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唐草図鑑

西洋の芸術(中世)

アダムと動物と

 

イタリア古寺巡礼
―フィレンツェ→アッシジ (とんぼの本)

金沢 百枝 (著), 小澤 実 共著(東海大学
2011年9月刊 (新潮社とんぼの本) 

「教会の怪物たち━ロマネスクの図像学」を読むために、途中で「イタリアのロマネスク建築」を見ましたが、更に、必要なので、こちら『イタリア古寺巡礼』を見ます。シリーズは3冊、なお、こちらの新潮のサイトでの

【キリスト教美術をたのしむ】
https://www.shinchosha.co.jp/tonbo/blog/kanazawa/

見ごたえのある画像がいっぱい・・・ありがたいですね


「イタリア古寺巡礼 」 (とんぼの本)

目次

◇はじめに ・中世を照らした光
◇フィレンツェ ・眺めのよい聖堂 サン・ミニアート・アル・モンテ修道院聖堂 
◇ロメーナ ・ロマネスク日和 サン・ピエトロ教区聖堂 https://www.shinchosha.co.jp/tonbo/editor/2011/602223.html
◇ピサ ・奇蹟の広場 サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂 https://www.opapisa.it/
◇シエナ ・聖母に護られた町 サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂
◇モンタルチーノ ・簡素な楽園 サンタンティモ修道院聖堂 
◇マッサ・ マリッティマ ・アヒルと魔女 サン・チェルボーネ大聖堂Cattedrale di San Cerbone 
◇アンコーナ ・東方の香り サンタ・マリア修道院聖堂 https://twitpic.com/5zxk3e
◇ジェンガ ・かくれ里の名作 サン・ヴィットーレ・アッレ・キウーゼ修道院聖堂 (無限を象徴する表す文様が残るということで下に続く
◇フェレンティッロ ・のどかな渓谷 サン・ピエトロ・ イン・ヴァッレ修道院聖堂 ☆※ (この下で見ます)
◇アッシジ ・心洗われる中世美術の宝庫 サン・フランチェスコ聖堂 Wikipedia

Abbazia di San Pietro in Valle @ Ferentillo
サン・ピエトロ・イン・ヴァッレ修道院https://it.wikipedia.org/の フレスコ画(12世紀)

イタリア中部ウンブリア州
マンモレの滝 は(18世紀グランドツァーの重要ポイント)
サン・ピエトロ・イン・ヴァッレ修道院はホテルになっているようです・・https://www.sanpietroinvalle.com/
「教会の方の フレスコ画「はビザンチンからイタリア芸術 への移行が初めて決定的に見られる作品である。」とこちらのイタリサのサイト
https://www.ditt.it/jap/itinerario.htm

こちらのほあぐらさんのサイトはロマネスク建築探訪を網羅、以下のページにあり
https://www5e.biglobe.ne.jp/~truffe/toscana.htm

「モモ先生」の本を読んだ方のページ:「叡智の禁書図書館<情報と書評>」
https://library666.seesaa.net/article/245995650.html

動物に名前をつけるアダム

片割れ探し 「動物の名づけ」 https://www.shinchosha.co.jp/tonbo/blog/kanazawa/2012/01/20.html


「動物に名前をつけるアダム」サン・ピエトロ・イン・ヴァッレ修道院
「教会の怪物」p64図2-3

グリフォンとアダムの右手にユニコーンが見えるというお話なので拡大してみているだが・・ 左側がそうでしょうか・・右側には鹿と牛。 蛇は初めからやっぱり地を這っている

Frescos in Umbria(Wikimedia)等探したが、画像が見当たらない。(追記:以下、モモ先生の本 p103画像引用2014-09-20)

足元には楽園を象徴する4本の川12世紀末
「壁画は12世紀末の作ですが、ヴァチカンの旧サン・ピエトロ聖堂に書かれていた5世紀の壁画をもとにしている」(byモモせんせいP102)北壁に旧訳、南壁に新訳聖書の諸場面。
同様の壁画画ローマ周辺に数多く残っているが、それらは11世紀末から13世紀の作で、教皇庁が初心に帰って教会組織を立て直そうとしていた時期にあたる。


Adam_naming_animals.
"Adam naming animals - Moni Ayou Nikolaou (Meteora) Licensed under Public domain via Wikimedia Commons.

