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黙示録写本から:Andreas of Caesarea's Commentary on the Apocalypse

ヨハネの「黙示録」を読む(3)

me黙示録の獣をみたあと、初めから逐語で読むことにして、まず七眼七角の仔羊をみて、 ついで、七つ頭の竜、人面イナゴ、・・・そして、 このページでは、4つの生き物とバビロンの大淫婦を・・

ヨハネの黙示録(文語訳) 『舊新約聖書 』日本聖書協会、1950年https://ja.wikisource.org/

ヨハネの黙示録(口語訳)
『口語 新約聖書』日本聖書協会、1954年
https://ja.wikisource.org/

me 以下のwikipediaのまとめも再掲、 その6の6、8がこのページの課題。

https://ja.wikipedia.org/

『ヨハネの黙示録』は、『新約聖書』の最後に配された聖典であり、『新約聖書』の中で唯一預言書的性格を持つ書である。
  1. 緒言(1章)
  2. 七つの教会へのメッセージ(2章-3章)
  3. 神の玉座 天における礼拝と小羊の登場(4章-5章)
  4. 子羊が七つの封印を開封する(6章-8章5節)
  5. 七人の天使がラッパ(士気を上げる音)を吹く(8章6節-11章19節)
  6. 天の戦い、地における獣の増大、地の刈り入れ(12章-14章)
    1. 女を見た。太陽を着て、月を踏み、12の星をかぶる(12:1-6)
    2. 天で戦いが起こった。サタンが地に投げ落とされる(12:7-12)
    3. 赤い竜が神の民を迫害する(12:13-17)
    4. 獣が神の民と戦うために海の中から上ってくる。いのちの書に名が記されていないものはこれを拝む(13:1-10)
    5. 獣が地から上ってくる。獣の刻印を付ける (13:11-18)
    6. エルサレムのシオンの山の子羊(14:1-5)
    7. 三人の天使が裁きを宣言する(14:6-13)
    8. 鎌が地に投げ入れられる(14:14-20)
  7. 最後の七つの災い 神の怒りが極みに達する(15章-16章)
  8. 大淫婦の裁きとバビロンの滅亡(17章-18章)
  9. 天における礼拝 子羊の婚礼(19章1-10節)
  10. キリストの千年の統治の開始、サタンと人々の裁き(19章11節-20章)
  11. 千年王国
  12. 千年王国の後
  13. 新天新地
  14. 全体の結び

小河 陽訳『ヨハネの黙示録』(岩波書店 1996)

四匹の生き物


小河 陽訳『ヨハネの黙示録』p82
「シオン山上の子羊と信奉者」『ベア―トゥス注釈書』 
サン・ミゲル・デ・エスカレーダ、10世紀中頃、ニューヨーク
(一般表記:ベアトゥス)

Page from the medieval book Commentary on the Apocalypse .
 Each book was hand copied, including the art, making each copy unique. B Pierpont 174v

This page comes from the Morgan Beatus copy, also known as the Beatus of San Miguel de Escalada.
Ca. 960. Morgan Library (New York). Ms 644. 280 x 380 mm. 89 miniatures, painted by Magius, archipictor.

(Comons:Beatus Pierpont// ポーランド版で20200701閲覧 鮮やかに色に驚く)

子羊がシオン山上に立ち、人々は琴を奏で4匹の生き物と長老のために歌を歌う。(p82)その歌は贖いだされた14万4千人の人々以外は誰一人として歌うことができない。

画面では、シオン山はアーチの組み合わせで表わされている。上部では4匹の生き物も歌を歌っているようである。

me 『ベアトゥス注釈書』  

スペインの神学者,リエバーナLiébanaのベアトゥス Beatus(798没) の著した『ヨハネ黙示録注釈書』 (10世紀中頃写本,ニューヨーク,モルガン図書館。975写本,ジローナ聖堂) 。同書は次々と挿絵を入れて転写され,スペインからフランスにいたって,ロマネスク美術の形成に大きな影響を与えた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典(コトバンク20200701閲覧)

