唐草図鑑

フリーメイソン

円柱の 象徴

入口の2本の円柱

『イメージの博物誌』(平凡社)の27巻目 「フリーメイソン 儀礼と象徴の旅」W・カーク・マクナルティ著(吉村正和訳)
 以下に抜き書き読書その2です・・・
 

ジョージ・ワシントン将軍が1770年ごろ側近のスカイラー将軍に送ったフリーメイソンのエプロン

3本の柱に友愛団の教説の全体が要約されている。
太陽と月とによって象徴されている、拡張と抑制を表す柱は、この宇宙の二項対立のすべてを包み込み、その間に人間意識を表す中央の均衡の柱が見られる。
中央の柱は、複数の階層からなる「神殿」であり、その中で個人は「神性」に接近する。 (p46)


モザイク:ネーデルラント・グランド・ロッジのグランドマスター、フレデリク公(1816-1881)旧蔵

「神殿」内部への玄関口には、二元性による二項対立を表す2本の柱がある。(p62)

 
me柱にはJとBのイニシャルがあるのだが、これは・・・??

ロッジ「無垢と道徳」の名誉マスター・メイソンであったジェイムズ・エイムズの
夫人フランシス・コーネリアのミニチュア肖像画の裏面、1776年、

『賢者の羅針盤』(1778)の口絵
me柱のJとBのイニシャルとは・・「ソロモンの神殿にある柱と同じ名前の柱」(p68)という。その他に、へルメスを示す錬金術記号なども図中にある。
ソロモンの神殿・・http://www.ekd.de/salomo/index.html

Jはヤキン、 Bはボアズ・・
Jachin(ヤヒンあるいはヤキン)とBoaz(ボアズ)

「ユダヤ教徒にとって2本の柱は、「王権」と「祭司権」を表している]とこちらのサイトにあるが、文献未確認 。
また 別に 、「ユダヤのソロモンの神殿ではエデン中央の二本の樹 《生命の樹》と《認識の樹》は入り口の柱で象徴されています」、とあるサイトも。 
ヘルメスの錬金術も生命樹もテーマっではありますが、「イメージの博物誌」のシリーズの6(錬金術),15(生命の樹)の方には、このイニシャルの付いた柱の参考になるイメージが無いので、Wikipediaよりイメージをみてみます・・

St John's Church, Chester - Hiram-Fenster 2
St John's Church, Chester ( England ). Stained glass window ( 1900 )
showing Hiram, the architect of the temple in Jerusalem.
これは設計図をもつソロモンの図柄と思ったが、そうではなく、
建築士ヒラムHiram Abifであるという。de.wikipedia

紀元前10世紀にソロモン王が建設した神殿(ソロモン神殿) ソロモンの神殿の建築を主催した3人のグランド・マスター・・建築プロジェクトを考案したイスラエル王ソロモン、建築提供を提供したツロ王ヒラム、中心的な建築士ヒラム・アビフ・・
「この3人の結びつきが、第3位階のフリーメイソン伝説を考慮する時、極めて重要な意味をもつ」(P23)

meちなみに「ユダヤ人にとって 神殿は世界にただの一つしかなく、それは、エルサレムに、初めにソロモン王によって建立され、ヘロデ王が再建し、70年にローマ人が破壊し、その痕跡はほとんど残っていないが、中世を通して、世界の中心とみなされていた」・・・(「イメージの博物誌」シリーズ29(神殿) 「ジョン・M・ルンドクィスト著P84 )

ソロモン王は、砂漠において神がモーセに示した「幕屋」の構造に従って、エルサレムの神殿を建設したと言われる。この原型的な神殿の構造とその建設にまつわる物語は、フリーメーソンの教説を伝える象徴体系において、重要な役割を果たしている(p40)

Boaz stood on the left and Jachin stood on the right. The pillars had a size nearly six feet (1.8 metres) thick and 27 feet (8.2 metres) tall. The eight-foot (2.4 metres) high brass chapiters or capitals on top of the columns bore decorations of brass lilies. (enWikipediaBoaz and Jachin )

→右と左が、フリーメーソン図とは違っている

折れた円柱

me折れた柱と嘆き悲しむ女性と、時間の神から成る図案がありました。
この図案は、ソロモンの神殿の建設で中心的な役割を演じたエラム・アビフを記念するとともに、エデン追放後の人類の状態を象徴しているという。(P55)


アメリカと太平洋地域においてよく見られるというが、これは東京メソニックンテンプルの玄関ホールにあり、20世紀後半のK・ニモリ作とある.(p55)魅力的なレリーフである。


J・L・クロス銅版画(1808年ご頃)
こちらは19世紀のフリーメイソンの解説書にあり、この図柄の初期のものという。
「人類は女性によって表現され、彼女は折れた柱が象徴している、喪失感を味わう。 ヒラムの遺骸を焼いた灰畫彼女の左手の壺に入っている。
喪失感からの救済(意識段階における神性との再合一)の希望は、アカシアの小枝と時間の神の働きによって約束される。」(p55)

me「時間の神」は死の大ナタをもっている・・
骨壷の灰は別に建築家ということでなくてもよいと思う・・・。

2本の円柱の間のジョージ・ワシントン

 
フリーメイソンの記章・衣服を着けたジョージ・ワシントン(p88)
カリア・アンド・アイヴズ(石版印刷会社)彫版 1868年

ワシントンは、2本の柱の真ん中に立っている。後ろは神殿の壁龕のようである。両手の形も、祝福の身振りであったか、象徴的・・
Washington Masonic print

Print of "Washington As Master Mason." U. S. President George Washington presiding over a meeting of the Lodge of the Alexandria, Virginia Masonic Lodge. This meeting prepared the lodge to lay the cornerstone for the United States Capitol on September 18, 1793. "President Washington wears the full regalia of his Master Mason degree including the famous Masonic apron made for him by Marchioness de Lafayette, the wife of Marquis de Lafayette, also a Mason. The apron, one of two given by the Marchioness, still exists. President Washington holds a gavel in his right hand. He stands before a stand holding an open Bible with a square and compass on it." 


ワシントンのエプロン(p89)
ジョージ・ワシントンのエプロンの複製(布)を基にした版画
 フリーメーソンの図版1801年

本題とは関係が無いが、ワシントンはsocalled偉人であったのだが、今日的人権の観点からは、少し遺憾な時代の人であったともいえるようだ。フランスでは同時代はロココ時代であり、ウードン作(Jean-Antoine Houdon, 1741- 1828)のワシントンのライブマスク使用の胸像はこちらに・・・  

1970年、インディアン権利団体「アメリカインディアン運動 (AIM)」は、スー族のブラックヒルズ一帯の占有権を認めた条約の確認を合衆国に求め、ワシントンらの「顔」の彫られたラシュモア山頂上で長期占拠抗議を行った。

ワシントンは黒人を奴隷として所有していたのと同様に、アメリカ先住民族であるインディアンを人間扱いしていなかった。(by Wikipedia

訳者解題([近代密儀宗教と「資源」の復元])であるが、「伝統宗教が超越神を中心とする掲示宗教であるとすれば、フリーメイソンは退位した神の座に人間の理性を据える「理性宗教」と言える・・・とある(P96) のが、 なるほどね・・・ 「フリーメーソンの象徴(円柱)」に戻る
 

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