Restitution pigmentée d'une photographie d'époque.
(Fresque de Théophane le Crétois au monastère Agios Nikolaos Anapafsa, Grèce.)
クレタ島の修道院アイオス·ニコラオスAnapafsaの修道院(メテオラ) 7世紀
Wall painting in the lite of the katholikon: Adam naming the animals of Paradise
https://odysseus.culture.gr/

こちらにもグリフォン(龍型)がいる・・・※いないバージョンもあり・・(上 左2つ目)

ノアの方舟 の動物

「ノアの方舟」『ベアトゥスの黙示録註釈書』(ファクンデゥス本)
マドリッド国立図書館蔵、11世紀 
「教会の怪物」p64

下から2段目にグリフォンや人頭獣身の4匹ということですがこれは、ここでの説明はないが、「教会の怪物たち」の表紙の一部になっている。

中世ヨーロッパ彩飾写本図鑑 ベアトゥス黙示録注解の写本や解説があるサイト
辻佐保子PDF:≪ベアトゥス≫黙示録註釈書の挿絵に関する試論
p6「アントロポモルフ型(獣頭人間型ともいう)をとる象徴が配されることから、福音書であることは明らか」

「福音書書記のシンボル」(4つの生き物)というものはいつからであったか、シンボル事典を参照した・・・また以前のページキリスト教と象徴 獅子・ライオンで「ケルビム」をみていたので、そちらに続けますが、概略は以下・・

聖マタイ、聖マルコ、聖ルカ、聖ヨハネという4人の福音書記者は、はじめは神の玉座を囲む4天使(ケルビム)と結びつけられていたが、5世紀以降はエゼキエル書の「4つの生き物」(テトラモア)をそのシンボルとすることが多くなった(p364)
マタイ(人間)マルコ(ライオン)ルカ(雄牛)ヨハネ(ワシ)
「図説世界シンボル事典」(ハンス・ビーダーマン著 八坂書房 2000)

このフレスコのある サン・ピエトロ・イン・ヴァッレ修道院を検索すると、 「教会の怪物」p66にあるように、目立つのは、

聖堂から回廊へと続く扉口の両脇には、ロマネスク時代のに対の素朴な浮彫像がある。
左側の十字架と鍵を持つペトロは裸足であり、右側の剣を持つパオロと言われている像は靴を履いている 
ロマネスク美術ではしばしば靴の有無で異なる階級を表す
abbazia-di-san-pietro-valle-ferentillo
https://www.umbria.ws/content/abbazia-di-san-pietro-valle-ferentillo
Comune di Ferentillo - Portale

「モモ先生」の『イタリア古寺巡礼』の方にはこれでなく、祭壇前面の浮彫で、「風車のような3本の十字架(椰子の木?)の下に、のみを持った作者のウルススと聖堂の寄進者スポレート公ヒルデリクスが描かれる」「このゆるい感覚はランゴバルド芸術の特色」 739年頃
検索すると、
◆ ヒルデリクス・ダギレオバ(おそらくスポレート公イルデリック) 『中世の人間』J・ル・ゴフ編から[21]https://ykharuka.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-d641.html


「中世では最古の署名作品」(byモモ先生p103)
人物も容赦なく装飾文様の一部となっている
水を飲む二羽の小鳥は、『生命の泉』に集う信徒の象徴で、古代末期からの図像。二人のバンザイ姿も、伝統的な祈りのしぐさ(オランス)「死後、楽園に復活することを願っているのでしょう」(byモモ先生)

モモ先生の語り口に笑った後、話をベアトゥス黙示録の動物に戻すと、 ノアと動物ですが・・

こちらは、特に怪物はいない。普通の動物が4匹づつ・・・外側のは洪水で死んだ人間と鳥?
この4という数字は、「地上界の秩序」を表すというのが、イメージシンボル事典(ド・フリース)の「4」の項目の一番目に出てきます。


「ノアの箱舟」 『ウルジェイ・ベアトゥス』 ベアトゥス黙示録写本

金沢百枝:「ノアの箱舟 (方舟)と動物」:
https://www.shinchosha.co.jp/tonbo/blog/kanazawa/2012/07/5.html


このあたりで、『教会の怪物━ロマネスクの図像学』の方に戻ります⇒ 神の創造物(romanesque_ogata2.html)

イタリア古寺巡礼


2010年9月刊・2011年9月刊・2012年11月刊

モデナ大聖堂:ヴィリジェルモ、パルマ大聖堂:アンテーラミの彫刻(https://kotobank.jp/)、サンヴィターレ:モザイク芸術の白眉、テッセラ(かけら)が細かく高解像度 、サンタンティモ聖堂の「カベスタニの匠」による柱頭彫刻https://www.shinchosha.co.jp/tonbo/


romanesque_ikeda.html

以下は同じタイトルなので、おまけです

イタリア古寺巡礼 (岩波文庫)

 

イタリア古寺巡礼 (岩波文庫)

和辻 哲郎
岩波書店 (1991/9/17) ←1950年要書房 刊
1927年年末から3カ月、イタリアを旅行した時に、妻に宛てた手紙を元にした本

イタリア紀行 (岩波文庫)

 

イタリア紀行 (岩波文庫 赤 405-9)

ゲーテ (著), 相良 守峯 (翻訳)

37歳のゲーテは、1786年9月から1788年、約2年にわたりイタリアへ、1816-17、29年に旅行記としてまとめた
 
右の「イタリア庭園の旅」は、新潮のとんぼの本でなくて、
平凡社のコロナブックでした・・
Abbazia di S.Vittore delle Chiuse -
https://www.luoghimisteriosi.it/marche_svittore.html
 

イタリアのロマネスク建築「教会の怪物たち━ロマネスクの図像学

追記2021年再読(ほかの2冊)


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