モサラベ・ミニアチュールは,古代末期の図像的形態,イスラム的モティーフと色調,スペイン的な表現主義,宗教的な幻視と象徴性が融合したきわめて特異な絵画世界である。その代表作は,8世紀後半にリエバナの修道院長ベアトゥスが《ヨハネの黙示録》に注釈と挿絵を加えたベアトゥス本だが,現存するものは10世紀から13世紀にかけての写本のみである。
出典:世界大百科事典での言及(コトバンク20200701閲覧)


邦訳「薔薇の名前」の表紙を飾った図版
リエバナのベァトゥスの書いた「ヨハネ黙示録註解」の挿画から
http://izucul.cocolog-nifty.com/balance/2013/07/post-403e.html

me拡大してみると、なぜか2匹にしか見えない。左が豚のよう。右の山羊?の右側にもう1匹鳥がいるのかな?いやここの記述、生き物を「匹」と数えようとするのがいけなかった。左に人間に見えるものもいる。結局、色違いの輪(xと4つの丸)のようなものがついて、福音書記4人の象徴ということは,お決まりであるから。

※安發和彰 「4つ の生き物」の下半身:伝統的な
波線で 4分してあたかも回転しているかのような「車輪」型の雲状表現

聖マタイ、聖マルコ、聖ルカ、聖ヨハネという4人の福音書記者は、はじめは神の玉座を囲む4天使(ケルビム)と結びつけられていたが、5世紀以降はエゼキエル書の「4つの生き物」(テトラモア)をそのシンボルとすることが多くなった。
マタイ(人間)マルコ(ライオン)ルカ(雄牛)ヨハネ(ワシ)
「図説世界シンボル事典」(ハンス・ビーダーマン著 八坂書房 2000)(p364)

 

※Mt. Zionシオンの山(en.wikipedia)

Abendmahlssaal
Room of the Last Supper on Mount Zion,
Jerusalem, Coenaculum, Abendmahlssaal, Cenacle
セナクル=アッパールーム(上の部屋)
the-upper-room-in-jerusalem-the-most-important-room

 


「二種類の収穫」ネーデルラントの黙示録写本、1400年頃、パリ国立図書館

雲の上に人の子が座り、金の冠を被り、手には鋭い鎌を持っていた。画面中央右にいる天使は穀物を刈り入れ 、葡萄を摘んでいる。酒ぶねから流れる血が川を赤く染め、馬のくつわに達する深さとなる。(p87)

meここに描かれた4つの生き物は「蜘蛛の触手みたいなもの」を背負っているようでちょっと気持ち悪い。


me 葡萄も鎌で、というのはちょっとおかしい気がするが、
そう書いてあり、他の図を見ても鎌で「刈り集められ」ている・・
こちらの天使の顔つきは柔和ではない。

獣を礼拝するものの背後にあるバビロンは崩壊し、子羊より神の憤激の葡萄酒がその上に注がれる(p87 図のキャプション)


meこの羊は七眼ではないようだ・・それと、


meこの個所、七頭の怪物には天使が葡萄酒をそそいでいるようだが、
子羊の方も葡萄酒なのか?不明?
一般には子羊の体から流れるのは犠牲の血ではなかったか・・


(p88)
「葡萄を刈る天使」イギリスの黙示録写本、1245‐55年頃、パリ国立図書館
天使たちが葡萄を収穫し、それを酒ぶねに入れる。
酒ぶねの中には猿のような魔物が放り込まれている。

http://www.collegium-mediterr.org/journey/


「最後の災いをもたらす7人の天使」
ネーデルラントの黙示録写本、1400年ごろ、パリ国立図書館
(P91)

4匹の生き物(画面ではライオン)が、神の憤激であふれた平鉢(画面では壺)を天使たちに与える。その上の画面には獣たちに勝利した者たちが竪琴を鳴らし、火の混ざったガラスの海の中に立っている。

meなんだか乳母みたい・・


「神の憤怒が地上に注がれる」
ネーデルラントの黙示録写本、1400年頃、パリ国立図書館
(p94)

