セイレーンというとまず、 オデュッセウスとセイレ(ー)ンである・・
"Boat Mosaic (2680232163)" by Tony Hisgett from Birmingham, UK - Boat Mosaic Uploaded by tm. Licensed under CC BY 2.0 via Wikimedia Commons.
いつから、またなぜ、セイレーンが鳥から魚になったのか?であるが・・
(尾形p55)魚の下半身を持つサイレンが本当の意味で文献にあらわれるのは『怪物の書』のなかである。」ということであるが「しかし、ここでも、サイレンの二叉の尾については何の記述もされていない。」とあり。
マリア・ギンブタスには、<鳥女神>という語を教わった。あれも水鳥なのであった・・
マリア・ギンブタス(Marija Gimbutas、1921- 1994)
鳥女神・・(水鳥、カモメ、アヒル、鶴、潜水する鳥)、前7千年紀の主要な神(セスクロ文化)・・アテナ女神のアトリビュートは鳥、
蛇女神、仮面、蛇の渦巻き状頭部装飾、 蛇を思わせる縞模様
平行線、ジグザグ、点、渦巻き、 迷路文様、雷文
2012ne/mg_06.html雨乞い ・・紀元前7千年はるかの古ヨーロッパの女神ということで・・。そしてギリシア、ホメロスの時代は、紀元前8世紀末。セイレンはその12巻目にでてきます
classic/odessey2.html
Wikipediaでは、 セイレーンという表記で、「 中世以降は半人半鳥でなく、人魚のような半人半魚の怪物として記述されている。これは古代において海岸の陸地を目印に航海していたのに対し、中世に羅針盤が発明されて沖合を航海できるようになったことから、セイレンのイメージが海岸の岩場の鳥から大海の魚へと変化したためではないかと考えられている」(出典として挙げられているのは:吉川豊『ドキドキ!モンスター博物館 』理論社1999)とある。まぁそうなのか、どうなんでしょう・・・子どもむけの『まんがふしぎ博物館』ということだが・・
ここで バ-バラ・ウォーカーの『神話・伝承事典』を参照すると、 Sirenセイレンという項目があり、
「航海中の船に魔法をかけて岩礁に打ち上げさせる、キュレネの魔力のある女達を表す、ホメロスが用いた言葉。」
セイレンたちがオデュッセウスの水夫たちを引き付けようとした「甘美な歌」は、外国船をキュネの浅瀬に誘い込むための呪文であった。
この浅瀬で原住民たちが難破船荒しとして有利な取引をしたのは明らかである。
ついで ド・フリースの『イメージ・シンボル事典』を参照すると、 mermaid(人魚)、 Melusina (メルジーナ)は別項で(⇒こちら)、 こちらは
起源:ギリシアでは、ポルキュス(または川の神アケオオス)と妖精カリオペ(またはテレプシコーラかポルタオンの娘ステロペ)の間に生まれた2人または3人の娘たちのこと。デメテルは彼女達を鳥に変えた。
デメテルの娘のこれがこの妖精と戯れている時にハデスに誘拐されその妻にされてしまったからである。(別の説は省略)
ギリシア・ローマ時代以降になって、岩の島や絶壁に住む人魚とみなされるようになった。7人とされることもある 。(別の説は省略)
意味:美しいが裏切る女、世俗の誘惑、水の精Undeines(ウンディーヌ)の逆転したもの(以下省略)
2本の尾のセイレン
a.2本の足が2本の尾となったもの→ Melusina (メルジーナ)
b.双子座(Gemini)を表し、2本の尾は、両手を天に向かって伸ばす、古典的な祈りの姿の地獄絵的複製と考えられる
(再掲)
ちなみに『神話・伝承事典』と『イメージ・シンボル事典』のセイレンの歌を聞くオデュッセウスの挿絵は同じ、下の壺絵を線描にしたもの(同じ大修館書店刊
"Furtwaengler1924009" by Adolf Furtwängler (drawing); Siren Painter (vase) - https://digi.ub.uni-heidelberg.de/diglit/furtwaengler1924/0009. Licensed under Public domain via Wikimedia Commons.
ここで『図説世界シンボル事典』であるが、この事典には、項目は「水の精」しかないようである。アプサラス、ウンディーヌ、メルジーネ、ニンフ、ニクス、ローレライ、ナイアス、ネレイス、サイレンという順番で上げられ、水の精の図としては、
自室でひそかに沐浴するメルジーネ(民衆本の挿画1491)、ニンフのガラティア(V.カルターリ『古代の神々のイメージ』1647)、船乗りを脅かす海の怪物スキュラ(同)、中国の想像上の水中生物、何羅魚(からぎょ)と陵魚(りょうぎょ)(『山海経』)
→
『ヨーロッパの文様事典』(p148)、「幻獣文様」として、セイレーンの項目とハルピュイアの項がありますが、その図版は3つ。
「オデュッセウスとセイレーン」2世紀中頃、エル・ジェム出土、チュニス、バルドー国立美術館
「オデュッセウスとセイレーン」前490年頃、ヴルチ出土 、大英博物館蔵
これらはすでに上に挙げています。
もう一つは下へ、
:「泣くセイレーン」 前4世紀、アテネ出土、アテネ国立考古博物館蔵
Sirène ornant un monument funéraire (motif fréquent). Vers -330. Musée national archéologique d'Athènes.
"137-Sirene-vers--330" by Codex - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
ついで、『ヨーロッパの文様事典』、(p149)に、霊鳥とフェニックスの項があり、
ギリシア神話のセイレーンがもとになっていると思われるが、人面鳥の姿が面白く陶器の文様に好んで使われた
・・ということで、14世紀イタリアの「マヨリカ焼き絵鉢」ファエンツァ陶磁国際博物館蔵
13世紀「彩釉掻落霊鳥文皿」伝ヘルソネソス出土 ワシントン 個人蔵
15世紀「彩釉霊鳥文皿」スペイン セビリア製 ニューヨーク、イスパニック協会蔵
なおまた、『ヨーロッパの文様事典』、(p150)に、人魚の項とトリトンの項があり、
バビロニアやギリシアの神話に登場する半身が魚の女性。半人半鳥のセイレーンが人魚として表されることもある。
尾が2つある姿で表されることもある。アルバニアには2尾を持つメルジーナという人魚の伝説がある。
再生や豊穣の象徴としてロマネスクの建築装飾にしばしば表される。
図は
「柱頭装飾」スペイン、ジローナ大聖堂
「柱頭装飾」フランス、エルヌ大聖堂
「人魚文スリップ絵皿」17世紀後半、イギリス製、ヴィクトリア&アルバート美術館蔵
「版画」1581年頃、ロンドン、大英博物館蔵
ギリシア神話の半人半魚で、海神ポセイドン(ネプチューン)の息子または従者として法螺貝を吹き鳴らす。 船乗りの神とされる。2尾をもつ姿で表されることもある
図は
「海神トリトン」前6世紀後半、ローマ、ヴィッラ、ジュリア国立美術館
「アンフォラ」前6世紀、ローマ、ヴィッラ、ジュリア国立美術館
「腕輪」フランス、前3世紀 ギリシア製 メトロポリタン美術館
男女の海の精トリトンとトリトネス、尾はヘビ状に長くのびている。
"Adolf Hirémy-Hirschl (attr) Irrfahrt des Odysseus" by attributed to Adolf Hirémy-Hirschl (1760-1933) - Dorotheum. Licensed under Public domain via Wikimedia Commons.
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