を充填する手法
(図66で馬の両足間を充填したモチーフ)
第66図中間部騎馬
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