7人の天使たちが一斉に憤怒の平鉢(壺)を地上に注ぐ、すると獣を礼拝する者に悪性のできものができ、海の水は血に染まり、太陽は人を焼き、大地震が起こり、建物は崩壊する。中央にいる偽予言者の口からは、蛙のような穢れた霊がでている。

大淫婦と獣


「バビロンの大淫婦とその崇拝者たち)
『快楽の園』(ホルトゥス・デリキアム」
12世紀後半、アルザス、パリ国立図書館(p98)

バビロンの大淫婦は緋色の獣の背中に乗り、緋色の衣をまとい、汚れに満ちた金の杯を持っている。獣は7つの頭と10本折角を持っている。7つの頭とはローマの7つの丘であり、ローマを表わす。

この女は紫の衣と緋色の衣をまとい、金と宝石と真珠とで身を飾り建てて、その片方の手には忌まわしいものと彼女との淫行の穢れとが一杯に満ちている金の杯と持ち・・ あなたが見たい10本の角は10人の王たちである。(ヨハネの黙示録17:10‐18)

me一見、エジプトのシストルムのようなものをもち、左目の周りが変?・・と思ったら、彼女が持っているのは金の杯だという。彼女が乗って水の上を渡る獣はユーモラスな顔つき。註(p102)に、獣はロ―マ皇帝の象徴、彼女はローマ(地上を統治する大いなる都)の象徴という。



「バビロンの大淫婦」
ケルン派の黙示録写本、
14世紀中頃、ヴォルフェンビュッテル、ヘルツォーク・アウグスト図書館
”いかにも娼婦らしい女性が馬に乗っている。その足元には七つの丘がある”(p98)


「天使がバビロンの大淫婦を打ち破る」
『快楽の園』(ホルトゥス・デリキアム」に基づく17世紀の模写 (p100))

Herrad von Landsberg whore babylon
Herrad von Landsberg whore babylon
. 258v- Whore of Babylon// Hortus deliciarum (before 1176-c. 1196)

天使は女を破滅させ火で焼いてしまう。その女とは、地上の王たちを統治する大いなる都のことである。画面では淫婦は焼かれ、穢れた杯を手放している。その光景を眺める人々は壮絶な場面を前に悲痛な表情をしている。(p100)

me「バビロンの」というから、バビロンのことだと思っていたのに、ローマのことであるとは?
バビロンは退廃した都市の象徴であるという。それはお決まりだろうが・・・

ユダヤ教の成立過程に深く関わったバビロンはユダヤ教やその系譜を引くキリスト教において正義の対抗概念のイメージであり、さらにイザヤ書とエレミヤ書の預言と新約聖書のヨハネの黙示録(ヨハネへの啓示、啓示の書)の故事から、ヨーロッパなどのキリスト教文化圏においては、退廃した都市の象徴(大淫婦バビロン、大娼婦バビロン)、さらには、富と悪徳で栄える資本主義、偶像崇拝の象徴として扱われることが多い。 (wikipedia

Whore of Babylon
彼女が こうであったら、気にならない。
(以下はルター聖書)
Whore-babylon-luther-bible-1534
Colored version of the Whore of Babylon illustration from
Martin Luther's 1534 translation of the Bible.

Saint-Sever Beatus f. 201v - Combat
The Saint-Sever Beatus, also known as the Apocalypse of Saint-Sever,
(Paris, Bibliothèque Nationale, MS lat. 8878) is a French Romanesque
illuminated Apocalypse manuscript from the 11th Century.

me本ではこんな感じだが、今回、wikimedia Comonnsの充実ぶり、色彩に驚いた。(ただし外国版)

B Facundus 238

meこのあともう少し、竜と悪魔のイメージが出てくる。
サタンの最後的敗北続く

怪物(まとめ)
「《驚異》の文化史」(オトラント大聖堂のモザイク他)
『ロマネスクの図像学 (教会の怪物)』、
『イタリア古寺巡礼』(アダムと動物)
『怪物ーイメージの解読 』
『奇想図譜』

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LastModified: 2020年

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